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大納涼祭会場 pm18:00
カヤ
アキラ
あの後僕らは混みあっている電車を避け タクシーで会場へ向かったはいいものの 渋滞も酷く結局会場手前で下ろしてもらった 特にカヤは浴衣に下駄ということもあって あまり歩かせたくはなかったがこればかりは仕方がない
アキラ
カヤ
やけに嬉しそうなカヤを見て僕もすっかり気分がのっていた。普段は人混みが嫌いで催事は避けてきたので祭りなど中学生ぶりかもしれない。
カヤ
アキラ
カヤ
アキラ
暮れ切っていない夕時に出店屋台の明かりが煌めく通りは、有線で流されるお囃子と相まっていかにもな祭りの雰囲気を醸し出していた。蝉時雨も夏らしさを演出してくれている
アキラ
流されはぐれそうになるカヤの手を僕は咄嗟に掴んで戻した
カヤ
アキラ
ふっと我に返った僕は、反射的に手を離してしまった。
アキラ
カヤ
カヤ
アキラ
カヤの一言で一気に脈が上がっていくのがわかった。屋台の明かりなのか、カヤの顔も赤らんでいるように見えた。
アキラ
カヤ
まるで小学生のように無邪気に笑うカヤに僕は屋台などそっちのけで夢中になっていた。
カヤ
カヤが指さす方向には「フルーツ飴」と書かれた屋台にいちご、ぶどう、りんご、パインなど様々なフルーツ飴が並んでいた。
アキラ
カヤ
カヤはそう言うと屋台の店主にいちご飴を2つ注文していた
カヤ
アキラ
カヤ
アキラ
ニコニコといちご飴を頬張るカヤ 気がつくとその唇に釘付けになっていた
僕のすぐ横で手を繋いでいるカヤ こうして並ぶと頭一つほどの身長差でまるで小動物のようだった。 それでも、女性の中ならかなり身長は高い方だろうが薄桃色の唇でいちご飴を頬張る彼女はとても愛らしく映った。
カヤ
アキラ
尻目にカヤを見つめていた事が カヤにはすっかりおみとおしだったようだ
カヤ
アキラ
こうして僕の熱い夜がどんどん暮れていく
そのあと一時間ほど歩いただろうか。 僕らはひとしきり食事を楽しんだ。 夏祭りという特別感が、安っぽいB級グルメなんかを最高のフルコースにしてくれた。
カヤは細身に似合わずよく食べる子で 目ざとく屋台を見つけては何かを買ってきて 僕と一緒に食べたがった。
カヤ
アキラ
カヤ
屋台に駆け寄るとカヤはコルク銃を得意げに掲げた。どうやらここは射的の屋台のようだ
カヤ
カヤ
あいよ!と威勢のいい店主から僕もコルク銃を受け渡され動揺する
カヤ
アキラ
カヤ
アキラ
そう言うとカヤは本職かのように慣れた手つきで銃を構えサイトに視線を合わせた。
カヤ
浴衣姿でコルク銃を構えるカヤは 無邪気な笑顔で2等と書かれたカッパのぬいぐるみを狙っていた。
弾かれた弾はパツッと音を立て見事一撃でカッパのぬいぐるみを沈めてみせた
カヤ
アキラ
思わず見とれていると屋台の店主はカヤに大きなクマのぬいぐるみを渡してくれた。 その後僕に視線を寄越し、次は僕の番だと諭すように笑った。
アキラ
カヤ
渋々1等のブリキ人形に照準を合わせる僕。 あんなもの、3発のコルクで落ちるのか……? 思わず店を疑う僕の1発目は見事、ブリキ人形の横で空を切った。
カヤ
アキラ
ムキになった僕は少し照準を左にずらす カツン!と金属音が響くも、人形が僅かに右を向いただけだった
アキラ
カヤ
最後の一発……。 照準を右に戻し、ずらし倒す作戦を取った。 コツン!といい音を立て、人形に命中したものの最後までブリキ人形が倒れることは無かった。
アキラ
カヤ
屋台の店主が残念賞、という声をかけお情けで屋台の割引券をくれた。
カヤ
アキラ
と、その時
ドン!と大きな音を立てる夜空に振り向くと 天高く色とりどりの花火が上がっていた
カヤ
アキラ
流れゆく人混みも火薬音に足を止め 各々が空を仰いで花火を観ていた
アキラ
アキラ
カヤ
カヤ
僕はカヤの手を引き人混みを抜けた 街並みから住宅街に入り、路地角の公園へとカヤを招待した
アキラ
アキラ
カヤ
カヤ
アキラ
カヤ
二人で公園のベンチに腰掛け、遠くから僅かに聞こえるお囃子の音に耳を傾けながら 満天の空に映る花火を眺めていた
カヤ
アキラ
急に真剣な面持ちでこちらを見つめるカヤに思わずドキッとした。
カヤ
カヤ
アキラ
カヤ
アキラ
カヤ
大きな花火の音に負けないくらい 高鳴る鼓動に僕の身体が耐えられなくなった