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夜が明けても、空はまだ灰色のままだった。 雫はソファに座り、志歩の手を握ったまま動けずにいた。 隣では穂波がタオルで雫の肩をそっと拭う。 咲希は涙を流しながら、志歩の髪を整えている。 一歌は言葉も出せず、ただその横顔を見つめていた。 彰人は窓のそばに立ち、拳を握りしめたまま、 朝の光が志歩の頬を照らすのを見ていた。 まるで彼女がまだ眠っているように見えた。

日野森雫

……しぃちゃん、ほんとに頑張ったね。

雫の声は震えていた。 その言葉に誰も続けられない。 ⸻ 医師が静かに頭を下げ、

医師

最後まで安らかでした。

苦しまずに逝かれました。

そう告げて部屋を出ていった。 残されたのは、志歩の穏やかな顔と、 部屋の中に響く心電図の残響―― もう音のない“ピッ”の記憶。 穂波が小さく呟く。

望月穂波

ねぇ……志歩ちゃんの音、まだここにある気がする。

一歌がゆっくりと顔を上げる。

星乃一歌

うん……聴こえるよ。今も。

咲希は涙をぬぐいながら、志歩の枕元に 小さなスピーカーを置いた。 流れ始めたのは、Leo/needの あの曲。 志歩が最後まで聴いていた音。 部屋の空気が少しだけ揺れる。 ⸻ 彰人は膝をつき、かすれた声で呟いた。

東雲彰人

……お前のベース、誰も代われねぇよ。

彼の手が、志歩の指先を包む。 その温もりがまだ少しだけ残っていた。 雫はその光景を見ながら、 ゆっくりと微笑んだ。

日野森雫

きっと、今ごろミクちゃんのところにいるね。
もう痛くない世界で……音を奏でてるわね...

外では、朝の風が桜の花びらを揺らしていた。 窓の外のその景色は、まるで志歩の最後の旋律のように、 静かに、やさしく、世界を包んでいた。

薄曇りの空の下、白い花が風に揺れていた。 小さな教会の中、志歩の棺が静かに置かれている。

その周りにはLeo/needの3人、MORE MORE JUMP、Vivid BAD SQUAD、ワンダショ、25時、ナイトコードの仲間たち―― みんなが一緒に立っていた。 静かに流れるピアノの旋律。 穂波がゆっくり前に出て、棺の前で頭を下げる。

望月穂波

……志歩ちゃん。
いつもみんなの背中を押してくれてありがとう。
志歩ちゃんがいたから、私たちは音を信じられた。
これからも、あなたの音を奏で続けるね。

花びらが一枚、志歩の上に落ちた。 ⸻ 次に咲希が前に出る。 声を震わせながら、それでも笑顔を作る。

天馬咲希

ねぇ志歩ちゃん。
またライブしようって言ったのに、置いてかないでよ。
でも……ちゃんと届いてるよ。
志歩ちゃんの音、今もここにあるから

咲希はそっと棺の中へ、写真を一枚置いた。 4人で笑っている、いつものステージの写真。 ⸻ 一歌はしばらく言葉が出なかった。 それでも前に立ち、深く息を吸って言った。

星乃一歌

志歩。
私たちの音は、志歩がいなきゃ始まらなかった。
でもね、終わらせもしない。
あなたの音は……私たちが引き継ぐから

その言葉に、咲希と穂波が小さく頷いた。 最後に彰人が一歩前へ。 誰もがその顔を見た瞬間、息を呑んだ。

東雲彰人

……約束、守れなかったな。
でも、お前が教えてくれた
“まっすぐな音”は、
これからも俺が鳴らす。
だから――安心して、休め。

彰人は震える手で、志歩の棺にそっと触れた。 その指先は、まるでベースを弾くように優しかった。 ⸻ 牧師の祈りの声が響く中、 参列者の中から嗚咽と小さなすすり泣きが混じる。 だが、その涙の中には、悲しみだけでなく確かな“ありがとう”があった。 雫が目を閉じ、静かに呟く。

日野森雫

……しぃちゃん。もう痛くないね。
みんなの中で、ずっと生きてるかしらね。

窓の外の曇り空が、わずかに光を落とした。 その光は、まるで志歩の音が空へ昇っていくように見えた。

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