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首切り役人と私

第1話 - 首切り役人と私

2025年05月05日

#文豪ストレイドッグス

#文スト

#太宰治

#中原中也

もち

コンコン

中也

はい？

太宰

君が私を3日後に殺す首切り役人さん？

中也

え、あ…

中也

はい、そうです私が…

中也

…いえ違います

中也

私はただ踊るように命じられただけ…

太宰

うん、そう

太宰

首を切るんじゃなくて踊るんだ

太宰

それで君と踊ったら私は死ぬ

太宰

…

太宰

そういえば、一年前首切り役人と踊った〇〇も死んだね

太宰

羞恥に耐えられずバルコニーから身を投げて

太宰

ぐしゃりっっとね

中也

ッ！

中也

…それで

中也

あなたは一体なんの用ですか？

太宰

今日は処刑の練習に来たんだ

中也

！？

太宰

貴族の私は君と踊ることで死ぬ

太宰

けれど、

太宰

どうせ死ぬなら誰よりも美しく、華々しく死にたいんだ

太宰

私を追い込んだ奴らの目に

太宰

私の美しさを焼き付けてから死にたいんだ

太宰

そのためにも

太宰

君にはダンスを上達してもらわないと困る

中也

…

太宰

まず、腕を(スッ)

中也

…

太宰

(クイ)

中也

？(クイ)

太宰

…まぁいいや及第点かな

太宰

次に進もう(スッ)

中也

ビクッ

中也

バシッ(太宰さんの手を振り払う)

太宰

…私の手を払いのけるなんて良い度胸だね？

中也

あ、あなたは…その…、えっと、

中也

私に触れたら恥ずかしくて…

中也

死んでしまうのではないでしょうか？

太宰

別に見られなければ事実にならない

太宰

貴族の間で常識さ( 中也に近づく)

太宰

スルッ

中也

ビクッ

太宰

例え今ここで君が私に何をしようと

太宰

全て無かったことになる

中也

っ

中也

…す、すみません(ぱッ)

中也

…カァァァァ(顔が良い…)

太宰

…君も恥を知ってるんだね(ボソッ)

中也

え？

太宰

さ、ダンスの続きをしよう

中也

は、はい

中也の家の中

太宰

まずは私に合わせて(手を差し出す)

中也

(受け取る)

太宰

ゆっくりリズミカルに足を出して

太宰

壱、弐、参、肆

中也

💦

太宰

右、左、右

太宰

そう(ぶみッ)

中也

痛っ

太宰

君が下手だから踏んでしまったんだ

太宰

踏まれたくないなら早く上達して

中也

申し訳ありません💦

しばらく練習して

太宰

もういい(スルッ)

太宰

コツコツ

太宰

私を真似して

太宰

壱、弐(コツ)

太宰

参、肆(コツ)

太宰

…覚えた？

中也

…も、もう一度お願いします

太宰

ふぅー

太宰

壱、弐(コツ)

太宰

参、肆(コツ)

太宰

足を出すだけじゃなくて

太宰

ゆっくりと重心を動かす

太宰

壱、弐、参、肆

中也

…あなたはダンスがお上手ですね

太宰

君に褒められても嬉しくない

中也

…いえ、その

中也

…今まで罰を受けてきた人達とは

中也

なんだか随分ご様子が違うので

太宰

…当たり前でしょ？

太宰

私は特別だもの

太宰

幼い頃から誰よりも厳しく己を磨いてきた

中也

…なぜ特別なあなたがこのような罰をお受けになるのですか？

太宰

殿下がお決めになったから

中也

…なぜ殿下はあなたを処刑されると決めたのですか？

太宰

グッ…

太宰

…では君はどうして首切り役人をしている？

中也

え…

中也

そ、それは首切り役人の家に生まれたからです

太宰

ならどうして首切り役人の家に生まれたら首切り役人になると決まってるの？

中也

…昔からの決まりで

太宰

誰が決めたの？

中也

…誰、が

太宰

法律、規則、道徳、慣習

太宰

全ては自分の都合の良いように王が決めたことだ

太宰

…何があったかなんて決まってる

太宰

殿下にとって私の存在は不都合なんだ

中也

…よく、わかりません

太宰

…そう、君は愚かなんだね(ふっ)

中也

！

中也

(なんで、罵りながら…そんな顔をするんだ？)

太宰

…そろそろ戻らないと駄目かな

太宰

私は帰るけど練習に励んどいてね

中也

は、はい

太宰

パタン

翌晩

太宰

違う

中也

ビクッ

中也

すみません(グラッ)

太宰

謝ってほしいわけじゃない

中也

…すみません

太宰

休憩にしよう(はぁ)

中也

…

中也

あなたは…怖くないのですか？

太宰

死ぬことが？それとも君のことが？

中也

どちらもです

太宰

…怖がっているのは私じゃなくて君の方でしょう？

中也

ビクッ

中也

私は…

太宰

君はダンスが下手で愚かで間抜けで…

太宰

簡単に私のことなんて捻り殺せそうな腕をしてるのに

太宰

私に触れるときはいつも震えてる

中也

え？(ふるふる)

太宰

自覚がなかったんだね

太宰

…何がそんなに怖いの？

中也

…そんなの(ｶﾞｼｯ)

太宰

…(首を掴まれる)

中也

決まってるじゃないですか

太宰

…昨日も思ったけど君の手は大きいね

太宰

本当はクマなんじゃないの？

中也

あなたの首は…小枝のようですね

太宰

小枝すら折れないクマがいるなんて知らなかった

中也

…私は怖い、です

中也

殺すのも、死ぬのも

中也

生きている人に触れるのも、怖くてたまりません

中也

触れると殺した時のあの音が…

中也

ツンと鼻を刺すようなあの匂いが…

中也

温もりが消えていくあの感触が蘇ってくるんです…

太宰

…でも君は私をまだ殺してない

太宰

こんなになんども触れてきたのに

中也

…怖がらなくなるのも怖いんです

中也

このまま、私は本当に人間ではなくなってしまうのかもしれない

中也

…いや、わかってますよ？

中也

誰も私のことを同じ人間と思っていないことぐらい、(ﾎﾟﾛｯ)

中也

分かっています(ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ)

中也

それでも私は

太宰

…希望だよ

中也

え？(ﾎﾟﾛｯ)

太宰

君は私の生きる希望なの

太宰

君と私が最高のダンスを踊ったら誰も私のことを忘れることなんてできない

太宰

…例え肉体が滅んでも

太宰

私の存在は永遠に生き続けることになる

中也

…それが貴族の生き方なんですか？

太宰

そうだね

太宰

おかしな話だけど(ふっ)

中也

…(太宰さんの首を離す)

中也

…もう一度教えてください(ぐしっ)

中也

私にダンスを…教えてください

太宰

…今夜も眠れないと思ってね(手を差し出す)

中也

はい(受け取る)

太宰

コツ

中也

コツ

翌朝

太宰

じゃあまた後で(手を離す)

中也

はい

中也

…処刑場で

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