修道院といっても、孤児の子らが多いため、孤児院のような、そんな場所になっていると、
先生は優しい声で教えてくれた。
たしかに初めて修道院に入った時、
ニコライと同い年だろう子らがちらちらこちらを見ていた。
その子らもニコライと同じように先生に拾われたのだという。
フョードル修道士
先生の声に子供らがこちらを一斉に見る。
フョードル修道士
フョードル修道士
アイラト、というのは、この修道院に来るまでの道中、先生がニコライのために考えてくれた
唯一無二の名前だった。
ここの修道院では新しく子供が入る時、
神のご加護があるようにと光にちなんだ名前をつけさせるそうな。
その中で選ばれたのがアイラト。
ロシア語で恵み、慈善、という意味がある。
アイラト・B・ゴーゴリ
アイラト・B・ゴーゴリ
子供らが拍手をしながら、キラキラとした眼差しでアイラトを見る。
フョードル修道士
こんなにも、暖かな視線を浴びるのは、
本当にいつぶりだろう。
パパやママでさえもくれなかった暖かさを
どうして、僕にくれるのだろう。
ここでの暮らしは
幸せそのものだった。
アイラト以外にもこのふざけた力を持つ子らがいて、
みんな、アイラトと同じような悩みをもっていたのだと。
そしてアイラトと同じように先生に拾われて、
今は人として胸を張って生きていられると
みんなが口を揃えて言っていた。
たしかに、その通りだと思った。
先生はいつも公平に優しい方だった。
一方的に相手を責めるのではなく、
双方の意見を聞いて改善点を教えてくれる。
勉強も学びたいと言えば教えてくれるし、
遊びたいと言えば遊ばせてくれる。
おやつを求めれば、こそっとお菓子をくれたりしてくれる。
いつもいつもにこにこと心からの優しい笑みを浮かべていて、
腕を広げて抱きしめてくれる。
そんな先生をアイラトが尊敬し始めるのは
そう遠くはなかった。
フョードル修道士
礼拝室でマリア像を見ながら
聖書を黙読していた時、
先生の声が聞こえて、思わずぴんと姿勢を張った。
アイラト・B・ゴーゴリ
フョードル修道士
フョードル修道士
フョードル修道士
先生の手がアイラトの頭を撫でる。
アイラト・B・ゴーゴリ
アイラト・B・ゴーゴリ
アイラト・B・ゴーゴリ
フョードル修道士
フョードル修道士
嘘をついて、ごめんなさい。先生。
本当は、先生を独り占めしたかっただけ。
神様が、と言ってしまったけど、
本当は神様より先生に感謝したい。
アイラトがこうして生きていられるのは、
あの時拾ってくれた先生のおかげ……
でも先生は、それは神様が導いてくださったことだよと言うだろう。
だから、本音はしまっておきます。
フョードル修道士
フョードル修道士
アイラト・B・ゴーゴリ
フョードル修道士
フョードル修道士
フョードル修道士
先生がマリア像の方へ声をかける。
するとマリア像の裏から白髪の小さな男の子が出てきた。
まるで天使がこの世に降りてきたみたいに真っ白だった。
アイラト・B・ゴーゴリ
その男の子は先生の背に隠れてしまって、
訝しげにアイラトを見る。
それを先生は嬉しそうに笑っていた。
フョードル修道士
フョードル修道士
フョードル修道士
アイラト・B・ゴーゴリ
コメント
14件
リアルで小説読んでて「ふぅえっ!?」って声出たの何気に初めてだwwwミステリー小説読んだあと相変わらずにラストの衝撃で数時間ボーッとしてたことはあれど、あんな声出るとは……息子!?ニコライまだ子供だよね!?じゃあ敦君じゃない……え?えぇ!?