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ブルー

ったく…レッド、遅かったじゃねぇかよ

座席に座り、ブルーはレッドの耳元で言った

グチグチ言い出しそうなブルーに、レッドはペコぺこと平謝り

レッド

すまねぇって…ちょっと友達に会って時間経っちまってさ…

レッド

ほら、コンビニで新作アイス出るってテレビで言ってたからお詫びに買ってやるよ

ブルー

え!?いいのか!?よっしゃあ!!

レッド

ちょろいな……

ブルー

何か言ったか?

レッド

別になんにも

ブルー

ならいいけどよ……

ブルーは再び座り直す

絶対バカにしてんじゃねぇのか?と頭上に『?』と『💢』を浮かばせながら

ガタンゴトンと気長に揺れる電車は、夏のそよ風ごと運んでいる様。

いつもだったら無意識にネットサーフィンに走ってしまうところだったが…

レッド

レッドは向かい側の席を見つめていた

いや、正確には‪”‬向かい側の窓‪”‬だ

彼の瞳には、矢継ぎ早に切り替わっていく風景が映っていた

人がガラガラで助かった。

まずほとんどの人が見えない‪”‬霊‪”‬と話しているだけでも不思議だと思われるが……

そういう事じゃない。

なぜなら____ 勉強の事や、ただの空想、どうやったら掃除当番をサボれるか考えていた訳でもないのに

目は吊り上がる程に真剣だった

そんな様子に、暑い日差しと揺れのダブルパンチを浴びて眠りに落ちてしまったブルーは、気付くはずもない

次は〜○○駅〜○○駅〜

レッド

お、次じゃねぇか…ってブルー!

レッド

次で降りるぞ!?俺がいなかったら二度と帰れねぇぞ?

耳元で叫んでもブルーはすぴーと寝息を立て、体をリラックス体制にしたまま動かない

チッ、と一つ舌打ちをして、レッドは右手の人差し指と親指をまるで摘むような形に作り───

ムギュ

ブルー

あ‪”‬いだっ!?

ブルー

何すんだよレッド!!いきなりほっぺ摘むって酷すぎねぇか!?

ブルー

手加減とかの概念はねぇのか!?

レッド

摘むに手加減もクソもねぇだろ

ブルー

そういうことを言いたいんじゃねぇよ……

レッド

お前が起きないのが悪いんだろ、次で降りるぞ

ブルー

…はいはい、分かりましたよー

明らかに不満そうなブルーをよそに、おもちゃのような動きで走る車両

スマホを出す気力すら失ってしまいそうだ。

さっぱりと気抜けするガラガラの田舎っぽい電車…暑いが暖かい夏の空…

───そののどかさは、相変わらず清々しく…いっその事、美しくもあった。

ガコン、と一揺れ。

どうやら着いたようだ

レッドは立ち上がり、ブルーも立ち上がる

履き古したスニーカーと、透き通ったスニーカーが、去っていった

ブルー

へへっ、ありがとな!コンビニ寄ってくれてよ!

レッド

チッ…すっかり忘れてたと思ってたのによ…

レッド

車内で寝てたじゃねぇか……寝たら普通忘れるだろ…

レッド

…ん?寝ると記憶が定着するんじゃなかったか?

ブルー

どうでもいいから奢ってくれよ!な!!

ブルー

まさか約束破る…なんてことはないだろうな?

レッドはうっ、と言葉に詰まった

あれはただの口封じだった……と、口が裂けても言えない

そんなレッドの心境を知って知らずか、コンビニの冷凍コーナーに鼻歌を歌いそうなほどご機嫌に近付くブルー

それ程ウッキウキな青年がいたならば、他のコンビニにいる人が微笑ましい目線を向けてもおかしくない

が……

ブルー

……

ブルーは一瞬だけ唇の先をにかわに震わせた

だが、すぐに笑顔でアイスが置いてある棚を覗き込んだ

ブルー

なー、新作アイスってどれだ?

レッド

えーっと…どれだっけな…

レッド

お、これだこれ‪”‬猛暑に負けるな!ザ・オレンジアイス”‬

レッド

せっかくなら俺も食うか…

彼はひんやりとしたケースの蓋を開け、新作アイスと、近くにあったラムネ味のアイスを手に取る

コンビニの窓から見える緑と、ミーンミンと蝉の声…

冷房が効いた店内から出たら、一瞬で汗が吹き出すだろう

レッド

(うっ…熱中症ルートが見える見える!)

