あほ
僕が言ってやろう、おっかさん、なぜ君が来たか。君が来たのは、あの時僕が君に哀れを催す言葉をかけたからだ。なに、それで君は気が和らぎ、それでまた『哀れを催す言葉』が欲しくなったんだ。それじゃ言わせてもらうけどね、いいかい、僕はあの時君のことを笑ってたんだ。今も笑ってるんだ。何を君は震える? そうさ、笑ったんだ! 僕はあの前に侮辱されたんだ、食事の席で、ほらあの時僕の前に着いた奴らに。僕が君んとこへ行ったのは奴らの一人、将校をぶちのめすためだったんだ。だがやりそこねた、見つからなかった。で、侮辱された腹いせに誰かに八つ当たりしなければすまない、というところへ、君が現れた、僕は君に邪悪を注ぎ込み、あざ笑ったんだ。僕は恥をかかされた、そこで僕も恥をかかせてやりたかった。僕はぼろ布の中に押しこまれた、そこで僕も力を見せつけたかった・・・・・そういうわけだ、なのに君は思ったんだろ、僕があの時わざわざ君を救いにやってきたと、だろ? 君はそう思ったね? 君はそう思ったね?