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一話完結

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一話完結

11 - 嫌いだけど好き

♥

60

2020年01月24日

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美月

…でさ、

美月

久々に会ったら全然違くてびっくりしたんだよね

綾奈

え、どんな風に?

美月

すっごいわんぱくな子だったじゃない

美月

いっつもはしゃいでてさ

美月

今、学校の先生やってるんだって

綾奈

嘘ぉ、あの竹村くんが?

美月

ほんとほんと

綾奈

ガキ大将だったのにねー

美月

ねー

美月

人って見かけによらないのよ

綾奈

わかる

綾奈

でも、美月は変わってないよね

美月

え?

綾奈

だってあの頃の美月、真面目で

綾奈

クラス委員だったでしょ

美月

あー、そういえば

綾奈

営業だっけ?

綾奈

さすがって感じよ

美月

やだ、やめてよ

綾奈

…あ、でも

綾奈

話し方はなんか変わったよね?

美月

え、そう?

綾奈

そうよぉ

綾奈

そんなにさっぱりしてなかった

綾奈

あれかな、やっぱり…

美月

何?

綾奈

瀬川先生のおかげかな?

美月

美月

…っ、

美月

やだ、そんな昔の事

美月

なんで覚えてるのよ、綾奈

綾奈

だって、明らかにだったもん

綾奈

まあ、気付いてるの私だけだったけど

美月

ふぅん…

綾奈

…そういやさ!

美月

ん?

綾奈

この前、瀬川先生見たよ

美月

へ、へー

美月

…どんな感じだった?

綾奈

んー、10年以上も前だからな

綾奈

でも、あんまり変わってなかったかも

美月

そう…

美月

何歳かな

美月

10歳上だから、35歳くらい?

綾奈

あ、多分

綾奈

やっぱイケメンだったわ

美月

ふーん

綾奈

ナイスミドル?っていうの?

美月

わかんないけど

綾奈

…ま、いっか

綾奈

今度また会ったら話してみるわ

美月

そうね

綾奈

じゃあまたね、美月

綾奈

弟くんにもよろしくね

綾奈

おやすみ!

美月

んー

美月

おやすみ、綾奈

美月

…はー

美月

瀬川先生か

美月

懐かしいわ

美月

…元気かな、あの人

13年前の、教育実習で来た先生

私は彼の事が、大嫌いだった。

13年前

宮瀬美月 12歳

綾奈

美月、一緒に帰ろ!

美月

ごめん、綾奈

美月

今日、日直なの

綾奈

そっかあ

綾奈

じゃあ、また明日ね!

美月

うん

綾奈

ばいばーい!

美月

ばいばい!

美月

……

美月

よしっ

美月

黒板消さなきゃ

美月

すごい汚れてるからなー

美月

えっと、黒板消し…

《ガラッ》

美月

瀬川

瀬川

…あれ

瀬川

まだ残ってたのか

瀬川

宮瀬さん、帰らないの?

美月

あ…先生

美月

日直です、わたし

瀬川

ああ、そうか

瀬川

お疲れ様

美月

いえ…

瀬川

…手伝おうか?

美月

え、

美月

だ、大丈夫です

瀬川

うーん

瀬川

じゃあ、上半分は消すよ

瀬川

宮瀬さん届かないだろ

美月

…ありがとうございます

瀬川

どういたしまして

瀬川

……

美月

……

瀬川

仲良いよね?

美月

え?

瀬川

中本さんと

美月

あ、はい

美月

綾奈は、入学式の時に仲良くなって

美月

それからずっとです

瀬川

そうか

瀬川

友達っていいよね

瀬川

先生にもいるよ、大学に

美月

そうなんですか

瀬川

そう

瀬川

この前なんて、夜まで一緒に騒いでさ

瀬川

起きたら10時であせったなぁ

美月

へえ…

美月

わたし、時々綾奈のうちに行きます

瀬川

そうなんだ

美月

弟も一緒に行く時もあって

瀬川

弟?

美月

伊織っていいます

瀬川

へぇ、伊織…

瀬川

宮本伊織かな

美月

多分そうです、お父さんが歴史好きで

美月

まだ幼稚園なんですけど…

美月

いつも『おねえちゃん、おねえちゃん』って

美月

甘えてばっかり

瀬川

はは、かわいいね

瀬川

宮瀬さんは優しいお姉ちゃんだな

美月

そうですか…?

瀬川

うん

美月

……

美月

先生

瀬川

ん?

美月

わたし、

『瀬川先生、瀬川先生』

美月

『矢島先生がお呼びです』

『至急、職員室までおこしください』

瀬川

お、

瀬川

もう行かないと

美月

瀬川

また明日、宮瀬さん

瀬川

さよなら!

美月

あ、えと

美月

さよなら…

美月

……

美月

はあ

美月

なんで急に思い出したんだろ

美月

もう寝ようかな

翌日

美月

んー、疲れたぁ

美月

ランチどこにしよっかな

美月

軽めに食べたいわ

美月

喫茶店でも行くか

美月

美月

…え

美月

あ、あ

美月

待って!!

瀬川

瀬川

…え?

美月

あ、

美月

せんせい、

瀬川

あれ?

瀬川

君は…

瀬川

確か…

美月

宮瀬です、宮瀬美月

瀬川

瀬川

宮瀬さん?

瀬川

大きくなったなぁ…!

