テラーノベル
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私は自分の中で、ある仮説を立てた。
片想いは、感情的な錯覚である。つまり、理屈で打ち消せる。
好きだと思う気持ちは、例えば顔が整っているとか、声がいいとか、優しくされた記憶の蓄積とか、そういう"条件"によって錯覚が生まれているだけ。
それをひとつずつ分析して、分解していけば、感情は薄まっていく。
私は、そう信じていた。
だから、私はメモを取ることにした。
緑に対して"好きかもしれない"と思ってしまった要素を、ひとつずつ書き出していく。
【好きだと思った理由の仮説】 ①笑顔が眩しい(→誰にでも笑顔。特別ではない) ②声が落ち着く(→単なる好み。恋ではない) ③距離が近い(→物理的な問題。たまたま席が隣なだけ) ④名前をよく呼ばれる(→ノートを借りたいから。目的あり)
橙 。
橙 。
そう言い聞かせながら、私は手帳を閉じた。
好きって感情は曖昧で、定義がない。
でも、それを言葉で説明しきれれば、きっと"恋"は消せる。
そう、私は__
緑のことなんて、好きじゃない。たぶん。
緑 。
教室のドアの隙間から、声がした。
また、彼だ。
橙 。
橙 。
なんで毎回、タイミングよく現れるの?
緑 。
橙 。
緑 。
緑 。
また心臓が、勝手に早くなる。
これは"好き"じゃない。驚いたから。想定外だったから。
私はそう言って、心の中で自分を納得させながら、小さく頷いた。
橙 。
隣を歩くその背中が、なんでもない日常の風景のようで、なのにやけに意識してしまう。
"仮説"を信じているのに。
なのに、どうしてこの感情は、理屈に従ってくれないんだろう。
コメント
8件
わ ー !!✨ めちゃくちゃ 好きです !💖
やっぱjpet最高だし良すぎる!!jpってリーダーだから、メンバーとか誰とでも仲良くなれる気がするから、動画内とかでもjpet見れるんだよね!!