想像したレッドは、すぐさまひえひえの麦茶をカゴに入れた

レッド

これ食べつつ探索するか

ブルー

賛成だぜ!!

「三点で、〇〇〇円です」

「ありがとうございましたー」

ブルー

いや分かってたけど暑すぎる!!

レッド

あ〜つれぇな〜……

ブルー

にしてもこの辺りは緑ばっかりだよな…少しは暑さも軽減されてる気がするぜ

レッド

俺も今の生活になってなきゃ、ここまで通ってないだろうしな

彼は溶けかけてきた水色のアイスを頬張る

夏祭りで食べたような味が、舌の上に広がる

____美味しい。

つられてブルーも太陽のような色をしたアイスを口に運んだ

ブルー

ん〜うまっ!染み渡る〜…

レッド

そういや、お前ってアイスが結構好__

その時、レッドの言葉が突然と止まった

ブルー

……どうかしたのか?

レッド

……いや、何でも…

そういうものの、奇妙な感覚に頭が拗れていた

口にした瞬間、突如として霧が見えたのだ

『頭の中の霧』が。

その霧が、段々薄まっているような…居ないような…

ほんの一瞬だったのに関わらず、レッドは夏なのに冷や汗をかいていた

手に持っているアイスは、もう手に滴らんばかりに溶けていた

ブルー

おい…大丈夫かよ…

レッド

いや、まじで大丈夫だから。さ、探索だぜ探索

ブルー

…それもそうだけどさ……

それっきりブルーはどこかを向いて、アイスを口に運ぶ以外に、口を開かなくなった

レッドも液状になりかけたアイスを舐めるように食べる以外は、口を開かなくなった

気にしていない様子を装った。だが……

レッド

(なんで…頭にボヤが…いや…)

レッド

(記憶に被さるように霧?が乗っかってるみたいだったな…)

レッド

(それが俺の‪”‬中の世界‪”‬なのかはさっぱり分かんねぇけど…)

レッド

(なんで…あの時に……)

レッドはぐるぐると、巡るように考え続けていた

そのせいだったか。

ブルーが重く深い眼差しをしているのに、気が付いていないようだった

例えるなら、そう____

さっき、コンビニで唇をにわかに震わせた時のような… どこか悲しそうな、寂しそうな、どうにもならない感情を現れ。

───どちらも食べ切るまで話しかけようとはしなかった

ミーンミンミンミン。何かのためにエールを送り続ける蝉。

たった‪”‬数分間‪”‬であった。

だが、その異様な雰囲気はすぐにそこのけそこのけ出来なかった

それの存在には気付いたが、『彼』には正体が分からなかった

ブルー

…なぁ、レッド

ようやくブルーが口を開いた

レッド

…どうしたんだ?

レッドは気さくにそっちの方を向いて、ハッとする

この話し方は……。 と。

ブルー

あのよ…俺達結構ここに通って記憶のヒント探しをしてるだろ?

ブルー

あれからちょくちょく思い出したことがあってな…

レッド

!?思い出した事があんのか!?

レッド

教えてくれ!!

ブルー

おう、もちろん教えるんだけどよ…

ブルー

その前に…一つ俺から報告があるんだ

ブルー

……できれば、報告なんてしたくないんだけどな、こんな報告…

ブルーは泣きそうな顔で歯を食いしばる

レッドも動揺せざるを得ない。こんな重々しい様子のブルーは、今まで過ごしてきた中で見たこと無かった

目が乾く。カッサカサに。嫌な予感で瞬きできない。

レッド

………ど、どうしたって言うんだよ……ブルー…

レッド

順調だったじゃねぇか…今まで…何が…この短ぇ時間に……

ブルー

そうだよな…こんな短い時間に…

ブルー

いや、ここまで言ってんだから渋ってたって仕方ねぇ

すうっ、と緊張を解きほぐすかのように一息

レッドも喉を鳴らして、さほど量のない唾を飲み込んだ

緑が初々しく笑う時───

ブルー

もう、これ以上やったって…無駄だぜ、多分よ…

レッド

…………は?

HiddenMemories〜懐かしの夏〜

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