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千冬

一虎

千冬

羽宮君、寒くないですか?

一虎

ん、……大丈夫、です

千冬

取り敢えずタオル持ってきますね、

千冬

まさか途中であんなに雨が降るとは…

千冬

盲点でした、

一虎

ぁ、の、大丈夫です、よ

一虎

だから、千冬さんからお風呂、

千冬

え?

千冬

いやいや、羽宮君から入ってください!

千冬

俺は全然大丈夫なので

千冬

あ、お腹すいてます?何か作って待ってますから、ゆっくり温まってきてくださいね( 微笑み )

一虎

ぇ、あ……

一虎

有難う御座います、

申し訳なさそうに下げられた眉が痛ましい

彼はずっと、こうして謝って生きてきたのだろうか

千冬

はい、大丈夫ですよ

千冬

( 他に俺にできることは、… )

千冬

とっ、取り敢えず、お風呂入ってきてくださいね

千冬

身体を冷やすと良くないですから
( 元気づけようと笑顔を向けて )

一虎

ぁ、はい、

千冬

はぁ…どうしよう

流れで家に連れてきてしまったことを、俺は今盛大に後悔していた。

もう夜も耽ける一方だし、親御さんも心配することだろう。

千冬

(それにしても、)

改めて見ても、とても、綺麗な子だった

千冬

( リズミカルに包丁を動かしては考え込んで )

抽象的な見た目は元より、一層目を引く大きな黒目

蜂蜜を凝縮したような___ そんな綺麗な琥珀色

千冬

かっこいい子だなぁ…

千冬

( 具材を全て鍋に入れ火にかけ )

場地君を見た時にも思ったが、今風のかっこいい顔付きだと思う

2人で並ぶと様になり、とても魅力的だった

ルッキズムである自覚は無いが、あそこまで綺麗だと、目を奪われてしまう

千冬

ん、そろそろ__

千冬

( 具材の煮詰まった鍋を火からおろし )

一虎

ち、千冬さん、

一虎

お風呂、上がりました、

千冬

あぁ、羽宮くん!

千冬

丁度良かった、今準備出来たところです

千冬

あっ、服とか大きくなかったですか?ドライヤーちゃんと使えました?

一虎

ぇ、あ

一虎

使えました、…服は、…大丈夫です

こちらから見詰めると、恐れるように目線を逸らしてしまう

もっと、こっちを向いて欲しいのに…

千冬

( 黙って一虎の頬に手を添え )

一虎

ぇ、…っ、

一虎

( びく、と肩を竦ませ、驚いたように千冬を見詰め)

千冬

…やっと、目が合いましたね

一虎

………ぇ、

千冬

なーんて!

千冬

羽宮君、こっち向いてくれなかったから寂しかったんです

千冬

すみません、怖かったですか?

一虎

い、いや…

一虎

大丈夫、です( 困ったように笑っては )

嗚呼、まただ

この子はいつも、人を恐れているのだ

千冬

…そうですか(微笑)

千冬

スープだけですが、食べましょうか

千冬

お腹すいてます…?

一虎

ぁ、はい

一虎

い、戴きます

千冬

!やった、いっぱい食べてくださいね!

一虎

いっぱいは食べられないかもしれない…です

一虎

最近、食欲あんまりなくて、

千冬

あぁ、すみません、大丈夫ですよ

千冬

無理しない程度に食べてください

一虎

…はい

たまに、この子の瞳が、酷く悲しげに見える。

影が落ちる、という言い方が正しいだろうか。

千冬

( 力になれたら… )

この子の畏怖を、溶かしてあげられたら。そう願わずにはいられない。

千冬

…羽宮君、少し話をしませんか?

一虎

え、ぁ……えっと、

千冬

嫌なら、大丈夫ですよ

千冬

あ、親御さんに連絡しなくて、大丈夫ですか?心配なさってるんじゃ…

一虎

それは、大丈夫です

一虎

気にしないでください

千冬

え、……

一虎

一虎

お、俺の親、夜勤で遅いんです。だから、夜は勝手に友達の家とか行き来してて。

一虎

いなくても心配されないから、大丈夫なんです

一虎

態々有難う御座います( 誤魔化すように笑って )

千冬

そ、そう、ですか

どうして、そんな苦しそうに笑うのだろう。

誤魔化さないといけない事が、あるのだろうか。

千冬

( もっと 、 この子について知りたい )

一虎

……っ、

千冬

…羽宮君、?

千冬

顔色悪いですよ

一虎

ぅ…す、すみません、なんか

一虎

くらくらする…( 崩れるように机に突っ伏して )

千冬

え、!?(慌てて駆け寄っては首筋に手を当てて)

千冬

あっつ…?!

一虎

は、はっ…

千冬

休みましょうか、疲れてしまったんじゃないかな…

千冬

ベッドいきましょう( 軽々と一虎を持ち上げて )

一虎

ぁ、う

千冬

吐きそうだったら直ぐに言ってください

千冬

我慢できそうになかったら吐いても大丈夫ですからね

一虎

ご、ごめんなさぃ、

千冬

?どうして謝るんですか?

千冬

大丈夫ですよ

千冬

寝たら、良くなりますよ

一虎

…っ、( 泣きそうに顔を歪めては伏せて )

千冬

よ、しっと

千冬

痛いところとかありますか?何がキツイ、とか

一虎

ぇ、と、

一虎

頭痛い、です

一虎

あと、くらくらする、

千冬

うん、薬飲みましょうね

千冬

熱上がってきてる……病院も行かないとですね

千冬

やっぱり、親御さんに連絡__

一虎

や、嫌です、!!

千冬

………わかり、ました

千冬

俺が診ます

一虎

ぇ、…?

一虎

千冬さん、は、

一虎

心のお医者さんじゃないの、?

千冬

あぁ、俺小児科の免許も持ってます

千冬

寧ろこっちが専門でしたね

千冬

でも、薬とか出せないので…病院は行っておきたかったんです

千冬

嫌なら、仕方ないです。俺が診ます

一虎

……しんじ、らんない

千冬

え?

一虎

行けって、言わないの?

一虎

話さないとわかんないって、言わないの、??

一虎

我慢しろって、__

一虎

なんで、言わないの、

千冬

そんなこと言っても、解決しませんよ

千冬

やりたくない事は無理にやっても辛いだけです

千冬

何時も逃げていいとは思いませんけどね

千冬

でも、たまには、少し先延ばしにしたっていいんじゃないですか?

一虎

ぉ、俺が、おかしいって思わねぇの、?

千冬

はい?

千冬

羽宮君におかしいところなんて__

千冬

ありますか?

一虎

っ、!!

千冬

羽宮君、疲れているんですよ

千冬

今は休んでください。薬、持ってきますね( 頭を撫でては部屋から出て )

一虎

………なんで、

俺は

”異常者”

なのに、

心の疲弊しきった中学生に気に入られました

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コメント

2

ユーザー
ユーザー

最新話ーーー!!まってました!!やはり最高👍異常でも好きだよ!?

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