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伊藤

ごめんください

米沢、お爺さん

はーい

伊藤

こちら米沢さんのお宅で間違えなかったですか?

米沢、お爺さん

そうじゃが、なんじゃい?

伊藤

あっ、申し遅れました

伊藤

わたくし、ブックセンターから来ました伊藤と申します

伊藤

よろしくお願いします

米沢、お爺さん

伊藤さん?

伊藤

はい、そうです

米沢、お爺さん

ブックセンター?

伊藤

はい

伊藤

ただ今、この村で子供さんのいらっしゃるお宅を仕事で訪問してまして

米沢、お爺さん

ああ、仕事で

伊藤

はい

伊藤

こちらのお宅には子供さんは、いらっしゃいますか?

米沢、お爺さん

うちに?

伊藤

はい

米沢、お爺さん

見てのとおり

米沢、お爺さん

子供の物は何もないじゃろ

伊藤

あー、そうですよね

米沢、お爺さん

子供は出来なかったんじゃよ

伊藤

そうでしたか

米沢、お爺さん

老人の二人暮らしでな

伊藤

失礼しました

米沢、お爺さん

いやいや

米沢、お爺さん

伊藤さんは、何の仕事をしているのかい?

伊藤

子供の教育書籍を販売してます

米沢、お爺さん

ほう、セールスマンかい?

伊藤

はい、そうです

米沢、お爺さん

大変じゃのう

米沢、お爺さん

今、お茶入れるから

伊藤

あっ、お気遣いなく

伊藤

仕事中ですので

伊藤

大丈夫です

米沢、お爺さん

そうかい

伊藤

この辺りで子供さんのいらっしゃるお宅はありますか?

米沢、お爺さん

この辺りに子供はいないな

米沢、お爺さん

若いもんは村を出てるからな

伊藤

そうでしたか

米沢、お爺さん

年寄りばかりじゃよ

伊藤

大変ですね

米沢、お爺さん

そうじゃよ

伊藤

分かりました

伊藤

では、失礼しました

米沢、お爺さん

はい

伊藤

チェ

伊藤

そうだよな

伊藤

子供は居ないか

伊藤

あれ、地図が無い

伊藤

まぁ、いいかスマホで…

伊藤

あれ、スマホも無い

伊藤

ゲッ、車の中だ

伊藤

チェ、ついてねーな!

伊藤

今日は、朝からエンジンのかかりも悪かったし

伊藤

なんだか

伊藤

やる気が出ねー!

伊藤

取りに行くのも面倒だな

伊藤

まぁいいか

伊藤

表札見れば分かるもんな

伊藤

あれ、この家も米沢さんだ

伊藤

田舎は同じ苗字が多いな

伊藤

ごめんくださーい

伊藤

米沢さーん

伊藤

あれ、誰も居ないか?

伊藤

ごめんくださーい

米沢、お婆さん

はーい

伊藤

あっ、こんにちは

米沢、お婆さん

こんにちは

伊藤

お忙しいところすみません

伊藤

ブックセンターから来ました伊藤と申します

伊藤

今、仕事で子供さんのいらっしゃるお宅を訪問してまして

伊藤

お孫さんはいらっしゃいますか?

米沢、お婆さん

うちの孫はねー

米沢、お婆さん

公務員に受かったんじゃよ

伊藤

あっ、お孫さんは大きいんですね

米沢、お婆さん

やっと受かったんじゃよ

伊藤

そうですか

米沢、お婆さん

車で通っているんだ

伊藤

そうですか

米沢、お婆さん

たまに遊びに来るんじゃよ

伊藤

そうですか

米沢、お婆さん

飴でも食べるかね?

伊藤

そうです…

伊藤

あっ、大丈夫です

米沢、お婆さん

そう、遠慮なさるな

伊藤

お気遣いありがとうございます

米沢、お婆さん

さあ、どうぞ

米沢、お婆さん

どうぞどうぞ

伊藤

じゃあ、頂きます

米沢、お婆さん

うちの孫はねー

伊藤

はい

米沢、お婆さん

公務員に受かったんじゃよ

伊藤

え?

米沢、お婆さん

やっと受かったんじゃよ

伊藤

……

米沢、お婆さん

車で通っているんじゃよ

伊藤

あっ、はい、もう分かりましたので

米沢、お婆さん

そうかね

米沢、お婆さん

うちの孫はねー

伊藤

……

米沢、お婆さん

公務員に受かったんじゃよ

伊藤

すみません失礼します

米沢、お婆さん

そうかね

米沢、お婆さん

飴でも食べるかい?

