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ボスキと主様

第64話 - 第64話分離した記憶、2人の主第1章 (主とユーハンデート編)

2024年09月24日

#悪魔執事と黒い猫

#ボスキ・アリーナス

aimer(エメ)

その日は、ユーハンと博物館に来ていた。

ユーハン

主様、お疲れになってはおられませんか？

主

はい。大丈夫です。ユーハンさん。

ユーハン

主様。私のことはユーハンとお呼びください。主様の執事である私にさんはいりません。

主

あ、はい。ユーハン。

ユーハン

はい。

と微笑むユーハン。その微笑みは妖美でありながら、どこか引き込まれそうになる微笑みであった。

主

(そうですね。ここ、外だから、ちゃんとしないとユーハンさん…じゃないですね。ユーハンに迷惑をかけてしまいますね。)

ユーハン

ところで、主様はなぜ博物館に来られたのですか？何かご興味を惹かれるものでもあられましたか？

主

いえ。なんとなく、落ち着いた場所へ来たくなってしまったんです。もしかして、ユーハンは来たくなかったですか？

ユーハン

とんでもございません。私は、主様が向かわれる場所であれば、どちらへでも参ります。

主

ありがとうございます。ユーハンは優しいですね。

ユーハン

……………。

ユーハン

(その笑顔は変わらず私にも向けてくださるのですね。〇〇さんは。)

主

どうかしましたか？ユーハン。

ユーハン

いえ、やはり、主様は笑顔が可愛らしいお方であると感じておりました。黙り込んでしまい、大変申し訳ございません。

主

あ、いえ////うれしいです。

ユーハン

左様ですか。では、中は滑りやすいため、私が主様をお連れいたしますね。

そういうと、執事らしく、主の手を取り、主の足元を注意しながら歩くユーハン。

主

(なぜだか、デートという感じではありませんね。場所がよくなかったでしょうか。)

そう思いながら、主もユーハンに連れられ博物館の中を見たあと昼を迎える。

ユーハン

主様。そろそろ昼食のお時間でございますが、どちらへ行かれますか？

主

(なぜでしょう。少し、窮屈さを感じます。)

主

はぁ………。

ユーハン

大丈夫でございますか？もしや、体調が悪くなられましたか？

主

い、いえ、大丈夫です!
すみません…。ユーハン。少し、御手洗いにいってきますね。

ユーハン

かしこまりました。こちらでお待ちしておりますので、何かございましたら、すぐお呼びくださいませ。

主

はい…。

そして、御手洗いに向かう主を見ながらユーハンは思う。

ユーハン

(私は何か主様の気に障るようなことをしてしまったのでしょうか…？)

女子トイレ

主

はぁ………。疲れました。ボスキの時は、そもそも気兼ねない感じで、一緒に居て楽でしたし、ハナマルさんの時は、こうフランクで話しやすいと言いますか、窮屈さを一切感じなかったのですが…。

主

今日のは、デートって感じがしないんですよね。いつもの主と執事という感じで。ボスキもハナマルさんもデートらしい感じがしましたが…///そういえば、私、2人としちゃいましたね…。以前の私とやはり根本から求めるものが変わらないのでしょうか…。求める？私は何を求めていたのですか？……………………。

わからないまま、欠けたピースを探し続ける主は急に気が遠くなる。

バタン

そして、その場に倒れてしまう。

暗闇

主

ここは、どこでしょうか？

主

[あなは、誰？私？！どういうこと？]

主

え？

主

[私もここがどこだかわからないけど、ずっと閉じ込められているの。あなたは、何なの？なんで私の姿をしているの？]

主

そういえば、こんなに真っ暗ですが、お互いが見えますね…。不思議な感じがします。

主

[…………。何者なの？あなた。]

主

私は私です。ただ、ずっとあなたを探し続けていました。

主

[私を？なぜあなたが…。]

主

私は、記憶がありません。だから、みなさんが私の記憶を取り戻すために尽力して下さっています。そして、あなたこそ、私の記憶そのものだと確信しています。

主

[みんな……。はっ!ボスキは？！無事なの？！]

主

はい。元気にしていますよ。ずっとあなたを探しながら、私を愛してくださいました。

主

[ボスキと寝たの？]

主

……すみません。

主

[ううん。あなたも私なんだよね？]

主

はい…。

主

[なら、気にしない。浮気じゃないもの。どの口が言うかって思うかもしれないけど…。]

主

いえ、みなさんがあんなにあなたを愛されているのですから、無理もありません…。むしろ選べという方が酷かもしれませんし…。

主

[…………ありがとう。もう1人の私。]

主

いえ、それより、私がここに来たということは、もしかしたら、あなたがあちらへ行けるかもしれません。

主

[!!!]

