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悪魔の教育実習生

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悪魔の教育実習生

2 - 悪魔の教育実習生 第2話 -ノートの中身-

♥

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2021年09月18日

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校門前

大輔

(分からない…)

大輔

(結局昨日のリンチはどうなったんだ)

大輔

(あの後、羽鳥たちはそそくさと帰っちまうし)

大輔

(まるで意味が分からない)

考えにふけりながら校門まで来ると

教師と教育実習生が朝の立ち番をしていた

園町

おはよう、みんな、おはよう

大輔

(園町もいる…!)

園町

おっ、井佐原君

園町

おはよう

大輔

細身で背も高くない園町

この男が不良3人組を屈服させたというのか

全く理解が及ばなかった

園町

井佐原君、表情が硬いよ

園町

笑顔、笑顔

園町が顔を近付けてくる

だが、俺はそれを無視した

園町

おやおや、嫌われたかな

そう言って園町はノートを取り出し

また何かを書きつけた

大輔

(あのノート、一体何だ)

大輔

(悔しいが、気になる…)

1年3組教室

羽鳥

あっ、大輔

教室に入ると、ちょうど羽鳥たちと顔を合わせた

3人そろって気まずそうな表情だ

大輔

おい羽鳥

大輔

昨日のリンチはどうなったんだ

羽鳥

えーっと

羽鳥

授業の予習があるから、また今度な

大輔

嘘つけ

大輔

マジメに予習する不良なんて聞いたことがないぞ

羽鳥

うう…

大輔

さあ教えろ、何があった?

羽鳥

何でもねえよ

磯山

来なかった大輔には関係ないだろ

大輔

いや、後で行ったぞ

大輔

3人そろって、園町に泣いてすがっていただろ

羽鳥

見てたのか…

大輔

何があったんだ

中井

それは…

羽鳥

すまん、言えないんだ

羽鳥たちは慌てたようにその場を立ち去った

大輔

何だ、あいつら

俺の中で不安がむくむくと育っていった

昼休み

1年3組教室

女子

園町せんせーい

園町

おお、どうした

女子

先生って彼女いるんですか

園町

いや、今はいないけど

女子

じゃあじゃあ、私、立候補していい?

園町

おやおや、困ったな

園町

別の子にもそう言われてるんだよ

女子

えーっ、先生ってば人気者!

教室に来た園町は女子に囲まれていた

早くも人気者になったらしい

美緒

ああ見えて園町先生、人気あるよ

美緒

すごく優しく生徒に接してるみたい

大輔

ふん、あんなののどこがいいんだか

大輔

ノートが不気味なだけの

大輔

ただの平凡な男じゃないか

美緒

あー井佐原君…嫉妬?

大輔

だ、誰がそんなこと

美緒

でもあのノート、気になるよね

美緒

いつも何か書きつけてるし

大輔

やっぱりあのノートが謎だよな

大輔

何とかして盗み見れないかな

美緒

それは無理じゃない?

美緒

だって園町先生、ずっとノート持ってるよ

美緒

机に置く時もあるけど一瞬だし

美緒

奪うことはできても、すぐ気付かれるよ

大輔

なるほど

大輔

問題は、どうすれば気付かれず奪えるか、だな

俺は頭の中で作戦を練った

すると、目の前の日下部のノートが目に入った

大輔

なあ日下部、そのノート

美緒

ああ、これ

美緒

最近買ったんだ

大輔

それ、園町のノートと同じ柄だな

美緒

そう言えばそうだね

大輔

すまんが、ちょっと貸してくれないか

美緒

いいけど、どうして?

大輔

園町の化けの皮を剥ぐためだ

大輔

そしてそれとは別にお願いがある

美緒

何?

大輔

園町に勉強を教わってほしいんだ

美緒

えっ…?

美緒

どういうこと?

