翌日。教室に入った璃子は、そこで昨日の少女を見つけた。
クラスメイトの美咲。 同じクラスにいたはずなのに、これまでほとんど意識してこなかった。
けれど一度目にしたあの光景は、鮮烈に心に焼き付いていた。
放課後、思い切って璃子は声をかける。
璃子
昨日……紫陽花の道にいたよね?
美咲は驚いた顔をしたあと、ふっと笑った。
美咲
……見てたの?
からかわれているようで、璃子の頬が熱くなる。
璃子
ごめん……その……歌、きれいだったから
美咲
ふふ、ありがとう。雨の日って、なんだか歌いたくなるんだ
その日から二人は、少しずつ話すようになった。
美咲は音楽が好きで、洋楽も邦楽も幅広く聴いていた。
璃子はそんな彼女の話に耳を傾けるのが好きだった。
気づけば、放課後は一緒に帰るのが当たり前になっていた。
駅までの道、紫陽花の小径を並んで歩きながら、美咲が小さく歌い出すと、璃子の心は不思議と穏やかになった。






