御子柴
悪いな、ずっとGPSが動かないから少し様子を見に来たんだ。
そう淡々と喋る御子柴の手がニーナの心臓を貫いていた。
燐堂
ア、アンタ‼︎早くニーナから離れなさいよっ‼︎
御子柴
それはそうだな。
ニーナ
ウッ...
燐堂
ニーナッ‼︎ねえ、大丈夫⁉︎
ニーナ
あ、あれ...?か、身体が...再生...しない...
燐堂
えっ...嘘...
蘭丸
まさか...
御子柴
もしかして“コレ”のことか?
見ると御子柴の手に緑色の小さなものが握られていた。
燐堂
そ、それって...
御子柴
この女の“核”だ。
御子柴
これでコイツはもう自己再生ができなくなった。つまりは用済みだ。
燐堂
待ちなさい‼︎まだニーナは助かる‼︎
御子柴
どうやって助けるつもりだ?
燐堂
アタシの時間操作を使えば...
御子柴
なるほど、確かにそうすればコイツを助けられるな。
御子柴
だがコイツはオレの命令に背いた。
燐堂
命令...?
御子柴
『オマエらを足止めする。』ということだ。しかし来てみれば楽しそうにお喋りをしている。そんなヤツはただ邪魔なだけだ。
御子柴
『死ね、ニーナ。』
ニーナ
あ...ぇ...たす....け....
燐堂
えっ...ニーナ...?
燐堂
ニーナッ‼︎返事して、ニーナッ‼︎
蘭丸
....
御子柴
おや?随分と冷静だな、流鏑馬。まるでコイツが死ぬのを予知していたかのようだな。
蘭丸
そんな予知なんて出来たらもっと早く手を打つっすよ...
蘭丸
でも“運命”は変えられないっす...
燐堂
“運命”って...アンタ...
燐堂
っ⁉︎
次、貴様らが目覚めるのは記憶と経験がしっかり整理できたときだ。
確かに、これは一時的な救済措置であり、貴様らにとっては残酷なものになるだろう。
燐堂
だ、誰...っ⁉︎
燐堂
記憶と経験の整理...?“アイツらの運命”は変えられないって...
蘭丸
⁉︎
蘭丸
燐堂さん、今なんて...
御子柴
おい、何をボソボソ言っているんだ。
御子柴
まあいい。オマエらも、じきに死ぬんだからな。
蘭丸
...2つ教えてほしいことがあるっす。
御子柴
何だ?
蘭丸
まず1つ目、周りで聞こえる鳴き声...これは一体何なんすか?
御子柴
ああ、これは化け物の声だ。
蘭丸
化け物...?もしかしてあの“ドローン”から噴出される液体が関係してるんすか?
御子柴
鋭いな。オマエらの残り時間も少ないだろう、だから特別に教えてやる。
御子柴
あの液体はな【DRIZZLY】と呼ばれる“政府”が極秘に開発した化け物製造兵器だ。
蘭丸
“政府”が開発...?一体何のために...
御子柴
恐らく“戦争”か“大型人体実験”のどちらかに使うつもりだったんだろう。まあオレは後者だと思うがな。
蘭丸
では2つ目、【DRIZZLY】は誰にでも影響が出るものなんすか?
御子柴
影響が出るのは人間だけだ。オレ達の身体には中性子への“抗体”が備わっているだろう?
御子柴
この兵器にも微量だが中性子が含まれている。だから人間に降りかかると中性子と兵器内の特別な液体が人間の肌に反応して身体を異形にするということらしい。
蘭丸
特別な液体って何すか?
御子柴
さあな、オレにも分からない。この情報を教えてくれたのは“兎隠 柘榴”だからな。
蘭丸
⁉︎
蘭丸
兎隠さんが...?
御子柴
さて、雑談はこれくらいにしたらどうだ?オマエらの時間も残り少ないだろう。有効に使え。
蘭丸
...さっきから時間、時間って何の時間なんすか?
御子柴
そんなの決まっているだろう。“アイツら”が来る時間だよ。
蘭丸
“アイツら”...?
蘭丸
っ‼︎この声って...
御子柴
来たようだな“化け物達”が。
目玉が飛び出ている化け物
だだだズゥげェえぇヱぇええッ‼︎
翼の生えた化け物
なナな二モワるググねネェえのにニにッ‼︎
蘭丸
クッ...それならこれで...
御子柴
『やめろ。』
蘭丸
⁉︎
蘭丸
な、なんで急に消え...
御子柴
『オマエらは能力が使えない。』そうだろう?
蘭丸
御子柴君、何をしたんすか...‼︎
御子柴
まあ、死ぬ前に教えてやろう。オレがオマエらにしたことを。