あの人、右足ないじゃん
事故かしら…
痛そうだわ
ね、可哀想
あぁ、また。
私はまた…
…お荷物、持ってあげましょうか?
えっ?
そんな大荷物で階段なんて下ったら危ないわ
あ、ありがとうございます…
(優しい…人達)
…い、痛そうですね
大丈夫ですか?
えぇ
ちょっと…!
そんなこと聞いたら 可哀想 じゃないの
あ、えっと…
気にしないでください
大変さも
「可哀想」も
…慣れてますから
今日は久しぶりの晴れの日
近くの海まで散歩しよう
海の風は爽やかで心地よくて
ザザーッとなる波の音が
1番好き。
だけど
アイツ右足なくね?
本当だ…
私が通る場所は
必ずザワつく
(別に慣れてるし、こんなの)
一番嫌いなのは
にしても歩きにくそうだなぁ
生活大変そうだな
ね、 可 哀 想
ほんっと可 哀 想
あぁ、また。
また聞こえてしまう
また言われてしまう
可哀想。だと
(私はちっとも)
可哀想なんかじゃない
偽善者ぶらないで
なんて言ったら酷いかもしれないけれど
貴方の偏見で
私を「可哀想な人」にしないで
可哀想っていうのは
弱い立場にあるものに対して同情を寄せ、その不幸な状況からすくってやりたい、と思うさま
という意味を持つ
やっぱり偽善者じゃん
だけど
世間では「可哀想」は優しさであり
それを拒否することは
無愛想。らしい
可哀想
という言葉を埋め込まれた私は
可哀想、な人として
生きていくしかないみたい
フェンスを越え 足を1歩前に踏み出して
可哀想な人。という人生の
始まりを
きざむ。
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