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やった!早く見れた! 手紙の『F』はフランス(France)のF…? 後サムネ?の真理がわかった気がします…、恐らく後々🇷🇺🇺🇦🇧🇾も『兄弟』として登場してくるのでしょう…!(多分当たらない考察) 毎度毎度長文で送りつけてすみません…!今回もワクワクして面白かったです!
海の向こうから、いつも同じ風が吹く。
言葉は刺さり、痛みは潮に溶ける。
彼らは似ていないようで、あまりにも似すぎている。
それが愛のかたちなら、どれだけ美しくても悲しいね。
ザーザー、ザーザー。
雨風が窓を叩く音が、静かな古書店を包んでいた日だった。
カラン。
その静寂の中、ドアベルの音が木霊した。
アメリカ
イギリス
イギリスは彼を見上げた。
入ってきたのは、彼の弟_____アメリカのようだ。
アメリカはいつもの笑顔で彼を見ていた。
…それが鬱陶しくもあり、懐かしかった。
アメリカ
イギリス
イギリス
アメリカ
暫くイギリスと騒がしく会話をした後、ようやくカウンターの席に座った。
相変わらず煩い弟ですね、と思いながら紅茶の準備を始めた。
イギリス
アメリカ
アメリカ
イギリス
イギリス
アメリカ
不思議に思いながら、ティーカップに紅茶を淹れる。
いつもなら砂糖とミルクを沢山淹れろ、と煩いのですが。
紅茶を淹れ終わり彼の前に出すと、無言で紅茶を飲み始めた。
話すこともなく、店に沈黙がやってくる。
...その沈黙が、少し重く感じた。
その沈黙を破ったのは、アメリカだった。
アメリカ
イギリス
イギリスが冷たく返すと、アメリカは心外そうに顔を歪めた。
イギリスにとって、"あの頃"______
独立戦争は、彼にとっての地雷の一つだった。
無論アメリカはそれを知っていたわけだが、こんな風に対応されるとは思ってもなかったようだった。
アメリカ
イギリス
彼自身、独立戦争のことで冷たく返すのは違いましたね、と内心反省していた。
それは、彼自身、自分のせいであの戦争が起こったという自覚があったから、でもあった。
アメリカ
イギリス
アメリカ
イギリス
コトン、とイギリスは静かにカップを置いた。
彼の瞳を見ても、彼が何を考えてこんな話を持ち出したのかわからなかった。
彼だって、トラウマだったろうに。
...あの頃のことなんて、できれば思い出したくないだろうに。
アメリカ
アメリカ
イギリスは酷く驚いていた。
彼はなにもしていないのに、どうしてここまで責任感があるのか。
...これでは、兄失格ではないか。
イギリス
アメリカ
アメリカ
アメリカ
頼むから話してくれ、と彼は私に懇願した。
…実際、本当に彼はなんにも悪くなかった。
いや、騒がしかったといえば騒がしかったが、だからといって別に...
______毎晩、暴力を振るうほどではなかった。
いや、理由がどうであれそれは虐待であり、最悪な行為であることには変わりないのだが。
それなのにアメリカは、謝ろうとしていた。
...全く、昔からこういうところは変わらないな、と自嘲気味に笑った。
イギリス
イギリス
アメリカ
イギリス
イギリス
アメリカは黙って窓の外を見つめた。
見てみると、さっきまでの豪雨は少しはマシになったらしく、小降りになっていた。
アメリカ
ぽつり、と沈黙の中、呟いた。
アメリカ
イギリス
再び、長い沈黙が流れた。けれど...
…どこか、清々しかった。
いつの間にか雨が止んでいたらしい。
切れた雲から陽が差し込み、ちょうど良い位置に居たアメリカが陽に当たって...
綺麗だった。
そして、今度はポストの音が沈黙を破った。
イギリスがなんの用だろうか、とポストを確認すると、一封の封筒があった。
封を切り、中身を確認すると、イギリスは相変わらずこの人物は懲りないな、と苦笑した。
アメリカ
イギリス
【____近しければ近しい程、感情は脆く壊れやすい。
でも、どんなに離れても、同じ雨の下に居るものさ。
______F】
イギリス
アメリカ
イギリス
イギリス
アメリカ
イギリス
話したいことは話しきったのか、アメリカは笑いながらコートを羽織った。
アメリカ
アメリカ
イギリス
アメリカ
ドアが開き、春の耀が差しこむ。
________きっと、氷はもう解けた。
あとは、自分が、雪を溶かすだけだ、と。
春の日が、イギリスをそう思わせた。