奏達
無我夢中で走った
病院に向かっている間は
頭には嫌な想像が次々に浮かび上がって
気が気じゃなかった
奏達
それらを掻き消すようにさらに速く走った
奏達
病院に着くと母さんとさくらと歌織の家族がいた
お母さん
奏達
奏達
歌織の母
歌織の母
歌織の母
歌織の母
歌織のお母さんが事情を話してくれた
歌織の母
歌織の母
奏達
奏達
歌織の母
歌織の母
歌織の母
歌織の母
奏達
ここ最近は会えても体がだるかったり頭痛がしたりなどで早めに帰ることが多かった
もしかしたら俺が予想しているより遥かに
歌織の容態は悪いのかもしれない
歌織の母
奏達
歌織の母
歌織の母
歌織の母
歌織の母
歌織の母
歌織の母
奏達
奏達
歌織の母
俺たちは病院を後にした
家に帰るとどっと疲れが押し寄せた
奏達
奏達
奏達
不安になる
けど歌織はもっと不安だろう
病気が見つかったのに
治療法はなく
何も出来ず
ただ待つことしかできない
恐怖と不安が心を侵食する
なのに歌織は笑顔だ
その笑顔に俺はどれだけ救われただろう
何もできずに
できない自分に焦りを感じていた俺に
優しく
俺といる時間が好きだと言ってくれた
その言葉にどれだけ救われたか
奏達
俺は自分のことで精一杯で
歌織が苦しい時にそばにいてやれなかった
奏達
奏達
奏達
奏達
そんなことを考えながら眠りについた
それから2日後
歌織が目を覚ましたと連絡が来た
奏達
歌織
歌織
奏達
奏達
歌織
奏達
奏達
歌織
歌織
歌織
奏達
歌織と話すのはいつぶりだろう
目が覚めたと言っても顔色が悪いのは変わらない
それに何か隠している気がする
奏達
奏達
歌織
奏達
歌織
歌織
歌織
歌織
奏達
歌織
歌織
奏達
奏達
奏達
奏達
奏達
奏達
奏達
奏達
奏達
歌織
歌織
歌織
歌織
歌織
奏達
歌織
歌織
奏達
歌織
奏達
歌織
歌織
歌織
歌織
歌織
歌織
歌織
歌織
歌織
歌織
奏達
歌織
歌織
歌織
歌織
奏達
奏達
歌織
歌織
奏達
奏達
奏達
奏達
歌織
歌織
そこまで言わなくてもわかった
おそらく入院して不安だった歌織にとって
佐々木さんは大事な存在だったのだろう
だけど、頼りにしていた人がいなくなって
大きな悲しみとストレスが溜まったのだろう
そして今回倒れた
歌織
歌織は涙を堪えていた
奏達
歌織
歌織
なぜかはわからない
けどまた歌織が我慢していることはわかって
抱きしめていた
奏達
奏達
歌織
歌織
歌織
歌織
歌織
歌織
歌織
何を言えばいいのかわからなくて
ただ泣き止むまで背中をさすることしかできなかった
それから2週間後
学校では学年末テストが近くなり、放課後の勉強会やら先生の手伝いやらで行けずにいた
奏達
何度きても病院は慣れない
看護師A
ふと数歩先を歩いていた看護師たちの会話が耳に入った
看護師B
看護師B
看護師A
看護師A
看護師A
看護師B
看護師B
看護師A
看護師B
看護師B
看護師B
看護師B
奏達
奏達
看護師A
看護師A
看護師A
看護師A
看護師B
看護師A
看護師A
看護師B
病室の前で立ち止まる
奏達
奏達
奏達
ぼそっと呟いた声は誰にも聞こえなかった
息を吸っていつもの顔で病室へ入った
きっと歌織もいつもの顔だろう
2月下旬
学校はテストが終わりのほほんとした雰囲気に包まれていた
最後に歌織と会ったのは2月の頭
だから、もう2週間近くも会っていない
思うように治療が進まず、体調は悪化する一途を辿っている
ここ最近で急激に病気の進行が進んでいるらしく
会えない日が続いていた
今日も体調が悪いと連絡があり、時間が余ったので公園に来ていた
奏達
奏達
奏達
奏達
奏達
奏達
奏達
奏達
奏達
奏達
奏達
奏達
奏達
涙が出てきそうなのをぐっと堪えた
もう何年も前のことかのようだ
それほどまでに
歌織といる時間は楽しかった
好きな人が
愛おしいと思う人が
この世界で一番
大切な人が
そばにいるだけで
1秒1秒が鮮やかだった
奏達
奏達
奏達
奏達
公園の砂場で遊んでいた子供が帰っていく
お母さんたちと一緒に手を繋いで
俺も気持ちを切り替えるように立って歩いた
歌織
歌織の母
歌織
歌織の母
歌織の母
歌織
歌織の母
歌織
歌織の母
歌織
歌織
歌織の母
最近、体のいろんなところが効かなくなってきた
2月頭、声が聞き取りづらくなった
2月中旬、味が薄くなった
先生曰く、私のこの病気は末期になると
聴覚が失われたり味覚がなくなったりしていくらしい
あっちへ行く時に残っているのは人それぞれらしいけど
歌織
歌織の母
歌織の母
歌織
歌織の母
歌織の母
歌織
母が出ていき、一人残される
やることがなくて、またベットに潜る
医者
歌織
歌織
歌織
歌織
歌織
最初は好きだったのにな
医者
午後は毎日屋上にいる
寒いから寒さ対策はしっかりする
まぁ、それでも寒いものは寒いけど
医者
歌織
歌織
歌織
医者
最初は一人でぼーっとすることが多かった
けれど最近は先生がよく来ておしゃべりに付き合ってくれる
歌織
歌織
医者
歌織
歌織
歌織
歌織
先生と話すのは雑談が多いけど
たまに経過報告もする
歌織
歌織
歌織
歌織
医者
やめてもいいですか
その言葉を言おうとして寸前のところで飲み込んだ
歌織
医者
言葉にしてしまったら
口に出してしまったら
なんだか病気に負けた気がして
嫌だった
歌織
歌織
歌織
歌織のタイムリミットまで ???
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!