テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

……!?

ごっ、ごめんなさい…っ!!

そのまま、私が彼を押し倒す ようになってしまって__

気づいたら、男の子の顔が すごく近くにあって

…唇が、触れてしまいそうになった。

あ、ええと……。

体温が、急上昇した。

沸騰してしまいそうなくらいに。

………っ!!

…ほ、本当にごめんなさい!!

はっと我に帰り、 慌てて、横に転がる。

いや…こちらこそ、えっと…

その…ごめんな、さい……。

い、いえいえ…っ!!

彼は少し頰を赤らめて、 自分の唇を手で隠す。

その仕草を見て、私は 恥ずかしさのあまり少し俯いた。

やがて、彼はゆっくりと 立ち上がって

私の顎に指先を添える。

…えっと……。

…僕は死神、で…………。

…?

…お、お命!戴きます!!

……っ!?

ごめんね。

突然、左手で腰を掴まれる。

そして__

その右手に掴まれた、 黒く大きな鎌が

振り翳されて____

…っ、玲奈!!!

意識が遠のいてゆく中で、 透き通った声が聞こえた__

気が、した。

背後から刺されるような 鋭い感覚を覚えて、

はっとして、後ろを向く。

なんの変哲も無い、 青々とした田園風景。

梅のほんのりとした、優しい 香りを運ぶつむじ風から___

…どこか懐かしい匂いが、 微かに香った。

…ん……。

梅のほんのりした香りが 鼻をくすぐる。

その中から、微かに香ったあの匂いは見つけられなくて__

代わりに、鉄の匂いが 鼻を強く刺激した。

遠い意識を手繰り寄せるように 瞳を擦って…

ようやく眼を開ける。

薄暗い夜空の下。

月光に照らされて微笑む、 美しいほど残酷な姿__

あ…玲奈……、

…鮮やかな真紅に染められた、

力のない、弱々しい笑顔。

大きな鎌と手に べっとりと付いた、紅い液体。

鋭い鎌と手から ぽたぽたと流れ落ちる

数滴の血____

それを見てようやく、自分が 夢を見ていたことに気づいた。

夢を見る前と、見る後で

瞳の奥に映った世界は、 世界がまるで変わっていて__

…ねぇ、

…俺のこと…怖い……?

……っ、

…怖かった。

……私を助けてくれた、

優しくて…でもちょっぴり 意地悪な…悪魔。

それなのに……

今は…途轍もなく怖い。

…怖いなんて、 言いたくなかった。

……でも、怖くない、なんて 言えなかった。

駆け巡る様々な感情が、 頭の中を飽和する。

言葉が見つからなくて、 出てこなくて……俯いた。

はは、そう…だよな……。

…ごめん……。

……私の反応を見た悪魔は、

私の気持ちを察したかのように 自嘲気味に微笑んで__

少しだけ、距離を置いた。

…えっと、……

ごめんな。

…俺は、悪魔__こういう生き物なんだよ。

なんとか、空気を変えようと 曖昧な言葉を紡いでみるけど

私の言葉は、悪魔の言葉に 遮られてしまって。

彼は、そっと目を伏せた。

やがて視線は、斜め上の 夜空を見上げた。

…憂いを帯びたような、 儚く淡い瞳の色をしていた。

…その、瞳の奥の世界には、 なにが映っているのだろうか。

怖くて、何もできない私は、 きっともう映らない。

なんとなく、そう確信した。

はぁ………………。

溜息。

声色。

そのどれもが、

私を拒絶するかのようで…

私は、ただただ…

私と悪魔の間に 作られていく高い壁を

ずっと見つめることしか できなかったんだ。

loading

この作品はいかがでしたか?

400

コメント

16

ユーザー
ユーザー

し、死神……!?……って思ったけど玲奈ちゃんの夢で良かった……😌💭 だけど悪魔、は怖いよね……。それを言葉にすることも出来ない、よね…… 切ないな……😢💓

ユーザー

……(˙◁˙)←何かコメントを書こうとしたけど、凄すぎてなにも言えなかった人

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