伊藤

さっき頂きました

米沢、お婆さん

遠慮しないで

伊藤

……

伊藤

じゃあ、頂きます

米沢、お婆さん

どうぞ

米沢、お婆さん

お宅はどちら様かね?

伊藤

あっ、すみません

伊藤

家を間違えました

米沢、お婆さん

そうかい

伊藤

失礼します

米沢、お婆さん

はい

伊藤

ヤバかった

伊藤

ボケてたとは

伊藤

永遠と聞かされるとこだった

伊藤

次に行かないと

伊藤

しかし、家と家の間、距離あるなー

伊藤

こんな所で道草を食ってたら

伊藤

契約とれずに日が暮れちまう

伊藤

あっ、この家まで

伊藤

米沢さんだ!

チリンチリン

伊藤

ん?

チリンチリン

伊藤

あっ、風鈴

伊藤

いい音だなぁ

米沢、子供

……

伊藤

ごめんください

米沢、子供

……

伊藤

おお

伊藤

居たか!

伊藤

こんにちは

米沢、子供

こんにちは

伊藤

お嬢ちゃん、いくつ?

米沢、子供

6つ

伊藤

お父さんかお母さん居る?

米沢、子供

仕事だよ

伊藤

お爺さんかお婆さんは居る?

米沢、子供

畑だよ

伊藤

畑か

伊藤

仕方ないか

米沢、子供

おにいちゃん、お腹すいた

伊藤

また、後で居る時に来るか

米沢、子供

おにいちゃん、お腹すいた

伊藤

家の人に言いな!

伊藤

バイバイ

米沢、子供

……

伊藤

バイバイ

米沢、子供

バイバイ

伊藤

せっかく子供がいたのに…

伊藤

次だ、次

伊藤

また、米沢さんだ

伊藤

ごめんください

米沢、お爺さん

はーい

伊藤

こちら米沢さんのお宅で間違えなかったですか?

米沢、お爺さん

そうじゃが、なんじゃい?

伊藤

あれ?

米沢、お爺さん

ん?

伊藤

米沢さんは兄弟がいらっしゃるんですか?

米沢、お爺さん

いいや、わし、一人じゃよ

伊藤

あれ?

伊藤

さっきお邪魔した米沢さんと凄く似ているんですが?

米沢、お爺さん

何処の米沢さん

伊藤

こちらの三軒前の米沢さんです

米沢、お爺さん

三軒前に米沢さんはおらんよ

米沢、お爺さん

それよりも

米沢、お爺さん

あんた、さっきも来たじゃろう

伊藤

え?

米沢、お爺さん

兄弟で仕事しているのかと思ったら

米沢、お爺さん

変なこと言うから

米沢、お爺さん

多分、道を間違えたんじゃろう

伊藤

そっかー

伊藤

アハハ

近所のお婆さん

こんにちは

米沢、お爺さん

あっ、こんにちは

近所のお婆さん

今日は、霧がふかいですねー

米沢、お爺さん

そうじゃのう

伊藤

あっ、失礼しました

米沢、お爺さん

あっ、真っ直ぐ道なりに行けば抜けられるから

伊藤

はい、分かりました

米沢、お爺さん

何処も似てる家じゃから

伊藤

そうですよね

米沢、お爺さん

きおつけてな

伊藤

はい、ありがとうございます

伊藤

何処で迷ったんだろう

伊藤

えーと

伊藤

ここは隣の米沢さんで

米沢、お婆さん

……

伊藤

こっちも米沢さんで

米沢、子供

……

伊藤

ここは、子供がいて

伊藤

この先へ行けば

伊藤

違う家に着くはず

伊藤

えっ、又、米沢さん?

伊藤

まぁ、同じ苗字で

伊藤

同じ家が多いからな

伊藤

まったく

伊藤

ハハハ

伊藤

まぎらわしいんだよ

米沢、お爺さん

……

伊藤

あれ…嘘だろ

伊藤

ハハハ

伊藤

又、あの家に来た

米沢、お婆さん

……

伊藤

何処で迷った?

米沢、子供

……

伊藤

この先だ

伊藤

この先へ行けば

伊藤

ハハハ

伊藤

真っ直ぐしか行けないよな

伊藤

今度こそ

米沢、お爺さん

……

伊藤

え?

