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太宰
静かに廊下を歩きながら、コートの内側で拳を握る。
太宰
誰もいないことを確認して、ようやく小さく息を吐く。
太宰
思い出すのは、赤くなった顔、逃げるようで逃げきれていない距離、必死に“判断”を選び続ける背中。
太宰
自嘲気味に笑う。
太宰
太宰
額に手を当てる。
太宰
好き
を自覚してからの中也は、無自覚だった頃よりずっと無防備で、それでいて必死に理性を保っている。
太宰
太宰
自分で言っておいて、胸の奥が軋む。
太宰
一歩、足を止める。
太宰
声が低くなる。
太宰
太宰
沈黙。
太宰
小さく、誰にも聞こえない声。
太宰
太宰
ふっと息を吐き、歩き出す。
太宰
唇に、ほんの一瞬だけ笑み。
太宰
その事実を、太宰ももう、否定できなかった。
太宰
足を止める。
廊下の窓から差し込む光が、床に細く伸びている。
太宰
誰もいないのに、声が小さくなる。
太宰
言葉が、喉で止まる。
太宰
しばらく、動かない。
太宰
苦笑。
太宰
額に手を当てる。
太宰
太宰
太宰
一つずつ、理性で積み上げる。
太宰
思い出す。
必死に判断を選ぶ背中。
褒められて一瞬だけ緩む表情。
距離を取ろうとして、でも逃げきれない視線。
太宰
太宰
静かに息を吐く。
太宰
太宰
認めた瞬間、胸の奥がすっと静かになる。
太宰
太宰
声は落ち着いている。
驚きより、納得に近い。
太宰
太宰
太宰
一拍。
太宰
表情が、引き締まる。
太宰
太宰
太宰
小さく、決意の息。
太宰
太宰
歩き出す。
太宰
でも、口元はほんのわずかに緩んでいた。
太宰
太宰
太宰
その声は、誰にも届かないところで、確かに本音だった。