あなたは素敵。
明るく降り注ぐ陽の光、
木々を揺らす野の風、
煌めき反射する波のよう。
世界の至る所にあなたを感じる。
あなたはとっても素敵。
私の人生のすべて、心のすべて。
あなたを手に入れたい。
気まぐれな鼻歌を、
ざらづいた感触の声を、
少し癖のある前髪を、
隙間で物憂げに揺れる瞳を、
何もかも、
一つ残らず、
私は、
欲しいのです。
そんな、
唯一無二のあなたを、
永遠に孤独にしたい。
かけがえのない息吹を、
この手の中で愛でていたい。
もうだめだとうつむく背を、
死にたいと囁く喉を、
殺してくれと語りかける眉を、
劣等感を吐き出すための唇を、
無価値だと蔑む卑屈さを、
無理解を嘆く尊大を、
なにもかも、
すっぱり散らす日を夢見て、
まだしばらくの間は、
あなたを繋いでおきましょう。
「辛いときは逃げてもいいの」
「生きていてくれればいいの」
甘い毒薬が好きなあなただもの。
嗚呼、素晴らしいわ。
なんて単純で、
なんて素敵な人。
あなたを
どう殺して、
どう処理して、
どこに捨てよう。
そんな甘い空想に浸って、
これからもずっと、
私はずっと、
幸せでいられます。