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『幸福が満ちる』……だなんてよく言うが、私には彼らの言う幸福がわからない。
満ちるのは、いつだって不幸だった。
私の人生とはなんだったのだろうか。
両親が愛し合ったわけでもなく生まれ、その二人のために生きた。
私とはなんなのだろうか。
時折、吐き気が抑えられない。
……色々なことがあった。
しかし、私が過去を振り返る時、いつも一番に浮かぶのは"彼女"のことだった。
泣き虫で……弱虫な……彼女のことを。
高校二年の初日。
新しいクラスと春の風に浮かれ、みんなが大きく騒いでいた。
胸助
胸助。 野球部みたいな坊主だが帰宅部。胸フェチだ!
小尻
小尻。 帰宅部みたいな帰宅部。成績は低いぞ……尻フェチだからな!
腰乃
腰乃。 196cmの巨体……帰宅部だ。腰フェチで、下斜め後ろのアングルから見る腰が最も好みだぞ!
ギャル美
ギャル美
オタク君
二人が同時に叫んだ。
友子
ギャル美
ヲタク君
オタク君
ヲタク君
ヲタク君
オタク君
ギャル美
友子
ヲタク君
そんな教室の隅、廊下側の中央……ちょうど影になるところ。
私は一人、本を読んでいた。
山本紅里夢
小学校でイジメに合い、人間そのものへの恐怖やトラウマを植え付けられたが、
中学になる頃には大人と変わらぬくらいには頭が働くようになり、
そういう自分もうまく操れるようになった。
高校一年で孤独には完全に慣れ、
今ではそれなりに満足の行く日々を送れている。
朝、向かいの建物からの反射光をまぶしいと思う。
昼、割り箸が綺麗に割れると嬉しい。
夜、コインランドリー。棚にある漫画本、そろそろ読破が近い。
こういった……いわゆる小さな幸せが、私にとってはすごく愛おしい。
身の丈に合っている……というのとは少し違うが、
こぼしたくない幸福なのだ。
最近はむしろ、他人と関わったり――努力して得るような……
いわゆる大きな幸福が怖くも思える。
その先に、死に近い概念を覚えるからだ。
山本紅里夢
山本紅里夢
山本紅里夢
山本紅里夢
山本紅里夢
本を閉じ、リュックサックに戻した。
「あ……あの!」
声がして振り返る。後ろの席の"彼女"が、そこにはいた。
西空ともり
山本紅里夢
山本紅里夢
西空ともり
西空ともり
西空ともり
西空ともり
西空ともり
西空ともり
山本紅里夢
西空ともり
西空ともり
山本紅里夢
山本紅里夢
西空ともり
西空ともり
山本紅里夢
「合わなかった。」そう言おうとした時、舌が止まった。
下唇の端を噛む。
山本紅里夢
西空ともり
そう言うと、彼女を縛っていた緊張は解けたようで、
不器用ながらも純な笑顔を見せた。
西空ともり
西空ともり
山本紅里夢
西空ともり
西空ともり
山本紅里夢
山本紅里夢
これが彼女――西空ともりとの出会いだった。
その初対面こそ、息が合わないと感じた私だったが、
実際に話してみると案外そんなことはなく、
六月の体育祭の時には、もうすっかり仲良くなっていた。
二組
二組
二組
二組
二組
二組
二組
胸助
小尻
腰乃
腰乃
ヲタク君
ヲタク君
オタク君
ヲタク君
笛が鳴る。
ジャンプボールを制したのは腰乃。
二組
しかし、弾かれたボールは誰もいないスペースへと落ちた。
二組
小尻
胸助
その瞬間、そこへ飛び込んだのは小尻。
胸助と両サイドに分かれ、コートを駆ける。
二組
二組
二組
メガネじゃない金髪がボールマンへ飛び出した。
しかし、小尻はそれを難なくかわす。
二組
二組
メガネと小尻が対面した。
小尻
小尻
二組
小尻のレッグスルー、メガネの重心が傾く。
二組
小尻
二組
ビハインドで抜きにかかるも、それを読んでいたメガネ……
しかし、小尻は不敵に微笑んだ。
刹那、メガネの視界から小尻が消える。
二組
スリーポイントラインの外、小尻はそこで跳び上がった。
シュート。
放物線を描き、ボールはリングを貫いた。
小尻
小尻
一組、三得点先制。
西空ともり
私たちは男子の試合の間、ステージの上で試合観戦をしていた。
友子
ギャル美
ギャル美
ギャル美
ギャル美は頬を赤く染め、中指で自身の唇を撫でた。
友子
二組
二組
攻守が変わり、二組がボールをハーフラインまで運んだ。
ボールマンを守るのは小尻だ。
二組
二組
二組
小尻
その時、胸助が叫んだ。
胸助
腰乃
振り返る小尻、そこにある光景――
ボールマンを除いた四人が、コートの片側……レフトサイドに密集していた。
二組
二組
二組
二組
二組
小尻
山本紅里夢
山本紅里夢
西空ともり
西空ともり
『教えて、紅里夢ちゃん!』
山本紅里夢
山本紅里夢
山本紅里夢
西空ともり
山本紅里夢
友子
西空ともり
山本紅里夢
山本紅里夢
ギャル美
ギャル美
ギャル美
山本紅里夢
ギャル美
ギャル美
山本紅里夢
山本紅里夢
山本紅里夢
山本紅里夢
山本紅里夢
山本紅里夢
二組
小尻
ボールマンが飛び出す。
二人が平行に並んだ。
胸助
胸助
胸助もボールマンへと向かう。
二人で囲んだ。
山本紅里夢
山本紅里夢
二組
二組
二組
二組
密集していた二組の四人が、一斉に動き出し、散らばった。
山本紅里夢
二組
小尻
胸助
飛び跳ね、腕をうねらせる。
ボールが投げ出された。
二組
腰乃
フリーの金髪。スリーポイントラインの外から、シュートを放った。
腰乃が跳び、腕を伸ばすも届かない。
三得点、並んだ。
小尻
胸助
腰乃
腰乃
ヲタク君
ヲタク君
ヲタク君
ヲタク君
オタク君
オタク君
ベンチに座るオタク君。
その表情はどこか悩んでいるようだ。
ギャル美
ギャル美は、缶のコンポタージュを差し出した。
ギャル美
オタク君
オタク君
ギャル美
ギャル美
ギャル美
オタク君
ギャル美
ギャル美
ギャル美はその隣に座った。
オタク君
オタク君
ギャル美
オタク君
オタク君
オタク君
オタク君
オタク君
ギャル美
オタク君
ギャル美
ギャル美
ギャル美
オタク君
オタク君
ギャル美
オタク君
ギャル美
そう言って、ギャル美は一枚の紙をオタク君に見せた。
オタク君
オタク君
ギャル美
オタク君
オタク君
オタク君
オタク君は静かに立ち上がって、拳に力を込めた。
大きく深呼吸をして、口を開く。
オタク君
オタク君
オタク君
オタク君
オタク君
オタク君
ギャル美
ギャル美
ギャル美
ギャル美
ギャル美
ヲタク君
オタク君
オタク君の瞳が光る。
真っ直ぐ歩き、そして言った。
オタク君
オタク君
オタク君
小尻
小尻
ヲタク君
ヲタク君
ヲタク君
ヲタク君
ヲタク君の背中を一人が叩いた。
小尻
小尻
小尻
ヲタク君
ヲタク君
小尻
ヲタク君
小尻
ヲタク君