主

確証はありませんが…あなたが本来の私なら、ここからあちらへの道がつながるはずです。

主

[あなたはどうなるの？]

主

ここにい続けることになるのか、消えるのか、それはわかりませんが、あなたがいる方がみなさんには良いと思います。悔しいですが…本当の意味でみなさんが愛しているのは、あなたですから…。

主

[あなたも…みんなを…？]

主

はい。私もあなたそのものですから…。
さぁ、行ってください。

主

[え？どこに…。]

主

あなたのうしろを見れば、わかります。

主

[うしろ？]

主

[あれは、光？]

主

その先に行けば、きっとあなたが帰りたい場所へたどり着けます。行ってください。

主

[ありがとう…。うん。行く!でも、必ずあなたも助けるから！]

主

私を？

主

[うん。待ってて!]

主

わかりました。ありがとうございます。もう1人の私さん。私は、ここで待っています。

主

[うん!必ず来るから!]

主

信じています。
私もあなたですから。

主

行かれたようですね。

主

さて、私はここでしばらく眠りましょうか…なんだか、すごく眠くなってきてしまいましたし…。

主

おやすみなさい…。

主

……………。

ユーハン

(私は、主様にどう接したら、よろしかったのでしょうか？やはり、もっとフランクな感じで…。)

バタン

ユーハン

(なんでしょう。今の音は…。まさか!)

タッタッタッ

女子トイレ

タッタッタッ

そして、ユーハンが女子トイレに入ると洗面台の前に倒れる主の姿があった。直ぐに、ユーハンは駆け寄り主を抱き起こす。

ユーハン

主様!しっかりしてください!

主

すぅ～すぅ～

ユーハン

気を失ってしまわれていますね。急いで屋敷に連れていかなければ!

そうすると、ユーハンは主をお姫様抱っこで抱え、急いで博物館を出て、馬に乗せ屋敷へ走る。

ユーハン

はぁ…はぁ…。主様。大丈夫ですからね。

主

うぅ…みんな…ボスキは無事なの……？…うぅん……。

ユーハン

(主様…何をおっしゃっておられるのでしょうか？まさか、悪夢を見ておられるのでしょうか？)

ユーハン

主様。私ならこちらにおります。ユーハンはここにいますからね。

主

(あれ、この光景前にも…。………………。)

～主の記憶～

ボスキ

おい!〇〇!しっかりしろ!
頼むから!
目を開けてくれぇ!!!

主

う～ん…。

ボスキ

はぁ…。良かった。とりあえず、このハンカチで頭押さえろ!すぐルカスさんのところへ連れて行く!

主

ボ…スキ？

ボスキ

いいから。黙ってろ!

～現在～

主

私……ようやく…あの暗闇から帰って来れたんだ…。ユ、ユーハン？///え？何？なんで馬に乗ってるの？！

ユーハン

主様？

主

いや、だから!////
まぁ、いいや。とりあえず、降ろして////

ユーハン

主様…。記憶が？！

主

そうなんだけど、まだ、全部じゃなくて…それに…もう1人の私を助けるって約束したから。

ユーハン

もう1人の主様…ですか？

主

うん。言ってること意味不明だと思うけど、後で説明するから、だから早く降ろして？///

ユーハン

なりません。

主

……………/////

主

(え～～!なんで？って聞きたいのに、ユーハンが真剣すぎて、後なんも言えないんだけど…。)

そして、屋敷に着くかと言う時、

主

あのさ………。

ユーハン

はい。いかがなさいましたか？主様。

主

私、自分で歩けるよ？///だから、お姫様抱っこなんかしなくても……///

ユーハン

なりません!頭を打っている可能性もありますから、ルカスさんのところまで我慢してくださいね。

主

？

ユーハン

主様は、先ほど、私とのデート中に倒れられたのです。ですから、ルカスさんに診察していただくまでは、動かず、私に身を委ねてください。わかりましたね？

主

そうだったんだ…。なんか、迷惑かけてごめんね…。

ユーハン

めっそうもございません。迷惑などとは思っておりませんので、お気になさらずに。むしろ、頼られて嬉しいくらいですから。

主

ユーハン…////

主

あのね…私、なんだかこうやって、ユーハンと密着してて、男の人の香り嗅いじゃって…私…/////

ユーハン

致したくなってしまったのですか？//////

主

うん…////はぁ…////

ユーハン

(吐息まで吐いて、そのような物欲しそうな顔をしないでください////私も意識してしまいます///)