放課後

1年3組教室

五木

それじゃあホームルームは終わりだ

五木

お疲れ様

放課後になり、みんなはそれぞれ部活や家路に向かう

そんな中、俺の作戦は始まった

美緒

あの、園町先生

園町

ん、どうした

園町

日下部美緒さん、だったな

美緒

はい

美緒

数学が分からないので、教えてほしいんです

園町

うん、いいよ

美緒

この数学Aの方なんですけど

日下部は園町に勉強を教えてもらい、引きつける

勉強を教える時、脇にノートをはさんでいるとやりにくい

だから自然に、園町はノートをどこかに置くはずだ

美緒

で、この和の法則と積の法則が分からないんです

園町

それはそんなに難しくないよ

園町

図を描いてみようか

園町は図を描くため、邪魔なノートを近くの机に置いた

チャンスだ!

大輔

(気付かれないように…)

俺は足音を殺してしのび寄り

机に置かれているノートに手を伸ばした

大輔

(あとちょっと…)

園町

ということだよ

園町

図での説明は以上だ

だが、そこで園町の説明が終わりそうになる

園町の手が、再びノートを手に取ろうとした

大輔

(まずい!)

美緒

あ、先生、円順列とじゅず順列も分かりません

園町

そうか、じゃあそれも図に描こう

だが日下部のファインプレーにより

園町の手はノートから離れた

大輔

(よし、これで十分だ)

俺は園町のノートを引ったくり

代わりに同じ柄の日下部のノートを置いた

これで中身を見られない限り

ある程度は時間をかせげる

大輔

(早く中身を確認しないと!)

俺はノートを見るため、急いで廊下に出た

廊下

大輔

(さあ、ノートを開けるぞ)

廊下の隅で、俺はノートを開いた

すると、その中身は

大輔

な、何だ、これ…

中身は意味不明な文字と数字ばかりだった

クラスの全生徒の名前が書かれているのは分かる

だがその横にはE、G、Pという謎のアルファベットがある

生徒をそのアルファベットで分類しているようだが

詳しいことは分からない

大輔

それに何だ、この数字

さらにアルファベットの横には

5、5、-5、10…などと謎の数字が記されている

大輔

どういうことだ

全く以て意味不明だった

だがその時、足音が近付いてきた

園町

井佐原君、そのノート

大輔

園町だった

俺はとっさにノートを閉じる

園町

それ、先生のノートだよね

大輔

(まずい、バレた…)

俺たちはしばらく無言でにらみ合った

園町

よかった

大輔

え?

園町

どこかで別のノートと入れ替わっていたみたいなんだ

園町

本物を拾っておいてくれたんだね

園町

どうもありがとう

園町は俺の手からノートを取り

同じ柄の日下部のノートを返してきた

園町

そのノート、持ち主に返しておいてくれるかな

園町

先生はこれから、忙しくなりそうだから

園町はにっこり笑うと

その場を去って行った

大輔

(気付かれなかった…のか?)

大輔

(せ、セーフ)

安心したものの、日下部のノートを返されたのは気に掛かる

俺が仕掛けた罠だと分かっていたのだろうか

大輔

(園町、ますます気になってきた)

校舎内 2階廊下

大輔

(このあたり、いないかな)

俺はそのまま帰宅せず

校舎内を回って園町を探した

大輔

あ、いた

すると、遅い時間まで回っていたおかげで

窓越しに校舎裏にいる園町を発見できた

大輔

そう言えば羽鳥が

大輔

園町は校舎裏に来る野良猫を

大輔

かわいがってると言ってたな

だが、その時

フギャー!

大輔

(な、何だ?)

大輔

(猫のものすごい鳴き声!)

俺は窓から目をこらして園町の方を見た

フギャー!ギャー!

園町

暴れるな

園町

すぐ楽になるから

大輔

(何だ、あれ…)

園町が目を血走らせて野良猫を押さえ込んでいた

俺の目には、その光景は

園町が猫を殺そうとしているように見えた

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