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中根正吾
中根は笑いながら中学時代のクラスメートだった小田切の肩を小突いた。
小田切均
小田切均
中根正吾
小田切均
中根正吾
小田切均
小田切均
中根正吾
中根正吾
小田切は少しの間、考えるように空を見上げてから、
小田切均
小田切均
小田切均
中根正吾
小田切均
中根正吾
中根は曖昧な返事をしただけで、詳しくは話さなかった。
小田切が中根と別れてから数分後、芝徹と宮川純子の2人が到着した。
芝は当時の厳つい体格にさらに磨きがかかり、胸板の厚い屈強な男になっていた。
純ちゃんこと宮川純子は相変わらず内気な顔をしていたが、
中根と芝が見惚れるほど整った顔立ちをしていた。
中根正吾
中根正吾
芝徹
中根正吾
芝徹
芝徹
宮川純子
芝と純子が肩を並べて先へ進んだ。
中根はもう一度周囲を見回したが、町田が現れそうな様子はない。
仕方ないな、と肩をすくめ、2人の後に続いた。
中根正吾
中根正吾
中根が足を進めながら2人に言った。
中根正吾
芝徹
宮川純子
宮川純子
宮川純子
中根正吾
中根正吾
中根正吾
芝徹
芝が大きな両肩を揺すりながら笑った。
純子はムーっと頬を膨らませてから、
宮川純子
中根正吾
中根正吾
芝徹
芝徹
中根正吾
芝徹
芝徹
芝徹
芝は取り出した封筒を掴み、ビシッと指で弾いた。
それは1ヶ月前、町田の妹の晃子から手渡されたものだった。
晃子は3人に手渡す際、奇妙なことを言っていた。
町田晃子
町田晃子
町田晃子
町田晃子
町田晃子
晃子はそう言い、中根たちに封筒を手渡した。
封筒の表にはそれぞれ、町田の筆跡で宛名が書かれてあるのだが、
奇妙なのは裏の端に書かれた数字だった。
芝徹
中根正吾
宮川純子
中根正吾
中根正吾
中根正吾
中根正吾
芝徹
芝徹
秘密基地メンバーのみでの旧友との再会に中根たちは喜んでいたが、
落ち着いて考えてみると町田の行動には不審な点が見受けられた。
卒業後に書いたと思われる手紙を今になって妹から自分たちに送らせ、
しかも、それには裏に謎の番号が書かれてある。
さらに、発起人である町田自身集合時間に遅刻をしている。
町田の真意が見出せないまま、一同は懐かしの秘密基地へ到着した。
中根たちが通っていた中学校校舎裏の森の奥に密集した林の壁がある。
人1人が辛うじて通れる木々の間を縫うように歩いていくと、
所々穴の開いたトタン屋根の古ぼけた小さな小屋があった。
そこが、中根たちの秘密基地だった。
小屋自体は脆く、多少の衝撃で崩壊しそうなほどだったが、
中根たちが簡単な耐震補強を施したおかげで、今でも健全な形を保っていた。
鳥のさえずりと木の葉の揺れる音が四方八方から聞こえる。
芝徹
芝が懐古しながら小屋の中を見回した。
純子も懐かしい物を見付けて顔をほころばせていたが、中根は違った。
町田がまだ来ないかと、小屋の出入り口を見続けた。
30分が経過しても、町田は中々現れなかった。
芝徹
業を煮やした芝が口を開いた。
宮川純子
中根正吾
宮川純子
宮川純子
中根は躊躇ったものの、約束をすっぽかした町田が悪いとして、
彼が到着する前に各自封筒を開封することにした。
ここで、芝が言い出したのが番号順に開封しようというものだった。
芝徹
と、語る芝は遊びを楽しんでいる中学時代の顔をしていた。
芝が中から一通の紙を取り出し、読み上げる。
芝徹
芝徹くんへ 君がクラスメートになったとき、ボクは正直「あぁ…この子とは友達になるのは難しいな」と思ったよ。だから、中根くんが発案した秘密基地計画に、君からボクに誘いがあったときはかなりびっくりさせられたよ。 あとからそれが、人手を補うための人選だったと知ったけど、気落ちするより嬉しかったのも事実だね。誘いやすいのが理由だったにしても、芝くんの誘いでクラスで孤立していたボクに初めて居場所ができたから感謝しているよ。