ユーハン

少し我慢してください///私も我慢しますから///

主

うん/////

診察室

ルカス

頭を打ったような感じではなさそうだけど、倒れたときに身体を打ってるかもしれないから、確認のために服を一旦、脱いでもらいたいのだけれどいいかな？主様。

主

あ、えっと…////

ユーハン

私は1度退室します。ルカスさん、主様をよろしくお願いします。

そういい退室するユーハン。

主

ルカス///付き合ってるとはいえ、ちょっと恥ずかしいから、脱ぎ終わるまで後ろ向いててもらえない？

ルカス

〇〇さん記憶が？！

主

全部じゃないけど、半分くらいはね。

ルカス

そ、そうですか…。でも、以前のように話せるようになって、私を思い出して頂けただけでも嬉しく思います。

主

ごめんね。ルカス。

ルカス

いえいえ。では、私は後ろを向くので脱ぎ終わりましたら、お知らせくださいね。一応、下着は下は履いていても良いですが、脇や背中等も確認しなければなりませんので、上は外してくださいね。

主

わかった///

そして、主が服を脱ぐ音だけが部屋にやけに響いていた。

パサッ

ルカス

(なんだろうね。医師としてじゃなく、彼氏として〇〇さんの姿を見てしまいそうで、いささか自信がありませんが、私は、大丈夫なのでしょうか？///)

主

ぬ、脱いだよ///

ルカス

はい///

振り向くと、精一杯、胸だけ隠し恥ずかしそうにする主に

ルカス

あまり、意識しすぎないでくださいね。私まで診療ではなく、男として〇〇さんを見てしまいそうになりますから///

主

う、うん///

そして、ルカスは主の腕や脇、腹部、背中、足などを確認していく。

ルカス

そうですね…。左側の太ももの横とおしりのあたりに皮下出血がみられるくらいで、他は、特に問題はなさそうですが、痛み止めと炎症を抑えるシップと飲み薬を出しておきますね。

主

あ、ありがとう///
もう、服着てもいい？

ルカス

はい。もう、よろしいですよ。
それに、それ以上見ていては、私も男の欲が出てきてしまいそうですからね///

主

(ルカス…。我慢して診療してくれたんだ。)

主

いいよ。少しだけなら見ても…///

ルカス

わかっているのですか？///今から私がすることは、診療でもなんでもないのですよ？

主

うん…///

そういわれ、ルカスは、机の上にカルテとペンを置いて、再び、主の体を見る。

ルカス

手もできたら、よけてほしいですね。全部見たいですから///

主

うん///

ルカス

綺麗だよ。はぁ…////

主

(ルカス本当に私を女として見てる。診療の時の目じゃない///欲を秘めた男の人の目をしてる。)

主

恥ずかしいよ///あんまり、見つめられたら///

ルカス

ごめんね。ずっと見たかったから…///それが叶って、見ずにはいられないんですよ。

そういうと主に近づき、息が胸にかかる位置にくる。

主

ん…////息があたってるよ。ルカス。

ルカス

はぁ…はぁ…////
触れてみたいですね。

主

今日は、この辺で終わり!///それに、ユーハン、多分、扉の外で待ってるから怪しまれちゃうから///

ルカス

わかりました。また、次回に致します。

そう、すぐに切り替えたような態度をとるルカス。

主

(そんな簡単に切り替えが効くほど、私って大したことのない身体なのかな？え？でも、綺麗って言ってたよね。それに息が私にかかるくらい興奮してなかった？わからない。ルカスが大人だから他の人たちより欲の抑え方を知っているだけなのかな？///)

ルカス

(はぁ………。生殺しとはこういう感覚なのですね///早く〇〇さんとデートの日にならないでしょうか。もう、待てそうにありません///)

そうして、診療が終わり、主が服を着ると、ルカスがユーハンに声をかけ、ユーハンが診療室に入ってくる。そして、ルカスがユーハンにも診療結果を伝えるとユーハンはホッとした顔をした。

ユーハン

そうですか。では、問題ないということですね。安心致しました。
ルカスさん、主様を診ていただき、ありがとうございました。

ルカス

私が、主様を診るのは当然のことだよ。彼女は、悪魔執事にとって、いや、違うね。私たちにとって特別な存在なんだからね。

主

ルカス……。

ユーハン

はい。私も主様を大切に想っておりますから、ルカスさんがおっしゃられていることがわかります。

主

ユーハン……。

ユーハン

ところで、主様。先ほどのもう1人の主様とはどういうことでしょうか？

ルカス

もう1人の主様？なんの事だい？ユーハンくん。

ユーハン

私も説明を受けていないので分からないのですが、もう1人の主様を助けるお約束をされたと主様がおっしゃられたので…。

ルカス

主様。お伺いしてもよろしいですか？

主

うん。説明するね。

そうして、2人は主から説明を受ける。果たして、もう1人の主と今、目の前にいる主はどういう繋がりがあるのか…。主は、約束を果たせるのか…。

次回へつづく

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