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6時間目は英語だった。

静夏

(これが終わったらやっと帰れる…。)

そう思い一息ついたとき、さっきの屋上でのことをふと、思い出した。

再び頬が茜色に染まった。

静夏

(また会いたい。次はもっと話そう。)

そう決心した。

翌日の朝、私はいつもより早く学校に行った。

静夏

(先輩いるかな。)

なんて思いながら屋上に目を移した。

私の胸が一気に高まった気がした。 そこには先輩がいたから。

私は教室に入らずに屋上へと向かった。

静夏

先輩。早いんですね。

正直話しかけるのは緊張したが、 今の自分にはなんでも出来そうなくらい 爽快な気分だった。

  

あぁ、空を見るのが毎日の日課なんだ。

  

屋上から見る空はすごく綺麗でさ、
過去に残した嫌な記憶とか全部無くなるような気がするんだ。

何も言わずに空を見上げる。

確かにすごく綺麗な空。

私を包み込んでしまうほど大きな雲に、果てしなく広い青い空。

静夏

すごい。

  

凄いよね、こんな綺麗だなんて。

静夏

いや、空じゃなくて先輩が。

  

…えっと僕?

静夏

はい。

こんなに綺麗なものを見つけられた先輩はすごいと思った。

私なんかと違う。 すごい人なんだ。

  

ありがとう。
でも僕は、全然凄くなんかないんだ。

そう言った先輩の顔は 太陽が見当たらない曇りだらけの空のようだった。

私にかけられる言葉なんて 一つもなくて、

静夏

…そうですか。

と言うことしかできなかった。

そのまま鳥が羽を羽ばたかせる音、 車が走る音、木から歯をさらって行く風の音が

私たちの間に響く。

少し時間が経つと、 友達とはしゃぎ楽しそうな声、 今日も学校という現実に嘆いている声がうっすら聞こえた。

静夏

(もうこんな時間か。)

と思い自分の足元から 先輩へと視線を移した。

静夏

教室行かなくていいんですか?

  

まだ行きたくなくてさ。

先輩はそう言いながら どこか切なそうな顔をし微笑んだ。

静夏

そうですか。

静夏

じゃあ、また昼休みに来ますね。

  

あぁうん。いつでも来てよ。

静夏

…はい。

私は口角が自然と上がっていくのを 我慢し、急いで屋上から去った。

心臓がバクバク鳴る。

私の頭の中は渋滞していた。

ただ、約束をしただけの会話だった。 それだけ。そんな些細な事でもわたしは嬉しかった。

落ち着いてきた時、階段を下り始めた。 ふとした瞬間やってしまったと思った。足を踏み外してしまったのだ。

目を覚ますと

保健室だった。

私だけの天使でいてね。

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