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夕方の風鈴坂は、人通りが少なかった。
空はオレンジ色で、海が遠く光っている。
バス停だと思ってください!すみません…m(__)m By主
蒼と私は、坂の途中のバス停に並んで立っていた。
高校の頃と同じ場所なのに、二人とも少し背が高くなっていた。
しばらく、風の音だけが流れる。
紬
私がゆっくり口を開いた。
紬
蒼は何も言わずに、うなずいた。
紬は坂の下を見つめたまま、続ける。
紬
母の病気。 回復。 元の街に戻ること。 進学先も、生活も、未来も。
紬
紬
声が少しだけ震えた。
紬
風が吹き、どこかで風鈴が鳴った。
紬
紬
紬
蒼はしばらく黙っていた。
それから、静かに言った。
蒼
蒼
私の目が揺れた…。
蒼
蒼
私は息を吸い、初めて蒼の方を見た。
紬
紬
夕暮れの中で、二人の影が並ぶ。
私は、小さく、でもはっきり言った。
紬
風が、坂を駆け抜けた。
蒼は笑って、少して照れたように答える。
蒼
蒼
二人の間に、もう沈黙はなかった。
過去は、ようやく言葉になって、
風にほどけていった。
その坂は、
もう送り出すだけの場所ではなくなった。