自分の気持ちに素直になって

僕はこの人が嫌いだ

心から嫌っている訳ではない

ただ。この人の笑顔を見てると。僕まで笑顔になりそうで困る

この人が他の人と喋ってたら胸糞悪い

だから。僕はこの人が嫌いだ

それに。この人の好きな人はもう

僕は知ってる

どうせ両思いでしょ

だって赤葦さん

愛おしいものを見つめる目で

木兎さんの姿を

眺めてるんだから

なんで今

僕を見たの

心臓がうるさい

こうなるから嫌なんだ

早く合宿なんて終わればいいのに

そう思ってるのに

終わるってなったら。胸が締め付けられて。離れたくないって思う

こういう感情も嫌いだ

本当はこんな事言いたくない

なんでかって。分かるでしょ

あの二人が仲良くしてるのを見ると 本当は

イライラして堪らない

きっと2人は否定してくれる そう信じて僕は言った

うざい。イライラする

赤葦さん嫌なら拒絶しなよ

喜んでるじゃん

本当に訳分かんない

つい 僕は大声で返事してしまった

視線が僕に集まる

最悪だ

僕は木兎さんの腕を掴み

人気のない所へ連れて行った

そこは否定しろよ

自分の気持ちに素直になる？

なったら後悔するだけだ

そう言って僕は

自分の唇を

木兎さんの唇と重ねた

そう言って木兎さんは泣きながら去ってしまった

ああ

僕があの人を

エースを泣かしたんだ

その時の快感は

今までにないほどの ものだった

つい。 微笑んでしまうほどの

謝らなくてはならないのに

本当に僕は最低だ

でもこれでいい

もうあの人関わる事はないんだから

続く