まほうやさん

ある国に宝輝族という貴族が居た

父、母、娘の3人家族だ

ある日のこと　国中の家に　宝輝族にもう少しで新しい娘が産まれる　と手紙が届いた

国民達は心から喜んだ

2年後…

国中の家に悲しい知らせが書かれた手紙が届いた

「国民の皆様へ 悲しい知らせがございます 宝輝族の新しい娘となる子は 無事に産まれず この世を去りました ご報告が遅れてしまい申し訳ございません」

国民達はとても悲しんだ

ということにされているのが私

宝輝族という人達は皆　白髪に宝石のような金色の瞳が特徴なのだけれど

私は違った

産まれた時は　白髪に金色の瞳だったけれど

日に日に私の髪の色はピンク色に変わっていった

変色していくごとに母は段々と暴言を吐くようになってきた

もちろん医者にも見てもらった

私の祖母が髪が変色していく病にかかっていたそうで

遺伝したと聞いた

母は病に強い体質だったそうで遺伝子したけれど変色するまでは行かなかったそう

私の場合は髪だけではなく目の色まで変わっていった

それについては医者もよく分からないそうで

ただ変色するだけの病だった事が唯一の救いだった

母は自分達と違う容姿の私が気に入らないらしく

暗くて狭くて汚くて

まるで囚人が入るような部屋に

私を投げ入れた

ガッ

でも父だけはこの部屋に来た事がなかった

だからもしかしたら助けてもらえるかもって

思ってたんだ

ある日初めて父がこの部屋まで来た

ガチャン

やっぱり誰も助けてくれないんだね

数年後…

私は10歳の誕生日を迎えた

その日はなんだか近くの街が騒がしかった

ゴーンゴーン

滅多にならない鐘が鳴った

何やらお城の中も騒がしい

いつものように腐ったパンを投げ捨てた

この人は私専属のメイドらしい

態度がメイドとは言えないと思うけれど

バン

そう言って力強く扉を閉め　部屋を出ていった

ここでいつもは鍵を閉める

でもこの日は焦っていたからか鍵を閉め忘れて行った

部屋についている小さい小窓から外を見渡す

私はこの国から逃げる事を決意した

バレたら何をされるか分からない…

そんな怖さもあったけど

やっぱり人間は欲望には勝てないんだね

「逃げたい」という気持ちが強かった

ゴーンゴーン

タッタッタ

あ…これ家族写真…

暴言を吐かれても　殴られても

やっぱり家族は好きなんだなって自分でも感じた

ガッ

歩いているうちに知らないところに来てしまった

ガッ

バタン…

貴方は「王」

選ばれし存在

この街に全てを捧げる

次に目覚めた時にはもう

まほうやさんの店長で

記憶がすっぽり抜けたような…そんな感じだった…

日に日に無駄なことを考えなくなっていって

もうロボットのようになって…

…