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コメント
6件
このお話好きすぎて泣きそう… 各国の滲み出る独占欲も、艶っぽい日本さんも、想いを伝えられたフィンランドくんも好きすぎる🫶
結局はフィン日か…… うーむ最高です! ぐ腐腐腐腐腐
琥珀
琥珀
琥珀
お昼休憩終了の少し前、ぞろぞろとオフィスには人が戻ってくる 同じくして、日本もオフィスのドアを開けた
日本
視界の端にはアメリカと、日本の父、日帝の姿 父さんがここにいるなんて珍しい。僕に用事かな?と、日本はその様子をじっと見た
日本
父さんは仲が悪いなんて言ってたけど…あれは"喧嘩するほど仲がいい"っていうやつなんじゃないだろうか 微笑ましく見守りながら、デスクに戻ろうとした瞬間、何者かが日本の腕を掴んだ
中国
その手の主は中国 眉間に深くシワを刻んでいて、"不快"と訴えかけている
中国
日本
匂いの元を探るように、中国の顔が日本へ近づいてくる 迫る美顔に慌てていた時、落ち着く低い声が日本を呼んだ
ドイツ
逃げるように中国から離れ、ドイツの元へ向かう 彼は迷わず日本の首元へ顔を埋めた
ドイツ
アメリカ
日帝の制止を振り払って、アメリカが後ろから抱きつく 腹に回された腕がだんだんと力を帯び、日本の体を締め付けた
アメリカ
アメリカ
殺気すら感じる威圧の声 背筋がゾッと冷えて、思わず、声が震えた
日本
冷えた手を、青い指がそっと取る 恐怖からだろうか、指が皮膚をなぞる感覚にすら驚いてしまった
イギリス
イギリス
日本
否定しようとした日本の言葉が、途中で詰まった ついさっきの出来事が脳裏に蘇る フィンランドの笑顔、口に咥えた煙草、そして――顔に吹きかけられた煙
"悪い虫がつかないためのおまじない" 彼はそう言っていた だから、あれは"そういう意味"じゃない 煙の匂いで避けていく、それが目的だろう
日本
…いや。知っていないと、彼らの怒り様に説明がつかない "友達が何者かに襲われる" それを危惧しての怒りなのだろう
だから、さっきの出来事を話せば、絶対に誤解される 無実のフィンランドさんを、危険にさらすわけにはいかない
その一心で、日本は必死に口を噤む でも、彼らは沈黙を許さなかった
追い打ちをかけるように、ロシアが日本の服を掴んで、軽く嗅ぐ
ロシア
それは、聞いたことがないほど低く、冷たい声
ロシア
彼の拳が、ギリギリと音を立てる 今にも殴りかかりそうな、危険な音 疑念が膨らみすぎれば、暴動を止められないのは目に見えている
言えば、誤解は生まれるかもしれない でも、言わなければ――もっと取り返しがつかない
日本
日本は意を決して、震える口をこじ開けた
日本
日本
途端に場が凍りついた 椅子の軋む音すら耳につく沈黙 その沈黙を破ったのは、ロシアだった
ロシア
その声は、静かな怒りに満ちていた。目は笑っていない 開いたドアから、フィンランドがすっと現れ、自然な歩みでその場に入ってくる その姿には、ある種の"自信"が感じられた
フィンランド
全員の視線が、今度はフィンランドへ集中した けれど、彼は涼しい顔で続ける
フィンランド
フィンランド
誰も言葉を発せなかった その沈黙を破ったのは――
日帝
日帝の、冷たいほど静かな声だった
フィンランドの表情が一瞬強ばる そして、問いの裏に潜む意図を探るように、彼は日帝の瞳を見つめ返す
フィンランド
フィンランド
フィンランド
だが――日帝の眼差しがそうではない何かを物語っていた
フィンランド
フィンランド
フィンランド
短く、しかし確かな声で答える 己の意図を悟られないように
数名が空気を吸い込む気配が伝わる ロシアの指がピクリと動いたその時
フィンランド
何事もなかったような笑顔で、日本の手を取る あまりの急展開に、理解が追いついていないのだろう 日本が驚いたように振り返る
日本
慌ててついて行こうとする日本の腕を、誰かが止めようとする気配があった
ロシア
日帝
けれど、日帝の力強い声がそれを制した 続けて、日帝が重たくため息をつく
日帝
意味深長な言葉に、思わずドイツが尋ねる
ドイツ
日帝
イギリス
イギリス
日帝
イギリスの言葉に、日帝は納得した様子を見せる だが、すぐに気まずそうな表情を見せた
日帝
日帝
日帝
日帝の言葉に、その場の誰もが固まった
アメリカ