米沢、お婆さん

……

伊藤

ハハハ

米沢、子供

……

伊藤

……

米沢、お爺さん

……

伊藤

……

米沢、お婆さん

……

米沢、子供

……

伊藤

ここ以外には道がない訳だから

伊藤

俺、何やってんだ

伊藤

しっかりしないと

伊藤

ハハハ

伊藤

今日の俺は、調子悪いだけだよな

伊藤

ハハハ

伊藤

……たのむ

米沢、お爺さん

……

伊藤

そんな…

米沢、お婆さん

……

米沢、子供

……

伊藤

次こそ!

米沢、お爺さん

……

米沢、お婆さん

……

米沢、子供

……

伊藤

うわー

伊藤

どうなってんだよー

米沢、お爺さん

……

米沢、お婆さん

……

米沢、子供

……

伊藤

……

米沢、お爺さん

おにいさん

伊藤

うわわわー

伊藤

来るな!

米沢、お婆さん

……

米沢、子供

……

伊藤

ハアハア

米沢、お爺さん

伊藤さん

伊藤

うわー

伊藤

来るなー

伊藤

どっか行ってくれ

米沢、お婆さん

……

米沢、子供

……

伊藤

ハアハア

米沢、お爺さん

待ちなさい

伊藤

どうしてだよ

米沢、お爺さん

ちょっと待ちなさい

伊藤

ハアハア

米沢、お爺さん

どうしたんじゃい?

伊藤

……ハアハア

米沢、お爺さん

さっきから

米沢、お爺さん

この村をぐるぐる周って

伊藤

ハアハア

米沢、お爺さん

とりあえず、落ち着いて

伊藤

……

米沢、お爺さん

まぁ、上がりなさい

伊藤

……

米沢、お爺さん

今、お茶入れるから

伊藤

……

米沢、お爺さん

そう怖がりなさるな

伊藤

あっ、はい

伊藤

すいません

米沢、お爺さん

どうしたんじゃ?

伊藤

いったい

伊藤

どうなってるんだ

伊藤

この村は

伊藤

全然、抜け出せない

米沢、お爺さん

ずーっと走ってたけど、どうしたんじゃい?

伊藤

抜け出せないんです

伊藤

この村から

米沢、お爺さん

真っ直ぐ道なりに行けば抜けられるだろう

伊藤

それが、真っ直ぐ行っても又、この場所に戻ってしまうんです

伊藤

何度も何度も

伊藤

ただ同じ場所をぐるぐる周ってるだけで

伊藤

一向に抜け出せない

米沢、お爺さん

……

伊藤

……

伊藤

呪われてる

米沢、お爺さん

…ん?

伊藤

この村は

伊藤

絶対、呪われてる

米沢、お爺さん

それは思い違いじゃよ

米沢、お爺さん

呪われてるとしたら

米沢、お爺さん

この村ではなくて

米沢、お爺さん

伊藤さん、君の方じゃないのか?

伊藤

……

伊藤

絶対、おかしい?

伊藤

この村は、変だ

米沢、お爺さん

変なのは君の方じゃよ

米沢、お爺さん

同じ場所をぐるぐる周って抜け出せないのは君だけだよ

伊藤

……

米沢、お爺さん

それが証拠に

米沢、お爺さん

さっき、わしと挨拶を交わした老人は何処に行った?

米沢、お爺さん

戻って来たか?

伊藤

……

米沢、お爺さん

道の先に行ったきりじゃろ

伊藤

……

米沢、お爺さん

戻っては来ないじゃろう

伊藤

……

米沢、お爺さん

君だけだよ

伊藤

……

米沢、お爺さん

君だけ

伊藤

え?

米沢、お爺さん

だから君だけ

米沢、お爺さん

君だけ

伊藤

えっ、俺だけ?

米沢、お爺さん

そうじゃよ

米沢、お爺さん

自覚出来たかね?

伊藤

……

米沢、お爺さん

君だけだよ

米沢、お爺さん

君だけが先へ進んでない

米沢、お爺さん

この村は関係ない

米沢、お爺さん

君だけがぐるぐる周っている

米沢、お爺さん

だから、村が呪われてる訳じゃないんだよ

伊藤

……

米沢、お爺さん

この村は

米沢、お爺さん

作物が良く育つ優しい村じゃよ

米沢、お爺さん

そんな村が呪われてる訳ないじゃろ

米沢、お爺さん

それより

米沢、お爺さん

この村のせいにしてしまう君自身に原因が有るのでは?

