レイ
ふんふんふ~ん....♪
がらくたの中から小さなオルゴールを見つけたレイ。
ネジを回しきり、手を離すと優しく、キレイな音が鳴り出した。
レイ
~♪
基地内は薄暗く、レイは鼻歌を唄いながら、一人ワルツを踊ってみた。
レイ
んぐっ!?
目を瞑りながら踊っていたので、何かにぶつかったらしい。
レイ
?...
ゼラ
一人で何してる、レイチェル。
レイ
げ....
ゼラ
げってなんだ。げって
レイ
まだいたんだ.....
レイ
....、ジャイボは?
ゼラ
ご機嫌に先に帰ったぞ。
レイ
へー、珍しいね....
ゼラ
....この音楽は
レイ
“お父さん„は、知ってるの?
ゼラ
嗚呼....、ワルツだ。
レイ
やっぱり、ワルツなんだ.....
レイはがらくたの山に君臨するソファーにおいたオルゴールを見ていると
ゼラが手を伸ばした。
レイ
....何、その手。
ゼラ
一曲踊ろうじゃないか、レイチェル。
ゼラ
我が愛娘。
レイ
リードできるの?
ゼラ
これでも、前いた小学校では踊りはうまかったほうだぞ。
レイ
でも、父さん....教えるの下手。
ゼラ
む、そうか?....
ムッとした顔をするゼラ。それに対して、レイは軽く笑う。
レイ
リードしてね....
ゼラ
任せなさい。
ゼラ
さぁ、レイチェル。踊ろう
月に照らされる廃墟の工場の中、キレイなオルゴールが鳴り響く。
そのオルゴールの音に合わせて
二人の偽りの父娘がワルツを踊っていた。
父が娘の手を取り、娘は父に身を任せる。
今は全てを忘れて、踊ろう。
レイ
~♪...
ゼラ
♪~....
その唄を鼻で刻みながら、時に躓きながらも踊る二人は
まるで本物の親子のような
優しい雰囲気に包まれていたのだった。
そう、今だけは。
完