あ、やばい。
と、思った時には遅かった
起きた瞬間パッと顔を上げたら、すぐ前に古坂がいて、唇が当たってしまった。
古坂は、必死に謝ってるが、それどころじゃない
さっきから心臓の音がうるさい…
とりあえず俺は不安そうな古坂を落ち着かせるために肩を撫でた。
斎
…わかったから、もういい
奈緒
……先輩、顔、真っ赤
古坂は、ぼーっと俺の顔を見ていた。
斎
…は?…赤くなんかねぇよ
斎
てか、さっきから変なんだけど…
斎
…なんなんだよこれ
奈緒
ど、どうしたんですか?
心配そうに俺の顔を覗いてくる古坂を見て、俺の心臓はさらに鼓動が早くなる。
斎
…なんか、心臓が、壊れそうなんだけど
奈緒
……へ?
古坂は、何かに気づいたように驚いた顔になった
と、同時に古坂の顔が真っ赤に染まった。
奈緒
…あ、あのっ、わたし、用事が、できたので帰りますねっ!
そう言って古坂は準備室を走りながら出ていった。
斎
……あ、資料。
俺は、落ちてあった資料を手に取り準備室を出た。
そこには優大がいた。
斎
…お前、用事あるんじゃねぇのかよ
優大
あ〜、ごめんね?あれ明日の予定だった〜
斎
まぁ、いいよ
斎
今日の分は終わったし。
優大
…それよりさぁ
斎
ん?
優大
奈緒と何かあったでしょ?
斎
…何かって、言われても
優大
かいちょー、顔真っ赤だし
優大
さっき走ってった奈緒も真っ赤だったし
優大
これは絶対何かあったよね〜
斎
……変なんだよ
優大
何が変なの?
斎
…さっきから心臓がうるさくて
斎
…壊れそう、すっげぇ痛い
優大
え。
斎
…さっき、奈緒と唇が当たったんだけど
斎
その時からずっとこんな感じで
斎
…俺、病気かもしれない
優大
……あー、かいちょー。
優大
今まで彼女いたことある?
斎
ないけど?
優大
友だちと恋愛の話とかする?
優大
恋愛映画とか見る?
斎
なんなんだよ、急に
斎
そんなもんねぇよ
優大
……。
優大
…まずいなぁ、この人
優大
超がつくほどの恋愛未経験者だー…。
斎
なにが?
優大
いや、なんでもないけどさ
優大
とにかく、それは病気じゃないから安心して。
斎
……うん。
斎
でも、病気じゃないなら、何なんだ?
優大
何なんだろうね〜
優大
ま、明日奈緒に会えばわかるよ
優大
デートでも誘ってみな
斎
デート?
優大
気になるなら、ね。