伊藤

……

米沢、お爺さん

村に原因が無いなら

伊藤

……

米沢、お爺さん

そう考える方が自然じゃろう

伊藤

……

米沢、お爺さん

その事に

米沢、お爺さん

君自身が気付いてないんだから

米沢、お爺さん

抜け出せないんじゃよ

伊藤

……

米沢、お爺さん

君を見てると

米沢、お爺さん

何か余裕が無いと言うか

米沢、お爺さん

凄く窮屈に見える

伊藤

……

米沢、お爺さん

わしらは、村から抜け出そうなんて

米沢、お爺さん

考えもしない

米沢、お爺さん

当たり前だと思うだろうが

米沢、お爺さん

だからこそ自由なんじゃよ

米沢、お爺さん

自由に歩きまわれる

伊藤

……

米沢、お爺さん

君は、自分を不自由にしてるのでは?

米沢、お爺さん

その原因を見つけない限り

米沢、お爺さん

自由は得られないのでは?

伊藤

……

米沢、お爺さん

君自身が変わる必要があるのでは?

米沢、お爺さん

同じ事を繰り返してしまう君自身が!

米沢、お爺さん

自分の殻から抜け出す必要が

伊藤

……

米沢、お爺さん

どうだろう?

伊藤

……

米沢、お爺さん

そう思わないか?

伊藤

……

伊藤

そうかもしれません

伊藤

……

伊藤

俺が…

伊藤

俺が…

伊藤

俺が抜け出せないのか?

伊藤

俺?

伊藤

とにかく

伊藤

この状況を変える為には

伊藤

何か違う事をしないと

伊藤

いつもと違う事を

伊藤

あっ、そうだ

伊藤

逆に進めば

伊藤

抜け出せるかも

伊藤

今度こそ

伊藤

んっ!この家は?

米沢、子供

……

伊藤

駄目だったか

伊藤

そう言う事じゃないか

伊藤

やっぱり自分が原因…

伊藤

自分が変わらないと

伊藤

何も変わらない

伊藤

そうか!

伊藤

自由か!

伊藤

俺は、自分の事ばかり考えてた

伊藤

だから余裕が無いんだ

伊藤

何も見えて来ないんだ

伊藤

抜け出せないんだ

伊藤

俺が変わらなければ

伊藤

毎日同じ自分を繰り返しているだけで

伊藤

進歩がないからだ

伊藤

だから

伊藤

自分の殻の中から抜け出せないんだ

伊藤

そうだよ

伊藤

そう言う事だよな

チリンチリン

米沢、子供

……

伊藤

家の人は、畑から戻って来たかい?

米沢、子供

あっ、おにいちゃん

米沢、子供

まだ、畑に行ってる

伊藤

そうかぁ、お腹すいたよな

伊藤

腹の足しになるか分からないけど

伊藤

飴、いるかい?

米沢、子供

うん、ありがとう

伊藤

そうだよな

伊藤

こういう事だよな

伊藤

何か一皮剥けた気がする

伊藤

一からやり直しだな!

伊藤

あっ、霧が晴れて来た

伊藤

よし、今だ!

伊藤

やったー!

伊藤

抜けられたー

🚙

伊藤

あっ、俺の車が見えて来た

🚙

🚙

伊藤

やっと抜け出せたぞ

伊藤

良かった、車に辿り着けて

伊藤

良かったー、ホッとしたー

伊藤

まったく、何だったんだよ

伊藤

まぁ、いいか

伊藤

やったー、一発でエンジンもかかった

伊藤

あっ、地図とスマホ

伊藤

あったー!

伊藤

良かったー

伊藤

どれどれ

伊藤

あ〜、この道で迷ったのか

伊藤

あれ?

伊藤

この地図、古いのかな?

伊藤

米沢さんのお宅が、2軒しか載ってない

伊藤

確か3軒のはず

チリンチリン

伊藤

え?

米沢、子供

おにいちゃん

うわわわわわわわ

この作品はいかがでしたか?

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コメント

12

ユーザー
ユーザー

いつもひとりもっちぃ さんの投稿を見ています!今日の投稿もすごかったです! 怖かった(´༎ຶོρ༎ຶོ`) それに、クオリティ高いし、車の近づいてくる表現がすごいと思いました!

ユーザー
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