アメリカが絶句する。 フィンランドに先を越された事に、怒りよりも驚きが勝ったようだ
日帝
日帝
淡々と語られる内容に、ますます空気が険しくなる
フランス
遅れてやってきたフランスが、日帝に問う 誰もが思った、至極真っ当な問だ
日帝
その視線が、一部の国へ冷ややかに向けられる
ロシア
中国
フランス
イギリス
アメリカ
「それだけは無い」
全員の声が一致した
空気が一瞬、平和的な意味で静まる アメリカがしょげたのも無理はなかった
フィンランドさんに抱えられ、連れてこられたのは、僕の自宅 オフィスでの喧騒も、ここまでは届かない それよりも……
日本
フィンランド
フィンランド
日本
そうだった。 就労規則上、自分の仕事が終わっていれば就業時間は個人の自由 だから、理屈的には早退してもセーフなんだった
呆れながらも、ニコニコと笑うフィンランドさん そういえば彼、迷うことなく僕をここに連れてきてたけど…
日本
彼は、今まで一度もこの家に来たことがない しかも、住所を知られるようなこともなかったはずなのに…
フィンランド
穏やか、だけど、圧を感じる笑顔に口が開けない 深堀は危険だ。話題を変えよう
日本
フィンランド
氷の瞳が僕を向く それだけで、胸の奥がじくりと熱を帯びる
日本
フィンランド
日本
思い出すのは、吹きかけられた煙の記憶 その"意味"を思い出して、頬を赤く染めながら、言葉を選ぶ
日本
日本
日本
その言葉に、フィンランドさんが目を丸くする 言葉より早く、腕を差し伸べようとしたその時―― 僕は、彼の首に腕を回し、頬にちゅ、とキスを落とす
日本
日本
そして、目一杯の笑顔で応えてみせた
フィンランド
覆い被さる、静かな温もり 薄い唇と舌を交わす 重なる僕らの白い肌は、互いの昂りを表すよう、熱を帯びていった
朝、眩しい朝日に意識が昇る 見慣れない部屋で隣に眠る愛しい太陽 胸元を彩る赤い華…昨日の熱が残した、小さな証 これを自分が付けたのだと思い出すと、未だ夢なのかと錯覚しそうになった
フィンランド
自分でもびっくりするほどの急展開 しかも日本が俺を好いてくれている なんと都合のいい現実なのだろう。幸せで死んでしまいそうだ
バクバクと心臓を鳴らしていると、日本が目を覚まし、眠そうにこちらを見る
日本
フィンランド
日本
動揺を誤魔化すように、日本の頭を撫でる 気持ちよさそうに目を細め、俺の手へ擦り寄る日本がとても可愛くて… またもや胸が大きく高鳴った
動けない日本の代わりに朝食を作って、布団の近くで、一緒に食べる 完全に目が覚めた彼が、大きな瞳をこちら向けた
日本
フィンランド
日本
ぽかんとした、可愛い表情 …まあ、そりゃあそうなるよな
フィンランド
フィンランド
開いた口が塞がらない、とはこういうことだろうか はくはくと、小さな口からは空気だけが出ていっている
日本
日本
ボンッと音が聞こえそうなほど、顔を真っ赤にし、手で隠す日本 でも、その手も真っ赤になっていて、全然隠せていない 外の気温みたいに熱い手を柔く握って、顔から外してやると、潤んだ黒が恥ずかしそうに目を逸らした
フィンランド
フィンランド
少し悪戯っぽく笑って、優しく頬を撫でる
フィンランド
フィンランド
遅すぎる覚悟を込めて、日本を見つめる まっすぐと、真剣に その熱量にやられたのか、日本がおずおずと俺の手を取った
日本
日本
日本
互いに言葉を交わしたあと、しばしの静寂が降りる
どちらからともなく布団の中で寄り添い合い、体温を確かめるように額を預け合った まるで夢のような朝だ でも、それは夢ではなく――今日から始まる現実
煙のような雲がまばらに広がる窓 その外では、薫風がサワサワと緑を揺らしている
初夏の少し暑い空気 けれど、隣にいるこの人の体温は、それよりも優しく、あたたかく感じる
フィンランド
フィンランド
日本
ふと、思い出す 昼下がりの陽光と、薄く広がっていった白い煙
あの時はまだ、互いの気持ちも、未来も、曖昧なままだった けれど今は違う この想いは確かにここにある ぬくもりも、心臓の鼓動も、そして何より、結んだ約束も
日本が、微笑んだ どこかくすぐったそうに でも、とても幸せそうに
日本
フィンランド
照れながらも、俺は日本の手をとる 指先が絡まる その繋がりは、とても自然で… まるで最初からそうだったかのようだった
紫煙に秘めた想いが、ちゃんと届いた
もう、この気持ちを煙に巻かない 太陽に誓って、心に刻んだ。