瑠依『今から君にはとあることを やって貰うよ。』
太宰『は、はいっ…!』
なぜだか緊張する……。
瑠依『そんなに緊張することはないよ〜』
大丈夫大丈夫と瑠依さんは言うけど…やっぱ緊張するって!
瑠依『僕たち''書員''は、産まれて、生きている 人々の''記憶''を扱うんだ。』
太宰『き、記憶!?』
瑠依『そう!記憶。1人の人物の人生、そして。 その時その時の記憶が1冊の本になって ここに仕舞われてるんだ。』
瑠依は話す。
瑠依『ここの書員となれば、そりゃあ、 ここの記憶を護らないといけない。』
瑠依『だから、本たちを守る為に 僕らには責任と共に能力がある。』
太宰『能…力……?』
瑠依『まあ、君の能力は後々分かるとして、っと!』
瑠依は本棚から離れ、階段を登る。
太宰『え、瑠依さん?』
瑠依『太宰はそこで待ってて。 少し処理をしてくる。』
太宰『??』
キョトンとした太宰を置いて、瑠依は階段を登って再度地上へ返る。
瑠依『全く…ストーカー気質な奴が居るものだ……』
瑠依はやれやれ、と言わんばかりにそう呟く
???「あれ、気づいていたのかい?」
瑠依『そこの白髪の子の足音…』
???「え、ええっ!僕ですか…!?」
瑠依『悲しいことに君だね。』
悲しいことにと言う割には瑠依は嬉々とした顔である。
その彼の目には砂色の外套を身にまとった大人と
白髪の青年が映っている。
瑠依『ストーカーは人に嫌われるから 辞めておくことを勧めるよ。』
瑠依『あとは……。』
???「生憎私たちはびしょ濡れでねぇ。」
瑠依『はは、風呂でも貸してくれと?』
太宰『る、瑠依さーん……!!』
ひょこ、と階段の下から顔を出す太宰。
瑠依『あれ、追い出された??』
太宰『嗚呼……はい。』
???「ちょ、僕たちのこと忘れないでくださいっ!」
瑠依『忘れてない忘れてない』
???「それ忘れてる人の言い分…。」
???「…君、名はなんと云う?」
砂色の外套の人間は太宰にそう問いた。
太宰『え?…太宰、太宰治…ですが…?』
太宰「っははは!奇遇だねぇ、私も太宰治と云うのだよ。」
???「えっ……?!だ、太宰さんが2人っ!?」
太宰『っえっ!??!』
にい、と太宰は笑う。
それと反対に、太宰治は驚いたような顔をした。
瑠依『……??』
瑠依は状況が分かっていないのか、首を傾げた。
その瞬間だった。
『「ヘックションッ!!」』
???「…あ、ごめんなさい…すこし寒くって…」
太宰『あはは…。』
太宰「ふふっ、私の部下は少し慣れていなくてね。」
瑠依『……まさか、狙ったか…。』
太宰「君は鬼じゃないだろう?良ければ少し。」
瑠依『はぁ……』
瑠依は溜息をついた後、2人に言った。
瑠依『……わかった、通そう。 太宰くんも寒いだろうし。』
瑠依『そう言えば、白髪くん、名前は?』
敦「な、中島敦です…!」
瑠依『……中島くん、でいいかな? 僕の友達にも同じ名前がいてね。』
敦「分かりました!大丈夫ですよ!」
太宰『ぼ、僕……なんて呼べば…?』
太宰「私たちは分かるから大丈夫さ。 問題は君の上司さんだけれど。」
コメント
1件