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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで

ゼル

はぁ…はぁ……

カル

くっ……

ゼル

終わりだなカル…

カル

まだだ……

カル

俺はまだくたばっちゃいねぇ……

ゼル

左腕を無くしてなお立つ気か?

ゼル

お前を突き動かすものはなんだ?

ゼル

お前もわかっているはずだ

ゼル

その体ではオレを殺ることなど…

カル

うるせぇ……

カル

途中で俺の前から消えたお前には何も分からないだろう

カル

あの後残された俺と仲間は国と戦いそして敗れた

カル

集団のトップの俺は最後に処刑されることになった

カル

しかし俺を最後に殺すという判断の裏には

カル

人とは思えない策略があった

カル

身動きの取れない俺の前で仲間が殺されるのだ

カル

仲間の悲鳴が…苦しみに飲まれた顔が……

カル

俺の脳裏に全て焼き付いていた

カル

そして等々俺が死ぬ時になり当時の王は俺にこう告げた

カル

もし生きたいと願うのならば

カル

国の犬にとなり下がれ、と

カル

俺は生きたかった…

カル

死ぬことに対して恐怖はない

カル

だがもし俺が死ぬ時はこの国もろとも消し去るつもりだった

カル

だから俺はそこで国の犬にとなる誓いを起てた

カル

この国に全てを奪われた俺の復讐を……

カル

終えるまでは俺はくたばれない…

カル

俺の目の前で死んで行った仲間達のために俺は必ず現王の首を持ち帰るんだ…

カル

俺が死ぬ時に現王の首を……

ゼル

カル……

ゼル

お前の苦労は分かった…

ゼル

だが、やはり俺は当時のお前の行動には賛成できない

ゼル

今も昔もだ

ゼル

過去を変えることはもう二度と出来ねぇ

ゼル

俺もお前も幼少期から辛い思いをしてきてる

ゼル

それを逃す方向性が俺とお前

ゼル

そこが違かったそれだけだ…

カル

哀れんで楽しいかよぜルゥ……

ゼル

なぁ…カル

ゼル

俺もあの後は苦労したんだ

ゼル

生き抜くためにまた1から全てを始めた

ゼル

汚ぇことは散々してきた

ゼル

だが、こうして今俺は変われたんだ

ゼル

俺もお前も変わるきっかけは第三者からの救いの手だ

ゼル

俺らの中で問題を解決しようとしたから

ゼル

今こうして歴然とした差が生まれてる

カル

知った口を……

ゼル

済まないカル……

ゼル

お前を解放するにはもうこれしか手段がないんだ

カル

殺せるもんならやってみろよォ……

カル

今俺の持てる力を使ってお前の首を跳ねさせてもらうぜ…

支えにしていたレイピアを引き抜きカルは構える

ゼルもまた逆手持ちのナイフを構える

勝敗は見る必要すらなかった

剣を支えにしてたカルは自分の力で立つには少し荷が重く

ガクつく足でゼルの一瞬の隙を付いて攻撃するはずだったが

それすらゼルは読んでおりその一撃を躱しナイフで体を引き裂き

そして最後は抱きしめる形でカルの心臓に一刺しだった

カル

がはっ……

ゼル

済まない………

ゼル

俺のできる弔いだ…

カル

ゼ……ル………

掠れた声の中ゼルは確かに耳にした

カルは最期に一言発していた

【ありがとう】

それは憎しみの言葉でも罵詈雑言でもなく

ただの感謝の言葉だった

そしてカルは息を引き取ると灰になり風にあおられて形をなくした

ゼル

カル……

ジョニー

終わりましたか?

ゼル

ジョニーの旦那…

ジョニー

やはりこの男”亡者”でしたか

ゼル

それってどういう事ですか?

ジョニー

ゼル殿の友人は既に死んでいたんですよ

ゼル

え……

ジョニー

その証拠が今の惨状です

ジョニー

肉体は残らず灰となり消え去りました

ジョニー

この時点で人では無いです

ジョニー

では亡者とはなにか?

ジョニー

その人が生前願い続けた想いが形となりできたもの

ジョニー

又はその願いを利用されこの世に蘇させられた者のことを指します

ゼル

つまりカルは利用されてたのか?

ジョニー

あくまでその可能性があるだけです

ゼル

んなことが……

ジョニー

彼もまた最期まで悲しい人ですね

ジョニー

恨んでいた国に利用されるなんて

ゼル

利用したのはこの国ってことか…

ジョニー

私の話すことは大抵予想でしかないです

ジョニー

あまり鵜呑みにはしないように

ジョニー

ですがまぁ……

ジョニー

国が絡んでるのは間違いないでしょう

ゼル

やっぱり現王に直接聞くしか…

ジョニー

方法は無いですね

ジョニー

まぁダメ元で彼のところに行くでもいいですかね

ゼル

誰のことだ?

ジョニー

ルイさんのところですね

ジョニー

ノルンさんのお師匠様ですよ

ジョニー

彼ならここに住んでいたんですから

ジョニー

何かしらの情報はあるでしょう

ゼル

分かりました

ゼル

とりあえずもう城には用はないですかね

ジョニー

後で戻ってきますが

ジョニー

今は特に用はないです

ゼル

んじゃあルイさんのとこ行きますかねぇ

ジョニー

軍勢を抑えてくれてるおふたりの援護もしないとですから

ジョニーは先にサヤカ達の元にと行く

ゼルはカルだったものを眺めた後にその灰に刺さった1本の剣を抜き

鞘にと収め腰に当てて玉座の間を後にする

この国の未来に明日はあるのか

カルの変えたかった国を……想いをゼルはその剣に宿して…

お気の毒ですが魔王は勇者になりました

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コメント

1

ユーザー

週に3本お話あげるのって無謀やったんやなって…

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