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床は大きな石畳、壁も石レンガ、巨石の太い柱が天井を支えている。少し薄暗いけど見晴らしは良く、向こうの壁までよく見える。 今までの白一色の屋内が屋外かもわからないような場所ではなく、石に囲まれた遺跡のような空間だった。
ユウゴ
第1試験でクリアしたらしい子供達が集まっているが、その集団のあちこちで騒ぎが起きていた。
突然火を出して服をこがす子、頭から水をかぶったように全身ビシャビシャの子、何故か何度も転びそうになっている子、等々。
通常は起こりそうもないトラブルに見舞われている子が、何人も散見される。
ユウゴ
アルク
アルクが状況を分析して言う。
ユトリ
その騒ぎの中で、見知った顔に声をかけられた。
長い髪と黒いワンピースが印象的な女の子、ユトリだ。
ユトリ
ユトリ
アルク
ユウゴ
アルク
ぼくの声はアルクの大きい声にかき消された。
シシロウ
ぼく達に話しかけてきた人物がいた。
試験の最初から何かと目立っていた、金髪の少年だった。
シシロウ
アルク
アルクがジト目で金髪の少年をにらみ返す。
ぼくのとなりに立つユトリも、顔をこわばらせて、半歩ほど後ろに下がった。
シシロウ
シシロウ
アルク
その名前に覚えがあるらしいアルクが息を飲んだ。
対して、魔法使いのことなど知らないぼくとユトリは首をかしげた。
シシロウ
ユウゴ
ユトリ
シシロウ
シシロウ
シシロウが頭を抱えてうなだれる。
最初に見た時から感じていたけど、彼はアルク以上に、この状況にくわしいみたいだ。
シシロウ
シシロウ
ユウゴ
ユトリ
アルク
アルク
シシロウ
アルクのいつもの自己紹介ギャグを、シシロウがサラッとスルーした。
その様子を見て、ユトリがぶはっと吹き出した。
ユトリ
自分の言ったセリフにうけて、さらに笑い声が大きくなった。
この子の笑いのツボがわからない。
シシロウ
ユウゴ
シシロウ
シシロウがあきれて、ふーっと息をはいた。
ガイド妖精
どこからともなく、ガイド妖精があらわれた。
子供達の意識と視線が、宙に浮くガイド妖精に集まる。
???
???
???
???
???
???
???
……一部、集められない子達がいた。
魔法の力に振り回されて制御出来ない子供達と、近くにいて巻き込まれた子供達だ。
ガイド妖精
ガイド妖精からボワッと淡い光が放たれた。
その光にさらされると同時に、 火は消え、 水は乾き、 風は止み、 焼けた服やぶつけたケガなども元通りになった。
ガイド妖精
ガイド妖精
絶対的な魔法の力を目の当たりにして、会場内がシーンと静まり返った。
さっきまでの騒がしさがウソのように、わずかな呼吸音や心臓の鼓動すら聞こえそうな静寂に包まれる。
ガイド妖精
ガイド妖精
地面がグラグラと揺れた。
地震かと思う間もなく、床の石畳の一部が音を立ててせり上がってきた。
シシロウ
シシロウの声に、ぼく、アルク、ユトリは、せり上がる壁から離れて、シシロウの近くに集まった。
壁は天井まで上がっていく。
この現象は会場内全体で起こっているらしく、壁がせり上がるゴゴゴという重苦しい音と、子供達がワーキャーと騒ぐ声が、四方八方から反響して聴こえてくる。
やがて壁の動きが止まり、子供達の声も遠く小さくなっていった。
シシロウ
シシロウ
シシロウがぼく達の顔を順に見て、次に周りに危険がないかを慎重に観察する。
言葉使いは高圧的だけど、意外と気配りできる人だ。
遠くからガイド妖精の音声が聞こえてきた。
ガイド妖精
内容はこれだけ。
聞き逃しが無いようにか、同じ音声が何度も流れている。
シシロウ
アルク
シシロウ
ユトリ
ユトリ
シシロウ
アルク
アルクが起こした風が、ユトリに向かって巻き上がる。
ユトリ
ユウゴ
ユトリが両手で前髪をおさえ、ワンピースがめくれ上がりそうになったので、ぼくがあわてて手を当てておさえた。
ユウゴ
ユトリ
シシロウ
アルク
流石のアルクもバツが悪くなり、そっぽを向く。
シシロウ
シシロウが右手の指をパチンと鳴らすと、火花が弾けた。
シシロウ
ユトリ
ユトリ
シシロウ
ユトリ
自分も一芸披露しなければならない流れだと思っていたユトリが安堵の息をもらす。
シシロウ
ユウゴ
ぼくは前の会場からアルクに連れられて来たので、自分の属性を知らない。
シシロウ
シシロウ
ユウゴ
シシロウ
シシロウ
シシロウ
シシロウ
シシロウ
シシロウ
入学試験、本番。
その一言に、否応なしに気持ちが引き締まる。
シシロウ
アルク
ユトリ
アルクはいつものように軽い感じでこたえ、ユトリは両手を握って力強くこたえる。
ぼくは魔法適性のことが気になって何も言えず、みんなに合わせてうなずくことしかできなかった。