大人になってから、ふと思った。
『俺は子供が好きだ』
可愛い、守りたい、愛でたい、とか
そういう保護者的感情じゃなくて
性的対象として、好きだった。
子供といっても女の子じゃなくて、男の子が好きで
そんな俺を世の中は異常者扱いする。
『気持ち悪い』
『頭がおかしい』
『狂ってる』
いくら考えても、何故そう思うのか分からなかった。
同性愛やLGBTQが認められているこの世界で
何故、俺のような児童性愛者が認められないのだろうか。
確かに同意も得ず、無理に性行為を迫るのは駄目なのかもしれないが
ただ単に『好き』という感情を持つ事まで否定されるのは可笑しいだろう。
多くの人々は皆口を揃えて 『性の対象は自由だ』 とかほざいてるけど
そんなの自分の下らない誇りや周囲からの羨望を受けたいだけの、偽善者だ。
本当に、心の底から性の対象は自由だと思うのなら
今頃世界は俺のような人を受け入れてくれていただろう。
でも、今も尚何も変わっていないという事は
性の自由を叫ぶ奴らは、ほぼ偽善者でしかない。
何故、どうして
世界は俺のような人を受け入れてくれないのだろうか。
幼児を愛する事がそんなに気持ちの悪い事なのだろうか。
ただ、好きなだけなのに。
男性であり男性が好きな人、女性であり女性を好きな人
身体は男性だけど心は女性の人、身体は女性だけど心は男性の人
どちらの性別にも自分を当て嵌めたくない人
そんな人で溢れ返るこの世界で
幼児が好きな人、は認められない。
それを口に出しただけでも、変態扱いされる。
そんな世界、狂ってる。
偏見と差別に溢れ返ったこの世界が
俺は大っ嫌いだ。
子供ながらに、思っていた。
『大人の人が好きだ』
かっこいい、すごい、うらやましい、とか
そういうキラキラした気持ちじゃなくて
ドキドキする、好きだった。
大人と言っても、女の人じゃなくて男の人が好きで
そんな僕をともだちは変だと言うのだ。
『おかしいよ』
『どうして男の人が好きなの?』
『ふつうじゃないね』
なんで、そんなこと言うんだろう。
男の人が好きなのがおかしいことなのかな。
ただ好きなだけなのに…
ある日、散歩がてらに公園を歩いていると
男の子が独りで砂遊びをしていた。
つい、そういう感情が湧き上がってきたが
何とか抑えて話しかける。
ソクジン『どうしたの?』
男の子は俺を見るなり、頬を紅く染めた。
可愛いなぁ…ㅎㅎ
ユンギ『お家に帰りたくないから』
ユンギ『ここで遊んでる』
ソクジン『どうしてお家に帰りたくないの??』
ユンギ『…けんかするから』
ソクジン『喧嘩?』
ユンギ『お父さんとお母さん、けんかするの』
ユンギ『…僕が産まれちゃったから』
ユンギ『お金がなくて、けんかしてるの』
ソクジン『…………』
大人の俺が言うのも変だが
やっぱり大人は屑だ。
ソクジン『君、名前は?』
ユンギ『ユンギ』
ユンギ『ミンユンギだよ』
ソクジン『ユンギね』
ソクジン『僕はキムソクジン』
ソクジン『ジンヒョン…って呼んで』
ユンギ 『ジンヒョン!!』
鼓動が、早まった。
子供ってこんなに可愛かったっけ。
こんなに…犯したいものだっけ。
ユンギ『ジンヒョンは、帰らないの??』
ソクジン『ㅎㅎ…俺は親なんか居ないよ』
ユンギ『え…』
ソクジン『1人で暮らしてるんだ』
ユンギ『そうなの!?』
ソクジン『うん、楽しいよㅋㅋ』
ユンギヤは、楽しそうに笑った。
本当、食べてしまいたいくらい可愛い。
ソクジン『あ、良い事思いついた』
ソクジン『俺の家に来ない??』
ユンギ『お家?』
ソクジン『ユンギヤも家に帰りたくないし、俺も1人じゃ楽しくない』
ソクジン『どう??』
少し困った顔を浮かべたが、すぐに笑顔で頷いてくれた。
ユンギ『行く!!!!』
ソクジン『ユンギヤ、そろそろ帰らないとお母さん達心配しちゃうよ?』
ユンギ『…帰りたくない』
ユンギ『ジンヒョンといた方が楽しいもん』
ソクジン『ありがとう笑』
ソクジン『そんなに俺といたいの?』
ユンギ『うん…』
涙ぐんだ目で俯き、俺の服をぎゅっと握り締め
ぷるぷると捨てられた犬のように震えていて
瞬間、理性が音を立てて崩れていくのが分かった。
ユンギ『ッ、ん…!?』
気が付けば彼の可愛い唇に噛み付いていて
自分でも、歯止めが効かなかった。
だけど
ユンギヤだけには嫌われたくなくて、突き放した。
ユンギ『はぁッ、はぁッ…』
ソクジン『ごめん、ユンギヤ』
ソクジン『……もう帰って』
