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うたばなし

2 - 重なった

♥

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2020年05月22日

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カフェのオーナーの秀さんは

読書が好きで

休憩時間は 近くの広間に行って

木の下のベンチに座って 本を読む

午後には 木漏れ日がさして

横顔を照らす

細く優しい目を

スッと伸びた鼻筋を

軽く結ばれた唇を

長く綺麗な指を

全部を照らす

それはまるで 映画のワンシーンのようで

見惚れてしまう

ふと立ち上がって 伸びをした

それさえも絵になるなんて

あ、 目が合った

あれ、花ちゃん

花織

見てたのバレたかな

花織

こんにちは

こんにちは

もう下校の時間?

花織

今日はは、半日授業だったので

なんでここで噛むかなぁ

秀さんは クスクス笑った

そっか

花織

はい…

穴があったら入りたい

ね、花ちゃん面白いもの見せてあげる

手を伸ばしてこっちに来てみて

花織

え?こうですか

うん

で…ストップ!

1メートルほど離れたところで 止められた

そして 秀さんも手を伸ばした

ほら、見てみて

影を見ると 夢にみた絵があった

影が重なって

手を繋いでるみたい

握手してるみたいでしょ

花織

…ホントだ

秀さんの笑顔に 木漏れ日がさして

半分照らされたその姿は 正面から見てもやっぱり

花織

きれい…

またクスクス笑った

優しく笑うあなたが

この時間が

この空間が

泣きたくなるくらい 一番大事なもので

でも そんなことを言ったら

この人はきっとまた クスクス笑うだろう

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