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21gを笑う天使

第45話 - プレゼント

2022年12月24日

#21gを笑う天使

鹿王院琥珀

瑠流

最後までって...でも、その...蛇ヶ崎さんは...

茜

ああ、死ぬな

茜

そこはアタシの体調次第...つまり、悪くなってきたらってことになった

瑠流

そう...なんだ...

茜

で、肝心の話したことは...

数分前

茜

...なぁ、遊。少しいいか？

遊

ん？どったの？

茜

“約束”のことなんだけどさ...

遊

...やめたくなった？

茜

そうじゃねーよ

遊

じゃあ何さ

茜

もし、お互い“約束”を守り続けられたらさ...

茜

“プレゼントを渡す”っていうのはどうだ？

遊

“プレゼント”...？

茜

その方が楽しみにならないか？

遊

んー、まあワクワクはするね

遊

でも、それって必要性あるの？

茜

一番の思い出になるだろ

遊

あー、確かにね

茜

で、更に加えたい条件が1つあって...

茜

貰ったプレゼントは“必ず受け取る”

遊

“必ず”って...何が何でも？

茜

そうだ

遊

何それ怖い

遊

でも、そっちの方がより“約束”を守ろうって気持ちにはなるか...

遊

うん、いいよ

茜

本当か...？

遊

うん、でも茜も私からのプレゼントは絶対に受け取ってね

茜

ああ、分かった

茜

って感じのことを話したんだ

瑠流

そうなんだ...

瑠流

あ‼︎あともう1つだけ聞いてもいい？

茜

別に何個でもいいぞ

瑠流

今までの話を聞いた限り、風祭さんは自殺...を考えてたんだよね...

茜

ああ。てか、この“約束”で一時的に思いとどまらせてるだけだよ

瑠流

じゃあ...蛇ヶ崎さんが自殺しようとしてるって訳じゃないんだね？

茜

何でアタシが？

瑠流

さっき、蛇ヶ崎さんから頼まれた本を返しに行った時『或旧友へ送る手記』ってページが折られてたから思わず読んだの

瑠流

そしたら...自殺の...その...遺書みたいな内容だったから...

茜

ああ、あれか

茜

あれは芥川龍之介の遺書と呼ばれてるものだ

瑠流

やっぱり遺書だったんだ...

茜

あの本を読んだ理由は遊が1番好きなものだったからなんだ

茜

元々文豪が好きってのもあるけど、恐らく自殺をする上での参考にしたかったんだろうな

茜

だからアタシは遊の自殺に関わった話が気になって読んだってだけだ

茜

別に自殺を考えてる訳じゃない。勘違いさせて悪かったな

瑠流

いやいや‼︎自殺を考えてる訳じゃないなら良かった‼︎

瑠流

あのさ...

瑠流

風祭さんって何で自殺したいの？

茜

何で...か

茜

アタシも具体的に聞いたことはないな

瑠流

そうなの？てっきり“約束”した仲だから、お互いのことについて知り合ってるものだと思った

茜

いや、あれは互いのメリットを優先し合ったものだからプライベートや秘密を詮索するものじゃないんだ

茜

だからアタシの病気について遊は無関心だし、遊の自殺に関してアタシはとやかく言うつもりはない

瑠流

でも、参考にした遺書気になってるじゃん‼︎

茜

それはただの好奇心だ

茜

それと...少し気になったことがあってな

瑠流

気になったこと？

茜

前に一度、この本の内容を遊が話したことがあってな

茜

その時にアイツはこう言ったんだ

茜

「将来を考えると死にたくなるから、今この時間は気付いていないフリをしようってことです」

茜

「だからこの時間はただの“戯れ”です」ってな

瑠流

“戯れ”...？

茜

あの言葉が今になって気になってるんだ

瑠流

この時間って...何のことを指してるの？

茜

あの時、場所は部室だったから...多分、死研の活動だと思う

瑠流

じゃあ、風祭さんは死研の活動が遊びって考えてるの？

瑠流

確かに雑談とか多めにしてるけど、でもいじめを解決してくれたし...

茜

これはアタシの個人的な考察だから無視してくれて構わないんだが...

茜

遊は死ぬまでの過程を全て偽りのモノだと考えているのかもしれない

瑠流

...偽りのモノって？

茜

つまり、意味のないことだ

茜

酷い言い方をすると、アタシや猫屋敷のことなんてどうでもいいということだ

瑠流

それなら、何で私のいじめを解決してくれたの？

茜

分からない。遊の気まぐれか、それとも別の目的があるか...

瑠流

別の目的...

茜

まあ、何はともあれ考えれば考えるほど可能性は増えるってことだ

瑠流

なるほど...

瑠流

分かった、色々話してくれてありがとう

茜

もう聞きたいことはないのか？

瑠流

取り敢えずは大丈夫かな

瑠流

じゃあ、私は帰るね

茜

ああ、また聞きたいことがあったら何でも話してくれ

瑠流

分かった‼︎お大事にね‼︎

そう言い残し私は病室を後にした。

21gを笑う天使

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鹿王院琥珀

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