瀬川

すっかり大人になって

美月

はい

美月

…大人に、なりました

瀬川

ここじゃあれだから、どこか入ろうか

瀬川

ちょうどそこに喫茶店があるから

瀬川

奢るよ

美月

え?

美月

いいですよ、そんな…

瀬川

せっかく会えたんだ

瀬川

少しはかっこつけさせてくれよ?

美月

…はい

瀬川

…で

瀬川

宮瀬さんは今、どんな仕事してるんだ?

美月

化粧品メーカーの、営業をしてます

瀬川

おお、

瀬川

それはすごいな

美月

そんな事は…

美月

そちらは今も先生ですか?

瀬川

うん

瀬川

今は中学校の教員をしてるよ

美月

へぇ…

美月

あ、じゃあ竹村正樹くん覚えてます?

美月

彼も先生になったんですよ

瀬川

竹村くんが先生か…

瀬川

懐かしいなあ

瀬川

ひょっとすると、いつか同じ学校で会うかも

美月

かもしれませんね

瀬川

なかなか楽しくてな

瀬川

10代の体力はすごいな、すぐ疲れる

美月

もうおじさんですもんね

瀬川

はは、まあね

瀬川

…それにしても、懐かしいなあ

美月

はい

瀬川

…宮瀬さんは、覚えてるかな

美月

え?

瀬川

最後の日

美月

…!

美月

あ、

美月

覚えて、ます

美月

先生

瀬川

宮瀬さん

瀬川

ありがとう、花束

瀬川

宮瀬さんが考えたんだって?

美月

はい

瀬川

きれいだね

美月

…先生は

美月

ほんとに、やめちゃうんですか

瀬川

うん

美月

もう、会えないんですか…?

瀬川

…うん

瀬川

もともとその予定だからね

瀬川

短い間だったけど、ありがとう

瀬川

楽しかったよ

美月

…っ、

美月

先生!

瀬川

ん?

美月

わたし、先生が

美月

先生が…

瀬川

美月

…すき、です

瀬川

……

美月

大好きです

瀬川

うん

瀬川

先生も、宮瀬さんの事好きだよ

美月

…え

瀬川

それに、中本さんも、竹村くんも

瀬川

みんな、大好きだよ

美月

……

美月

違うの

美月

そうじゃなくて、わたしは

瀬川

瀬川

おっと

瀬川

そろそろ行かないと

美月

 …っ、

瀬川

さよなら、宮瀬さん

瀬川

またいつか

美月

……

美月

先生の、バカ

瀬川

え?

美月

嫌い

美月

大っ嫌い!

瀬川

あ、ちょ

瀬川

宮瀬さん…!?

美月

…そんな事も、ありましたね

瀬川

うん

瀬川

さすがにショックだったなあ、あの時は

瀬川

突然嫌いなんて

美月

…すみません

瀬川

いや

瀬川

本当は嘘だってわかってるよ

瀬川

本気で嫌いなら、花束なんか渡さないだろ?

美月

……

美月

ですよね

美月

それもそっか…

瀬川

…と、

瀬川

こんな時間だ

美月

あ、そうですね

美月

私、そろそろ…

瀬川

ああ

瀬川

もう出ようか

美月

はい

美月

……

瀬川

はあ、さてと

瀬川

そろそろ行かないとな

美月

待ち合わせですか?

瀬川

ああ、その

瀬川

妻が

美月

…妻?

美月

ご結婚されてたんですか

瀬川

うん

瀬川

今日は午前中だけ仕事でね

美月

…おめでとう、ございます

瀬川

ありがとう

瀬川

宮瀬さんも、ほら

瀬川

優しい人に出会えるといいね

美月

……

美月

そうですね

美月

じゃあ、先生

美月

また…

瀬川

ああ

瀬川

さよなら、宮瀬さん

瀬川

またいつか

美月

…はい

伊織

ただいまー

伊織

あれ、姉ちゃん?

伊織

何してんの

美月

あ、伊織

美月

おかえり

伊織

ただいま

美月

遅かったじゃない、何してたの?

伊織

補習

美月

あ、そっか

美月

あの先生ね

伊織

…うっさいな

伊織

姉ちゃん、なんか元気なくない?

美月

え?

伊織

なんかこう、変

美月

別に?

美月

なんもないわよ

伊織

…僕でいいなら聞くけど

美月

んー、大丈夫

美月

それより、ご飯食べちゃいな

伊織

はいはい

伊織

父さんと母さんは?

美月

父さんは残業

美月

母さんはマヨネーズ切れたから買いに行った

伊織

なるほど

美月

…伊織、私もう寝るね

伊織

え、もう?早くね?

美月

ちょっと疲れたのよ

伊織

ご飯は…

美月

いい、いらない

伊織

…やっぱなんかあったろ

美月

ないってば

美月

じゃーね、おやすみ

伊織

…おやすみ

美月

んー

美月

……

美月

優しい人、か

美月

…あなたしかいないわよ、そんなの

美月

やっぱり、嫌い

美月

先生のバカ…

この作品はいかがでしたか?

60

コメント

4

ユーザー

本当だ! 美月の先生に恋した話……気になっていたのですがそれが分かり、良かったです! 紅茶さんは本当に作品づくりがお上手で尊敬します! 参加ありがとうございました!

ユーザー

実はこれ、前回のストーリーコンテストに投稿したのと繋がってます 伊織が美月に相談した日のあとのお話です。

ユーザー

辛み…(´;ω;`) てか伊織くんめっちゃイケメソに育ってんな()

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