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第4話
玲央が奈々に助けられた過去
この時、美結はまだ裏社会の存在すら知らず、 玲央も今のような飄々とした男ではありませんでした。
運命の逆転「君に拾われた夜」
夜の街の片隅。 コンビニの灯りが、冬の冷たい空気を切り裂いていた。
奈々は学校帰り、いつものように パンと温かい缶ミルクティーを買って、 家までの少し遠回りな道を歩いていた。
そのときだった。 路地裏から、かすかに「うめき声」が聞こえた。
奈々
足を止め、躊躇いながらも、 奈々はそっと路地を覗き込んだ。
そこには、血だらけで倒れ込んだ男の姿
黒髪に灰色のパーカー。顔はよく見えない。 けれど、背中に刺し傷のような跡があり、 意識が朦朧としていた。
奈々
咄嗟に、奈々はミルクティーの缶を落としながら、彼に駆け寄った。 手が震える。怖い。でも、放っておけなかった。
奈々
そう言おうとした瞬間、男の手が奈々の手首を掴んだ。
玲央
奈々
玲央
男の目は恐怖に染まっていた。
“あいつら”誰だか分からない。 けれど、本気で怯えていた。 このまま見殺しにはできなかった。
奈々
その言葉を最後に、男は気を失った。
そのまま、奈々は彼を家に連れ帰った。 妹は塾で不在、両親も遅くなる日だった。
体を拭き、簡単な手当をして、パーカーを脱がせると、 その体には無数の痣や傷跡があった。
明らかに“普通の男の子”ではなかった。 でも、奈々は彼の髪を拭きながら、ただ静かに言った。
奈々
それが、玲央の記憶に焼き付いた“初めての温もり”だった。
翌朝、男は何も言わず、パーカーのフードを深く被りながら、姿を消した。
そして数年後 裏社会で名を上げた玲央が、奈々の前に現れたとき、
彼は、あの夜のことを何も言わずに、こう呟いた。
玲央
でもその声には、微かに揺れる感情が滲んでいた。
玲央
どうだったでしょうか?
次回:玲央が奈々に執着する理由
お楽しみに
バイバイ
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