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テラーノベル(Teller Novel)

薄暗い廊下を、樹里は応接室目掛けて全力疾走していた

宮坂 樹里

パパとママが待ってる…!

宮坂 樹里

これで、私は助かるっ!!

宮坂 樹里

私のママは、どこにでも顔がきく市議会議員で…

宮坂 樹里

パパは天下無敗の弁護士なんだから…!!

宮坂 樹里

パパとママは、いつだって私のことを守ってくれた!!

宮坂 樹里

そう、私が何をしたってね…!

宮坂 樹里

ははは…

宮坂 樹里

ざまぁみろ平澤!!

宮坂 樹里

あんたなんか、パパが殴り倒して…

宮坂 樹里

大量殺人者のあんたを、極刑にしてやるんだから…!!

そして樹里は、ようやくたどり着いた応接室の扉を勢い良く開けた

宮坂 樹里

パパ!ママ!!

宮坂 樹里

………

そこは、血の海だった

宮坂 樹里

パ…パ?

ナタで切り裂かれた体から大量の血を流し

物言わぬ屍が2つ、娘の樹里を出迎えた

宮坂 樹里

あ、ああ、ああああっ…!!

絶望と恐怖で、息ができない

宮坂 樹里

ど、どうしてっ…

宮坂 樹里

パパ!ママァ!!

宮坂 樹里

ありえないっ…ありえない…っ!!

宮坂 樹里

こんなの…嘘よぉぉぉ!!

背後で、声がした

由佳里

ねぇ…宮坂さん

由佳里

どうして…助けてもらえるなんて思ったの?

宮坂 樹里

ひ、ひ、平澤っ…!!

腰を抜かし、その場にへたり込んだ

由佳里

バカな子だね…

由佳里

いくら、今までどんな時でもあなたのことを守ってくれたパパとママだってね…

由佳里

スーパーヒーローでもなんでもない、ただの人間なんだから…

由佳里

こうして殺されちゃえば、ただの死体になっちゃうんだよ…?

宮坂 樹里

い、いや…っ!

由佳里

ここにあなたの両親を呼んだのは、ワタシなの…

宮坂 樹里

ど、どうして…?!

宮坂 樹里

どうしてパパとママまで殺すのっ…!!

涙でグシャグシャになった樹里の顔を見て、由佳里はフッと笑った

由佳里

…あなたの両親にだって、罰を下さなきゃいけなかったからだよ

宮坂 樹里

罰…?!

由佳里

そう

由佳里

あなたをこの世に生み落とし

由佳里

間違った育て方をして

由佳里

あなたという悪魔を作り上げたんだから…!!

宮坂 樹里

……っ!!

由佳里

梨沙はね…

由佳里

ワタシにはもったいないぐらいの妹だった…

由佳里

いつも笑顔で、優しくて、健気で、お姉ちゃん想いで…

由佳里

お婆ちゃんが死んじゃってから、ワタシは梨沙のために必死に頑張ってきた

由佳里

ワタシの…かけがえのない、たった一人の家族だった…!!

由佳里

それなのに…

由佳里

あんな…まだ中学生の、何の罪もない梨沙をあんたは…

由佳里

むごたらしく焼き殺した!!!

宮坂 樹里

あ…!あ、あああ…!!

宮坂 樹里

こ、殺すつもりなんてなかったのぉぉ!!

宮坂 樹里

煙に気付いてっ…すぐ逃げるだろうって思って…!

宮坂 樹里

本当よぉぉぉ…っ!!

宮坂 樹里

だからっ、お願い…!!

宮坂 樹里

殺さないでぇっ…!!

由佳里

………

ゆっくりと、由佳里はナタを引きずって樹里の方へと足を踏み出した

宮坂 樹里

……!!

宮坂 樹里

お、お願い…

宮坂 樹里

いやだ…いやだ…っ!

宮坂 樹里

わ、私がしたこと、全部公にするから!!

宮坂 樹里

ちゃんと法的に裁かれて、罪も償うから…っ!!

宮坂 樹里

お願いぃ…っ!!

宮坂 樹里

死にたくない…っ!!!

