民衆
あの太宰がついに処刑されるぞ!(ざわざわ)
民衆
いっそ首を切ればいいのにな
王
生き恥を晒す方がよっぽど惨めだろw(にや…)
民衆
おい処刑人が来たぞ!(ざわ)
中也
うろうろ
民衆
なんだあいつ?いつにも増して気持ち悪いな
民衆
あんなのと一緒に踊るくらいなら死んだ方がマシよ!
兵士
速く歩け!
太宰
…
民衆
あの太宰があんな格好するなんて(クスクス)
民衆
それでもお前よりマシじゃね?
民衆
なんだって!?
民衆
アハハハハッ!
中也
…(グッ)
兵士
はぁ、速く歩けよ!(ドンッ)
太宰
…ッ
中也
!(支える)
民衆
うわ触ったぞ!(ギャアアア)
民衆
汚えぇ!(キャハハ)
中也
…
太宰
…私だけを見て(ボソッ)
中也
!
中也
…はい(目を合わせて)
太宰
君は私に夢中になればいい
中也
はい
太宰
そうでなければ…
太宰
私は死んでしまうんだから
中也
…はい(スッ)
中也
ちゅっ…(手の甲にキス)
太宰
…!
民衆
ギャア"ア"ア"
中也
スッ
太宰
ふふっ
音楽が流れ出す
太宰
コツコツ
中也
…
太宰
もっとリズミカルに
中也
はい
太宰
もっとのびのびと(くるッ)
中也
はい
民衆
…(綺麗)
王
チッ
王
何故誰も石を投げぬ!?
王
何故、皆黙っているのだ…!
民衆
ビクッ
突然音楽が変わる
中也
(突然音が変った…!)
中也
(ど、どうしよう…)
太宰
よそ見しないで
中也
ですが…
太宰
大丈夫だから(ふわっ)
太宰
もっと私を見て
中也
…はい
太宰
もっと(コツ)
中也
見てます(コツ…)
太宰
足りない
太宰
私だけを見て
中也
…はい!
民衆
…!(綺麗だな…)
王
…(グッ)
ダンスが終わり
太宰
…よく、頑張ったね(微笑み)
中也
へ、?(カァ)
太宰
くるっ(離れてく)
中也
…、ぁ…!
夜
太宰
誰もいない…
太宰
踊ったところで(スッ)
太宰
何も変わらなかった(ガチャ)
太宰
(窓を開ける)
太宰
トッ(手すりに登る)
太宰
…
太宰
……、!
太宰
そこにいるのは誰だ?
中也
…、
中也
あ、あの…
中也
私です…
太宰
…!
太宰
何故ここにいる!?
太宰
鞭で打たれたくないなら今すぐ出ていけ!
中也
もうあなたは王のルールの中にいる貴族じゃありません
太宰
ピタっ
太宰
…あぁ
太宰
そうだったね
太宰
私は死んだ(ふふ)
中也
…最後にもう一つだけ教えてほしいことがあるんです
中也
それを聞くために来ました
太宰
…何?
中也
私は、あなたから見たら死人と同じですか?
太宰
…そうだね
太宰
(王に利用されて、ルールに縛られながらも見捨てられた私達は…)
太宰
きっと同じだね
中也
なら、私と一緒に死にませんか?
太宰
え、
中也
私と!死にませんか!!(大声で)
太宰
…そう(ふっ)
太宰
分かった(トッ)
中也
!
中也
ドサッ(太宰を受け止める)
中也
……ぇ、…?(ドッドッ)
中也
(咄嗟に受け止めたが状況を呑み込めていない)
太宰
…ふぅ
中也
な、何を考えてるんですか!?
中也
私がうまく受け止められなかったら…!
中也
もし、あなたに何かあったら…
太宰
壱(スッ)
中也
…!(太宰を降ろす)
太宰
壱
中也
…弐
太宰
参
中也
肆
太宰
…
太宰
お願い
太宰
私をもう一度殺して
中也
…!(目が合う)
中也
…
中也
…はい(ちゅっ)
中也
喜んで
その後の二人を見た人はいなかった
月日が流れた頃、街ではこんな噂があった
「首切り役人とのヴァパーヌ」







