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#一次創作
ピデピー
974
ちぃちゃん
208
#衝撃のラスト
山根利広
963
私の記憶が戻った。谷本百合。転校してきた子。杉田にズッキーニにあだ名をつけた子。私と同じくらいかくれんぼがうまかった子。井戸で死んだ子。そして目の前にいる王茂子子と名乗る子。全て同一人物だったのか。
急にラジオの音声が脳裏に再生された。
(…ザザザ…ま……ザザ…って…た……ザザザ…よ…ザザザ…おか……ザ…えり…プツン)
つまりこのことか。
急に少女は森の中に入って行った。
藤谷
川島紗季
藤谷
怯えたような顔でゆっくりうなずいた。
何本の木を通り抜けていく。そして恐る恐る井戸の方へ向かう。
ついに私たちは井戸の前に着いた。
そこにあったのは手足や下半身、上半身バラバラの三人が沈んでいた。服は身に付けたままだった。三人の頭が目を開けてこちらを見ている。
そして水面に少女の顔が浮かんだ。
私は急に紗季を横に突き飛ばした。
川島紗季
谷本百合
やはり否定はしない。谷本百合、君だったのか。
川島紗季
谷本百合
谷本さんは彼女の赤目を指さして言う。
谷本百合
川島紗季
谷本百合
川島紗季
谷本百合
川島紗季
そう言った彼女は笑顔だった。なんか怖い。こんな怖い状況で笑うなんて。
谷本百合
そういえば車に乗っている時から心の中で「紗季」って呼んでいた気がする。
川島紗季
彼女は私を井戸に突き落とした。
谷本百合
井戸の方からさっきまでの少女の声とは違い不気味な声がしたかと思ったら、水面から白い手が出て両肩を掴まれた。そのまま力強く引っ張られて水面に入って行く。
私はズッキーニたちと同じ目になってしまうのだろうか。
私は目が覚めた。御賽銭の前で寝ていたようだ。周りには水に入ってた島崎さんと大仏とズッキーニがいた。どうやら雨で少し濡れたようだった。
近くで鼻をすする音が聞こえた。そこには紗季がいた。小さな声で
川島紗季
ってつぶやいていた。その謝罪の相手は谷本さんか、今寝ている三人か、それとも私か。そんなことはどうでもよい。
彼女の隣に座って頭をなでてやる。水を浸した米に手を突っ込むかのような感覚だった。
藤谷
彼女は私の顔を見た。泣いてる。
川島紗季
彼女は何か欠けてる。
藤谷
赤目でも……と続けようとしたが、彼女の今の目は黒かった。
川島紗季
彼女の声が小さかったから最後は聞きとれなかった。だが笑顔でこちらを見ていた。
島崎美架
ズッキーニ
大仏
目が覚めて茶化そうとしていた彼らも驚いていた。
川島紗季
藤谷
川島紗季
正直、俺は良かった。
島崎美架
ズッキーニ
島崎さんが言った後にズッキーニがそう言う。
大仏
大仏がそう言う。確かにな。
ズッキーニ
大仏
ズッキーニ
そういや、私たちはなぜあそこで寝ていたのだろう。そんなことはここにいる誰もが知らない。ただ私たちがやることは。待ってる彼女に会いに行くだけだ。
私たち五人は大きな木を通り抜けて彼女の死んだ井戸に来た。それは夢にも出てきた灰色の井戸の上に重いおもりの蓋に小さな赤い賽銭箱があった。その井戸を挟むかのように赤い鳥居がそこにあった。横には茶色い看板に注意事項と共に谷本百合の死去について軽く書かれていた。彼女は「隠れ少女」と呼ばれるらしい。
私たちは二回お辞儀する。五円玉をそれぞれ御賽銭に入れる。目をつぶって手を一回叩く。そのときだった。
谷本百合
私は目を開けた。そこには谷本百合さんが白いワンピースを着てこちらを見ていた。
谷本百合
彼女の体が消えていく。白い光が空に上がっていく。
ズッキーニ
大仏
島崎美架
川島紗季
みんなにも見えているようだ。彼女を見てそれぞれ言ってる。彼女は聞きながら目から一筋の涙を流している。体が動かない。抱きしめてやりたい。辛かったんだろう。だから私はこう言う。
藤谷
彼女は袖で自分の顔を拭いた。
谷本百合
彼女は笑った。その瞬間、光と共に消え去ってしまった。これが彼女と最後に会う瞬間だった。
体が自由に動けるようになった。私たちはその場で立ってお辞儀をした。また鳥居の前でもお辞儀をした。
大きな木を通り抜け。寝ていた場所に戻ってくる。
二十段の階段を降り、車に乗る。
私たちはその後、それぞれの家に帰って行くのだった。
コメント
15件
読み終えたわ…!最後の別れのシーン、涙腺やばかった😭「泣くな、笑え!!」って藤谷が言ったところで俺も胸が熱くなった。百合ちゃん、ずっと一人で辛かったんだろうな。でもみんなに好きだって言ってもらえて、最後に笑顔で消えていったのがせめてもの救いだった。紗季の赤目が黒くなった伏線の回収も上手いし、キャラみんな個性が立ってて良い話だった。続きが気になるわ!