襲ってしまった罪悪感と背徳感で、心が押し潰されそうだ。
後ろめたさで俯いていると、ユンギヤが俺の顔を上げ
軽いキスをした。
ソクジン『え』
ユンギ『ジンヒョン、僕ね』
ユンギ『おともだちからはおかしいって、言われるんだけど』
ユンギ『大人の人が好きなの』
ユンギ『女の人じゃなくて、男の人』
ユンギ『…ジンヒョンも一緒なの?』
ソクジン『!!!!!!!!』
ソクジン『俺は、ただッ…』
ソクジン『男の子が…好きなだけ』
ユンギ『じゃあさ!!』
ユンギ『好きって、言ってくれる??』
好き、所じゃない。
堪らなく愛撫してやりたいが、ユンギヤの為にも辞めておいた。
ソクジン『…愛してるよ、ユンギヤ』
ユンギ『えへへ、僕も!!』
あー、、
狡すぎるよ、ユンギヤ。
彼に再び口付けをしようとした時
家の呼び鈴が鳴った。
ソクジン『少し待っててね』
ユンギ『うんッ』
扉を開くと、見た事ない女の人が立っていた。
ユンギママ『ユンギヤはどこですか』
ソクジン『中に居ますけど?』
ユンギママ『ユンギヤを返して下さい』
ユンギ『…!!オンマ!』
この人が、ユンギヤのお母さん。
ユンギヤを苦しめる人。
ソクジン『あの、失礼ですが』
ソクジン『ユンギヤの前で喧嘩しないでくれませんか』
ユンギママ『…は??』
ソクジン『そのせいでユンギヤは帰りたくないって言ってるんです』
ソクジン『子供を苦しませるなんて、親としてどうかと思いますけど』
ユンギ『ジンヒョン…』
ユンギママ『何様なの?』
ユンギママ『他人の癖に、私達の家庭環境に口出さないでくれる??』
ユンギママ『それに、貴方はユンギヤの何なの?』
ソクジン『俺は、』
ユンギヤの何なんだろう。
お兄さん?知り合い?保護者??
どれも違う。
俺は、ユンギヤの
ソクジン『好きな人ですよ』
ユンギ『!!!!』
ユンギママ『はい??』
ユンギママ『何よ、好きな人って』
ソクジン『何って…』
ソクジン『そのまんまの意味ですけど』
ユンギママ『…あんた、まさか』
顔を歪め、軽蔑したような表情になっていく。
ユンギママ『ユンギヤに手出したの…!?!?』
ソクジン『手を出した、とはどの範囲何でしょうか』
ユンギママ『何でもよ!!!!』
ソクジン『ああ…それなら』
ソクジン『手を出したかもしれませんね』
ユンギママ『ッ!!!!!!!!』
音を立てて、俺の頬は打たれた。
ユンギママ『気持ち悪い…!!』
ユンギ『オンマ、聞いて?』
ユンギ『僕、ジンヒョンが好きなの』
ユンギ『だからジンヒョンを怒らないで上げて、??』
ユンギヤは優しいな。
ますます、彼を好きになった。
ユンギママ『……………』
ユンギママ『あんた達、頭イカれてるんじゃないの…!?』
ユンギママ『男同士が愛し合うのは良いとして』
ユンギママ『ユンギヤはまだ子供なのよ!?!?』
ユンギママ『こんな子供に恋愛感情を抱くなんて…』
ユンギママ『本当に有り得ない』
ソクジン『は?』
ユンギママ『それから、ユンギヤも!!』
ユンギママ『何でこの人を好きなのよ』
ユンギママ『もっと"普通"に生きなさい!!』
その一言で、俺のギリギリで耐えていた糸は完全に切れた。
何が普通だ。
何が気持ち悪いだ。
何が有り得ないだ。
俺らを認めないお前の方が気持ち悪い
お前の方が有り得ない
お前が間違っているんだ。
それから、ユンギヤに止められるまで俺は其奴を殴り続けた。
だって、許せる訳ないだろう
やっと見つけた好きな人を傷付けたんだから。
女が気を失ってる内に、俺らは逃げた。
遠く、なるべく遠くへ
俺らを受け入れてくれるような所まで、逃げた。
あれから幾年の月日が過ぎた。
あれ程探し回っていた警察共も、もう消えた。
これで、やっと。
やっと俺らだけの世界が完成した。
ソクジン『ユンギヤ』
ユンギ『ん…何?』
ユンギヤは高校生になった。
まだ手を出しちゃ駄目なお年頃だけど
バレなきゃ、良いんだよね。
ソクジン『愛してるよ』
ユンギ『ん、俺も』
薄ら笑いで彼に笑いかけ、彼の服を手に掛けた。
Fin .
コメント
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え待ってしんどいしんどい。最高すぎて言葉失う
おおおう???? え??何なにちょっとみっちゃん????(語彙力消滅
あぁぁぁやっぱ私より語彙力あんの最高すぎるぅぅぅ!私の作品も見直してきます😌