朝
東都高校廊下
大輔
登校してきた俺は
園町が猫を抑え込んでいる光景を思い出していた
大輔
大輔
なおも悶々と悩んでいると
廊下にぼんやり立つ女子にぶつかりそうになった
美緒
大輔
大輔
美緒
大輔
気になって教室を覗き込むと
驚くような光景が広がっていた
大輔
大輔
教室のカーテンはとがったもので切り裂いたように
破れてぼろぼろになっていた
大輔
美緒
美緒
よく分からない事件だった
どうしてカーテンを引き裂く必要があるのだろう?
五木
五木
美緒
五木先生と園町が廊下にやって来た
事情を知っているのか、五木先生は険しい顔だ
一方、園町は平然としている
大輔
突飛な発想だったが、園町を疑ってしまう
そのぐらい、俺にとって園町は得体の知れない存在なのだ
五木
その後、全員教室に入ったところで
五木先生が口を開いた
五木
五木
大輔
大輔
五木
五木
五木
大輔
大輔
五木
大輔
五木
五木
大輔
大輔
大輔
大輔
五木
五木
大輔
五木
大輔
俺はちらりと園町を見た
相変わらず平然とした顔をしている
五木
五木
五木先生の追及は厳しさを増していく
困り果てた俺だったが、その時
園町
五木
園町
クラス中がざわついた
園町はそのざわつきの中、カーテンに向かう
園町
園町
園町が手をかかげると
そこには猫の毛が握られていた
五木
五木
五木先生は急に声を小さくした
五木
五木
五木
謝罪なしで感謝を強要された
実に不愉快だった
女子A
女子B
拍手が起こり、園町は得意げだった
だが、俺は園町に感謝をするつもりはない
むしろ園町を憎悪していた
大輔
大輔
大輔
大輔
園町は猫を殺そうとしていたのではない
猫の毛をむしっていたのだ
自らの手でカーテンを破った上で
その毛を手の中に仕込んでおくために
大輔
大輔
五木
気まずそうな五木先生は感謝を強要し続ける
だが、俺は首を振った
大輔
五木
教室がざわついた
五木
大輔
教室中の視線が俺と園町に注がれる
園町
園町
園町はにやりと笑うと
ノートにまた何かを書きつけた
大輔
大輔
園町
園町
園町
園町
大輔
園町
園町
園町
園町
教室中に安堵のため息が広がった
しかし今の言葉、本気で言ったのだろう
俺には冗談を言っているようには見えなかった
放課後
1年3組教室
女子A
女子B
園町のまわりには多くの生徒が集まっていた
朝のホームルームで園町を褒めた生徒が大半だ
園町
園町
大輔
そう言えば羽鳥たちもリンチ失敗の後
こう言われていた
『君たちは現時点では劣等生だろう』
『でも、今からなら優等生にもなれる』
あれと関係はあるのだろうか?
園町
女子A
女子B
考えているうち、園町は教室を去って行った
大輔
俺はカバンを肩に掛けようとした
その時
鳳
加治屋
人を馬鹿にするような声が聞こえた
振り向くと、クラスメートの女子・風崎(かぜさき)が
困り果てたように立ち尽くしていた
風崎
鳳
加治屋
鳳(おおとり)と加治屋(かじや)という女子2人が
筆箱をかかげてニヤニヤしていた
きっと風崎の筆箱を奪ったのだろう
大輔
大輔
強がって見下そうとするものの
俺には悪夢のような光景が蘇っていた
いじめ…俺にとって思い出したくない記憶だ
大輔
大輔
大輔
気分が悪くなったので去ろうとしたが
女子の一人が筆箱を窓の外のひさしに置いたので
俺は足を止めた
大輔
鳳
加治屋
風崎
風崎は泣きそうになりながら
窓から出て細いひさしの上に足を乗せる
大輔
その時、強い風が吹いた
風崎
鳳
一瞬の出来事だった
風崎はバランスを崩し
真っ逆さまに地上へと転落していった
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