私はお化けのオバケーナ。今日も色んな人をおどかしてやるんだ!はっはっはっ!…、私を酷い目に合わせた人間というものが憎い…、人間なんてみんなあいつらみたいな人なんだ…!徹底的に懲らしめよう!
オバケーナは、人だった頃いじめやDVなど、たくさん人間に酷い目に合わされたために、人間をとても恨んでいた。
オバケーナ
あ、今日もこの森に迷い込んだやつが!ふふふっ、何してやろうかな?まぁ、まずはうめき声でも聞かせてやるか。

高坂
あれ?ここはどこだ?目をつぶって歩いていたらいつの間にかこんな森に…。

オバケーナ
ぎゃあああああああああああぁぁぁ!

高坂
ん?なんだこの音は?

オバケーナ
おっ?驚いた驚いた!ふっふっふっ。

高坂
まぁいいか。

オバケーナ
!?なに?…私のうめき声に驚かないだと!?

高坂
ふわぁ!ねむっ…。

オバケーナ
っ…、っまぁいい!次は…、手で足を掴んでやろう!こけさせてやる!

高坂
うわぁ!

オバケーナ
よしっ!こけたこけたっ!ふふふっ!さすがに怖がったでしょ?

高坂
あれ?なんでこけたんだ?まぁ、森だから葉っぱが当たってこけたんだろうな。ははっ。

オバケーナ
はっ!?なんだこいつ!葉っぱ当たってこけるってなんだよ!ったくっ…、腹立つ!もういい!直接会って怖がらせてやる!

高坂
おお!

オバケーナ
うーらーめーしぃー

高坂
ん?君は何がうらめしぃんだい?てか、うらめしぃってどーゆー意味?

オバケーナ
いやそこじゃねーだろ!

高坂
?どーゆー意味なんだい?

オバケーナ
知るかよ!うらめしやーって言うのがなんか幽霊の鉄則なんだよ!知らねぇよ!

高坂
え?ゆうれ…?君は幽霊なのかい?

オバケーナ
いや今更かよ!そうだよ!幽霊だよ!

高坂
初めて幽霊という生き物に出会ったよ。よろしくねー。

オバケーナ
幽霊は生き物じゃねーよ…。

高坂
え?じゃあなんだい?

オバケーナ
…、死んでんだよ幽霊は…。

高坂
そうなのかい?

オバケーナ
そうだよっ…。

高坂
ここに住んでるんだろ?君は。どこかに住むっていうのは生きるために必要なことなのだから、それを行っている君は生きている、生き物なんじゃないのかい?

オバケーナ
…、お前…、バカだろ。

高坂
そうかい?

オバケーナ
…、お前…、幽霊が怖くないのか?嫌がらないのか?

高坂
え?なんで自分と同じ生き物を見ているだけで怖がったり嫌がったりしないといけないんだい?

オバケーナ
しないといけないわけじゃない!でもさ…、普通はそーゆー反応するんだよ人間ってのは。…ちっ…、人間なんか…大嫌いだ!

高坂
え?でも君も元は人間だろう?

オバケーナ
そうだよ!っ…、その時に傷つけてきた人間が憎い!

高坂
君を傷つけた人間だけでこの世界は構成されていないよ?

オバケーナ
でも、私をみんな嫌う。この姿を見ただけでみんな…、人間は私を嫌う…。

高坂
え?待って!

オバケーナ
あ?なんだよ…。

高坂
人間というものが全員君を嫌うのだとしたら、もしかして、俺は人間じゃないのか?じゃあ俺はなんなんだ?

オバケーナ
いや!お前人間だろ!

高坂
え?でも、それだと理屈が合わない。

オバケーナ
はぁ?

高坂
だって俺は、君を嫌っていないよ?むしろ、君と話していると色々なことが知れて楽しいから、君が好きだよ俺は。

オバケーナ
!?お前、ほんと頭おかしいよ!

高坂
君の言ってることの矛盾の方がおかしくないかい?

オバケーナ
うっ、うるせぇな!黙れ!

高坂
…。

オバケーナ
いやほんとに黙るな!

高坂
ほらやっぱり。君は矛盾してるよ。

オバケーナ
うっ!…。お前…。

高坂
なんだい?

オバケーナ
お前だけは…、あいつらとは違う。

高坂
あいつら?まぁ誰かは知らないけど、そうなのかい?

オバケーナ
うん…、ううっ…、ごめっ…、なんか涙がっ…。

高坂
あ、泣く時は精一杯泣いた方がいいらしいよ?我慢はいけないって。

オバケーナ
うっ、うるせぇえ黙れ!

高坂
…。

オバケーナ
いやだからっ!

高坂
ん?あれ?君、なんか体が消えていっているよ?どうしたんだい?

オバケーナ
え!?あれ?…あっ…、これが…、成仏ってやつかよ…。

高坂
?どうしたんだい本当に。大丈夫かい?

オバケーナ
…、なぁ。

高坂
ん?なんだい?

オバケーナ
変なやつだな…お前っ。へへっ。

高坂
え?ちょっ、まっ。

オバケーナ
…ありがとう。

高坂
え?俺がなにか感謝されるようなことでもしたかっ…てっ、あれ?どこに行ったんだい?おーい。あ、そうか!幽霊だから、透明になることができるのか!そうかそうか!そうだったな!いやところで、この森の出口を教えて欲しかったな…。おーい!出口を教えてくれー!

オバケーナは、高坂によって成仏することができたのだった。
因みにこれを読んでわかるように、高坂はアホであった。