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紫
紫
桃
手痛い反論に
俺と翠はまたダメージを負ってしまう
だが
今の俺たちはいつもと違う
使命感に燃える男は打たれ強いのだ
肩で息をしながらダメージに耐えていると
翠が
翠
と大声を出した
翠
翠
翠が指さしたのは土手の上
そこには
紛れもなく古部田桃の姿があった
水色のTシャツに黒のハーフパンツを合わせたラフな格好で
ふわふわの茶色い毛玉みたいな犬を連れている
俺は隣にいる桃と見比べながら
他人の空似でないのを確認した
紫
紫
驚く俺に被せるように
翠が
翠
といらん賛同をする
桃からドス黒いオーラが溢れ出したので
俺は必死になってフォローする
紫
紫
紫
桃の目を真っ直ぐ見つめる
桃は翠の心無い一言に怒りの表情を浮かべていたが
やがて困ったように微笑んだ
桃
桃
ふにゃふにゃした笑顔を間近で見た瞬間
もっと眺めていたい感情に駆られる
しかし
早くしなければどっぺちゃは去ってしまう
俺は下心を抑え
翠と横並びになってほを進めた
目指すはどっぺちゃ
どのような手を使っても仲良くならねばなるまい
ここは戦場
負ければ賊軍の厳しい世界なのだ
前方を歩くどっぺちゃは
毛玉犬を連れて鼻歌交じりに散歩している
翠
翠
翠が歩幅を広くして
先陣を切った
なるほど
いつもの無気力な自分ではなく
紳士さを全面に出して大人の余裕で籠絡する作戦か
やるじゃねえか
溢れ出るジェントリズムの前では
高校一年生の男子などイチコロだ
俺は期待の意を込めて成り行きを見守る
どっぺちゃ
どっぺちゃ