失禁しながら壁側まで追い詰められた樹里の目の前で、由佳里は足を止めた

由佳里

…因果応報

宮坂 樹里

…え?

由佳里

自分のしたことは、自分に返ってくるんだよ…宮坂さん

由佳里

だから

ドスッ!!

宮坂 樹里

───っ?!

由佳里が手にしたナタの刃が、樹里の下腹部に突き刺さった

宮坂 樹里

あっ…ぐ…っ!

由佳里

罪を償いたいなら…!

由佳里

地獄の底でいくらでも償えぇぇぇぇぇぇ!!!!!

そして由佳里は、下腹部に刺したナタで一気に上に引き裂いた

ズブシャアッ!!!

宮坂 樹里

う…あ…っあ…!

飛び散る鮮血が、由佳里の顔を紅く染めた

由佳里

お前の、その腐りきったハラワタ…

由佳里

引きずり出してやる…っ!!

宮坂 樹里

や…めっ…あ…っ

グチャ…ボトッ、ボトン…

切り裂かれた腹部から、自分の臓物がまるでオモチャのようにこぼれ落ちていく様を樹里は愕然として見ていた

宮坂 樹里

……あぁ、あ…っ!

由佳里

…生きる資格もない、穢れた悪魔

由佳里

死ねばいい

ブシャッ!!

ナタの刃が、樹里の首を引き裂く

宮坂 樹里

が…っ

そして、首から血を勢いよく噴き出しながら、グシャッと音を立てて樹里の体は床に崩れ落ちた

由佳里

………

由佳里の血まみれの手から、ナタが力なく滑り、床に落ちる

平澤 梨沙

『…お姉ちゃん!カレー作っといたよー!』

山中 真世

『由佳里ーっ!昨日のギンプリ、最高だったよーっ!』

2人との、楽しかった頃の光景が、いくつも目の前を通り過ぎていく

もう、二度と戻れない、あの日々が…

上原 勇也

…くそぉ!!

上原 勇也

平澤っ…どこにいるんだよ…っ!!

上原 勇也

あるのは、死体ばかり…

上原 勇也

復讐してるつもりなのかっ…?!

上原 勇也

クラスメイトを殺して回って…

上原 勇也

アイツをここまで変えてしまったのは、梨沙ちゃんを殺した樹里に違いない

上原 勇也

そして平澤は、その仇を討とうとしてる…

上原 勇也

でも、平澤…

上原 勇也

復讐が叶ったら、お前はその後どうするつもりなんだ…?

ふと、部屋から漏れている明かりに気付く

上原 勇也

あれは…

上原 勇也

確か、応接室

応接室から出てきた赤い靴跡が、廊下の奥へと繋がっている

上原 勇也

これは…

上原 勇也

平澤の足跡か?

そして応接室の前まで来て、室内の惨状を目にした勇也は絶句した

上原 勇也

──っ!!!

上原 勇也

じゅ、樹里っ…!!

樹里の両親であろう大人の死体2つの傍らに

内臓をぶち撒いた状態で無残に息絶えた樹里は、そこにいた

上原 勇也

う…

上原 勇也

うおえっ…!!

その悲惨な有り様を目にした勇也はフラついて、込み上げてきた胃液を廊下にぶち撒いた

上原 勇也

ハァ、ハァ、ハァ…

上原 勇也

俺の…せいだ

上原 勇也

俺が平澤に、ここまでさせたんだ…

上原 勇也

俺が、もっと早くアイツを救ってやれてればこんなことにはっ…

上原 勇也

俺がっ…

上原 勇也

俺がバカで、どうしようもない奴だから平澤はっ…!!

その時だった

…ピコン♪

上原 勇也

!!

上原 勇也

ら、LIME…?

スマホを取り出して確認する

上原 勇也

ひ、平澤…!

平澤 由佳里

上原くん

平澤 由佳里

今まで、私を助けてくれてありがとう

平澤 由佳里

嬉しかった

平澤 由佳里

ごめんなさい

平澤 由佳里

さよなら

上原 勇也

「さよなら」って…

上原 勇也

平澤…

上原 勇也

お前、まさか!!

勇也は、屋上へと向かって走り出した

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