主
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早足に学校を立ち去り、徒歩で10分程度の最寄り駅、 近鉄奈良線の新大宮駅に着く。
改札を通り過ぎるとタイミングよく大阪難波行の準急がやってきて 電車に乗り込んだ。
念のため周りを確認してさとみくんたちが周りにいないか確認する。
流石にもう出くわすことはないだろう。
とりあえず、助かった。危なかった。
あそこで莉犬が来なかったらどうなっていたか。
そう思ってほっと胸をなでおろすと、ずっと早歩きだったからか、 息が乱れているのに今更気が付いた。
莉犬と話していたはずなのに、逃げることに必死で何を喋ったかあまり記憶にない。
莉犬
莉犬がドアにも垂れかかりながら呟く
さとみ君の名前を耳にするだけでちょっと緊張してしまい
ころん
と、よくわからない返事をしてしまった。
そんな僕を見て、莉犬が興味深そうに顔を覗き込み
莉犬
とニヤニヤし始める。
その顔を見て嫌な予感を抱く。
莉犬
ころん
莉犬が何を考えてるのか手を取るように分かった。
僕がさとみ君に片思いしていると思ってるに違いない。
好きな人が目の前に来たから恥ずかしくて莉犬に駆け寄ったと思ったことに焦って否定すると、その慌てぶりが余計に怪しく見えたらしく、
莉犬
と、笑った。
そんなんじゃなくて、ただ逃げただけ。 でもそれをどうやって説明したらいいかわからなくて言い淀むとますます思い違いされてしまう。
莉犬
ころん
ころん
莉犬
あまりに否定するからか、莉犬は不思議そうにちょっと首を傾げた。
同時に電車が大和西大寺駅に到着し、ぷしゅうっとドアが開く
ころん
莉犬と並んで電車から降り、改札に向かって階段をのぼりながら答えた。
莉犬
莉犬
ころん
莉犬
莉犬
莉犬
あはは、と嫌味なく笑いながら答えた莉犬に、彼らしいなあ。と思った。
僕が知ってるだけでも、莉犬は3,4人の人と付き合っていた。
きっかけはいつも『告白されたから』と言っていた。
けれど数か月後には『合わなかったみたい。』と、 あっけなく別れの報告をされる。
いつも言葉のままに受け取っていたけれど、莉犬にとって “思っていたのと違った”ということだったのだろう。
でもそれは莉犬だからこそ相手にちゃんと『合わない』と伝えることができるのだろう。
僕なら、“ちょっと違う”と思ったところで自ら別れを切り出すなんてできない
傷付けてしまうかもしれないことを恐れて、自分が悪者になりたくなくて、 結局ずるずると付き合ってしまうのが目に見えている。
莉犬
ショッピングモールに向かう途中で、莉犬が慌てたような声を出した。
ころん
莉犬
莉犬
黙って考え込んでしまったせいで、僕が落ち込んだ。と思ってしまったらしい。
そういえば、告白されたら付き合うとかの話の途中だった。
ころん
ころん
莉犬
不安そうに疑う莉犬に、
ころん
と、もう一度念を押す。
莉犬
と言ってくれたけど、諦めたように肩をすくめる莉犬は、 全然信じているようには見えなかった。
これ以上否定すると、どんどん深みにはまりそうだと思い、 とりあえずそこで話を終了させる。
莉犬も追及するつもりはないのだろう
今日はどのお店に行って、何を買おうかという話に移った。
主
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コメント
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台風大丈夫でした(●︎´▽︎`●︎)
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