カフェのオーナーの秀さんは
読書が好きで
休憩時間は 近くの広間に行って
木の下のベンチに座って 本を読む
午後には 木漏れ日がさして
横顔を照らす
細く優しい目を
スッと伸びた鼻筋を
軽く結ばれた唇を
長く綺麗な指を
全部を照らす
それはまるで 映画のワンシーンのようで
見惚れてしまう
ふと立ち上がって 伸びをした
それさえも絵になるなんて
あ、 目が合った
秀
あれ、花ちゃん
花織
あ
見てたのバレたかな
花織
こんにちは
秀
こんにちは
秀
もう下校の時間?
花織
今日はは、半日授業だったので
なんでここで噛むかなぁ
秀さんは クスクス笑った
秀
そっか
花織
はい…
穴があったら入りたい
秀
ね、花ちゃん面白いもの見せてあげる
秀
手を伸ばしてこっちに来てみて
花織
え?こうですか
秀
うん
秀
で…ストップ!
1メートルほど離れたところで 止められた
そして 秀さんも手を伸ばした
秀
ほら、見てみて
影を見ると 夢にみた絵があった
秀
影が重なって
手を繋いでるみたい
秀
握手してるみたいでしょ
花織
…ホントだ
秀さんの笑顔に 木漏れ日がさして
半分照らされたその姿は 正面から見てもやっぱり
花織
きれい…
秀
ね
またクスクス笑った
優しく笑うあなたが
この時間が
この空間が
泣きたくなるくらい 一番大事なもので
でも そんなことを言ったら
この人はきっとまた クスクス笑うだろう