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風が強く吹き、少し寒く感じる

桜笑

(もうずっと春なのに───)

やっと目覚めたあたしは窓を閉じようと起き上がる

 

───おはよ

桜笑

!?!?!?

桜笑

ビッッ…クリした

窓に手をかけたあたしの目の前に見習いくんはフワッと現れた

 

ごめんね、驚かせるつもりは無かったんだけど

桜笑

ん、だいじょぶ笑

桜笑

それでどーしたの?

 

 

…もしかして忘れてたのかな

 

今日は4月4日、日曜日だよ

桜笑

日曜日…あ

桜笑

ごめん、忘れてた

 

…ゲーム?

桜笑

うん、ゲームしてた

 

そのゲーム、見たことある

桜笑

え、見習いくんが?

 

仕事中にどこかで見たんだろう

桜笑

そっか

 

じゃあ点検始めるね

桜笑

はいはーい

それからいつも通り見習いくんは特にあたしに触れることもなく様々な点検をする

いつも通りの仕事内容

桜笑

(いつも通り、か)

桜笑

(慣れるには早いかもね)

見習いくんがあたしの家にいることに違和感を感じる

お父様にバレたら怒られちゃうな、なんて冗談を考えてから

そもそも見えないかという根本的なことに気づいて少し面白くなる

桜笑

ね、またどっか出かけよ?

 

…どーして?

桜笑

理由がなきゃダメ?

 

 

僕は一応きみに仕事として関わっているからね

桜笑

かったいの、お兄様みたい

 

───お兄様、か

桜笑

あ、いや、あたし兄弟いないんだけどね!?

桜笑

想像っていうか、お兄様っていうのは…

桜笑

えーとほら、なんか乙女ゲーでキャメロンってお兄様がいて…

 

それは知らないけど

 

きみが1人っ子ってのはウソだよね

桜笑

───え?

 

きみの名前は三日月桜笑──、否、三日月咲絵だろう

桜笑

桜笑

…ふふ、まあ見習いくんに知られても影響ないか

桜笑

そーだよ、本名は桜笑、こっちだけどね

 

なるほど

 

はい、終わったよ

桜笑

ありがとう

何にでも興味深々に見えていた見習いくんは

あたしに過剰に関わってこない

そしてもう全て知ってるとでも言うようにあたしを見る

会話はしているけれど、ホントは会話をして"くれてる"みたい

桜笑

(…それはそれでちょっと寂しいよね)

少し経ち、気づけば学園は始まっていた

菜乃

あ、同じクラスだ

桜笑

ほんとだ〜!やったぁ!!

桜笑

(…なんて)

桜笑

(ウソだ)

あたしは知っていた

莉乃や六花の言っていた通り、"あたしがいるから"安泰なんだ

このクラス替えは仕組まれている

桜笑

菜乃ちゃん!教室行っこ〜!!

菜乃

うん

菜乃ちゃんはあの日から吹っ切れたかのように

ドモったりキョドったりしなくなった

そして本来の性格がちょこっと見えるようになった

菜乃

───桜笑、行くよ

桜笑

あ、はーい!

桜笑

(菜乃ちゃんは)

元々人見知りな部分もあって

大切な人に中等部の頃のように裏切られたり見て見ぬふりされることが1番のトラウマとして残っている

だからこそ心を開いてから素直になれない菜乃ちゃんは──

桜笑

(すっかりツンデレちゃんなわけか!)

桜笑

(…同じクラスなのは──)

桜笑

(菜乃ちゃんに如月さん、それから───)

京介

げっ

桜笑

おっ宮代くんも5組?

桜笑

(これは偶然だね)

菜乃

…な、なにコレ、友達?

京介

コレってなん…ん゙ん゙っ

京介

ただの友達だよ、よろしくね

菜乃

既に相性が悪そうな2人に苦笑しながらあたしはあっと声を上げる

桜笑

ね、集会までには戻るしちょっと待ってて

桜笑

…あの〜

桜笑

毎年毎年言ってるんですが

 

おお、三日月さんではないか

桜笑

仕組むのやめてもらっていいですか

桜笑

あたしが咲絵と同一人物だとバレたらめんどーなんですって

 

いやいやなんのことかな

桜笑

(きっと校長はあたしがこれを言ってるだけだと思ってる)

桜笑

(むしろ、喜ぶとさえ───)

桜笑

桜笑

もしも

桜笑

来年も仕組むというのなら

桜笑

支援を休止せざるを得ません

桜笑

(…あたしにそんな権限はないけど)

桜笑

(これで怯んでくれるだろう)

三日月家の総資産は計り知れない

この学園ができたのも三日月家の支援金ありきだ

桜笑

(だから優遇するのはわかるけど…あたしは嫌なんだって)

 

ひえっ!?

 

それは困ります…

 

分かりました…来年はきっと

桜笑

…必ずですよ?

必ずクラス替えの前にもう1度来よう

そう思うまでが毎年のテンプレなのであった

きみの笑顔が見たいだけ

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