続いて、中根が封を切り、手紙の文章を読む。
中根正吾
中根正吾くんへ まず第一に、秘密基地計画を発案してくれてありがとう。おかげで、クラスの日陰にいたボクにとっての居場所ができた。中根くんは仲間をまとめるリーダーシップもそなえていたし、ボクはそんな君に憧れも抱いていた。将来、社会人になったらきっと部下をまとめられる立派な上司になると確信しているよ。芝くんに無理矢理(芝くんゴメン)引き入れられたボクに対しても常に友達として接してくれていたのを、ボクは一生忘れないよ。
中根はいつの間にか顔を赤くして照れていた。
横目で見ていた純子が笑いながら封を切る。
宮川純子
宮川純子さんへ まず「さん」付けなのを詫びるよ。宮川さんはフレンドリーな性格で、もごもごとしか話せなかったボクにしょっしゅう絡んできてくれたよね。メンバーに加入したとたん、自己紹介で「純ちゃんでいいよ!」と満面の笑みでボクに言ってくれたとき、生まれて初めてある感情が込み上げてきたよ。 結局、それがなにか知っても自分の意思を伝える勇気は最後までなかった。けど、今だから安心して言えるよ。 ボクは宮川さん…純ちゃんが好きでした。 純ちゃんがいたからこそ、ボクはボクの居場所にしがみつくことができた。
中根正吾
中根正吾
芝徹
芝徹
芝徹
芝徹
中根正吾
宮川純子
純子は戸惑いながらも、顔は真っ赤だった。
芝徹
中根正吾
中根正吾
宮川純子
芝徹
芝徹
芝徹
中根正吾
宮川純子
純子が立ち上がって、小屋の隅にあった大きな木箱に座った。
途端に、木箱の蓋が抜け純子は尻から箱に落ちてしまった。
純子の悲鳴が轟いてから、芝の豪快な笑い声が木霊した。
芝徹
中根正吾
ガハハと笑う芝と一緒に、中根も純子に手を貸した。
助け出された純子が忌々しそうに木箱を蹴った。
中根たちの視線が木箱に開いた穴に集中する。
彼らの間から笑みが消え、純子が蹴っていた足を止めた。
数秒後、今度は3人の耳をつんざくほどの悲鳴が森に木霊した。
1ヶ月前、小田切均が暮らすマンションに意外な来訪者が現れた。
中学時代のクラスメートだった町田優の妹、晃子だ。
晃子は、兄から小田切宛てという封筒を手渡し、一言二言付言した。
が、当の小田切には晃子の言葉が耳に入ってこなかった。
晃子が会釈をして玄関から外へ出た後も、
小田切は呆然と手渡された封筒を見詰めていた。
蹌踉な足取りで部屋へ戻ってからも、小田切は封筒を睨むように見続けた。
やがて、恐る恐る封を切り、中から一通の手紙を取り出し、ゆっくりと読んだ。
小田切均
小田切均くんへ
小田切均
ボクは君となら仲好くなれそうな予感がしていた。小田切くんにはどこか、ボクと似たようなふんいきが漂っていたからだ。…けれど、君が万引きを働いたのをボクが注意したときの君の言葉で、ボクと君は明らかに違うと思い知らされた。 あのとき、ボクは生まれて初めて「殺すぞ」と脅された。とても怖かった。 でも、ボクはどうしても悪いことをする君を見放せなかった。それは、以上の理由もあるが、もう一つある。 君が、ボクたち秘密基地メンバーをこっそり尾行し、羨ましそうに中根くんたちの様子を眺めていたのを見てしまったからだ。ボクはとにかく、君がこれ以上犯罪をおかさないよう必死に説得する決意をした。 いずれ、君のボクに対する気持ちに大きな動きが現れるだろうとは覚悟していた。もしかしたら、本当に殺されるかもね(ゴメン) ボクの遺体を、一目の付かない秘密基地のどこかに隠すと予想するけど、それならまだ幸いだよ。あそこはボクの居場所だからね。 最後に…ボクは君の更生を心から願っているよ。
(追伸) 中根くんたちには尾行のことは黙っておいてあるから安心していいよ。
2020.04.26 作