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2000年8月某日

咫穏

……はぁ、はぁ……

咫穏

──少し、手こずったな

辺りは少年たちが倒れ込んでいる

地元では有名なヤンキーの集団──

その集団を私は1人残らず叩きのめした

べつに正義の味方ってわけじゃない。ただの憂さ晴らしだ

すげーな、お前

咫穏

……!

ひとりの男が立っている

咫穏

……あんた、誰ですか?

俺か? ただの市役所の職員だ

咫穏

……市役所の職員?

そんな風には見えない

噂で鬼のような

ケンカに強ぇやつがいると、耳にしてな

どんなやつかと思えば、年端もいかねぇガキとは驚いた

咫穏

──ガキでがっかりでしたか?

いや、その逆だ

咫穏

コレを渡しておく

手渡されたのは、願書と──

咫穏

市役所職員、採用試験日程?

まずは採用試験に合格しろ

話はそれからだ

咫穏

ずいぶんと、簡単に言いますね

お前の学力なら、問題ねぇはずだろ?

咫穏

…………

空が白ばみはじめる

もうすぐ夜明けだな

まっすぐ帰れよ

咫穏

あ、ちょっと──

相手は姿を消してしまった

咫穏

まったく、言いたいことだけ言って──

咫穏

咫穏

そういえば、名前訊いてなかったな

これが上司──“主君“との初めての出会いだった──

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