テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
1,007
画面の向こうの、僕の悲鳴
[本編] (薄暗い部屋。画面の明かりだけが、パルオの顔を白く照らしている。聞こえるのは、低く唸るパソコンのファンの音と、スマートフォンのバイブレーション。パルオは膝を抱え、ただ呆然と画面を見つめている)
パルオ
ねえ、なんで?僕、そんなに悪いことした?ただ、みんなを楽しませたくて、カメラの前で『うおおおお!パルオ参上!!!』って、喉がちぎれるくらい大声で叫んでただけだよ?それが、そんなに罪なことなの?そんなに誰かを傷つけた?……あいつらは、僕がただの『うるさいゴミ』にしか見えないんだ
『パルオ、マジでうるさいんだけど』『お前の笑い方、不快だから消えてくんね?』『グループにこいついらなくない?』『おふざけのセンス皆無。滑ってることに気づけよ』『生きてる価値あるの?』
パルオ
(パルオは震える手でスマートフォンをスクロールする。スクロールしても、スクロールしても、終わりのない罵詈雑言の嵐。何十回、何百回と繰り返される、自分という存在への否定)
パルオ
(立ち上がり、部屋の中をウロウロと歩き回る。普段の動画での、落ち着きのないコミカルな動きとは全く違う。恐怖と不安に駆られた、獣のような徘徊)
パルオ
(頭を抱えて、床に崩れ落ちる。叫び出したい衝動を必死に抑え、喉の奥から絞り出すような声)』
パルオ
(パルオは涙を流しながら、自嘲気味に笑う)
パルオ
(ふと視線を部屋の天井に向ける)
パルオ
(ゆっくりと立ち上がり、机に向かう。ノートを開き、ペンを握るが、手が震えて文字が書けない)
パルオ
(パルオは、いつも動画で見せていたような、精一杯の「おふざけの笑顔」を作ろうとする。しかし、頬は引つり、涙が止まらない。その表情は、不気味なほどに歪んでいる)
パルオ
(スマートフォンの画面が、また新着の批判コメントでピカリと光る。パルオはそれに一瞬だけ目をやり、冷たい笑顔を浮かべた。そして、迷いのない足取りで、暗闇の奥へと進んでいく)
パルオ
(静寂。スマートフォンの画面だけが、主を失った部屋で虚しく光続けている。画面には、今もなお彼を叩き続ける、何百回目かの冷酷な言葉が並んでいた)
【暗転、バットエンド】
コメント
1件
うわあ……読んでて胸がぎゅーって苦しくなった。パルオの「おふざけ担当」の裏でこんな風に崩れてく様子が、すごくリアルで怖かった。特に、カメラの前で笑顔繕うとこが切なすぎるよ……。誰にも気づかれずに消えようとする選択が、重くて、でもわかる気がしてしまった。丁寧な心理描写、刺さりました。ありがとうございます。