翠
翠
「...うん、わかった 翠がそう言うなら」
彼女とはかれこれ 10年以上の付き合いだ
たくさん迷惑をかけてしまった たくさん相談に乗ってもらった
けど、そんな親友とも呼べる 彼女に殺して欲しいと頼んだ
誰が嫌とか、 何かがあったわけでもなく、 私は、生きているのが嫌だった
そんな贅沢に彼女を巻き込んだ、
本当にこれでよかったのか、 一瞬悩んでしまうほどの身勝手に
「...じゃあ、もう寝る?」
翠
「本当に、翠のこと殺すの?」
翠
「...そっか、」
「ごめんね、翠が 楽しく生きる道を作れなくて」
翠
「...おやすみ、」
翠
彼女におやすみと言われて 救われた気がした
もう生きなくても済むんだ
強制されてるわけでもないのに そう思った。
長いような、短いような
そんな夜だった。
翠
ベッドの冷たさで意識が戻った
目を開けなくてもわかる 日差しの強い朝だった
また1日を過ごしてしまった
けどいつもと違うことが ひとつある
目を開けるのが怖かった
起き上がるのが怖かった
ベッドは何かの液体で濡れていて
腕はベッドと何かで張り付いていた
嗅いだことのないほどの臭い
目を開けた
彼女がいた
あぁ、なんだ、よかった
てっきり貴方が死んだのかと、
こんな天気の良さそうな日なのに お寝坊さんなんだね
私も寝ようかな
その日は、
笑う彼女と幸せに 日々を過ごす夢を見た
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