初めて聞いた名前。
それなのに、
慣れ親しんでる感があって。
なんでかはわからないけど、
寂しかった。
そして、 なんか辛かった。
出会い話とか、 聞かせてよ。
彼女は、転入生として来た。
俺なんかよりも モテモテのまろの隣に座る悠佑ちゃん。
その時、まろがちょっと、 鬱陶しく感じた。
そして、俺の恋心に気づいた。
俺は、悠佑ちゃんが好きだって。
悠佑ちゃんとまろは、 いつの間にか、友達レベルの仲だった。
それが、本当に嫌だった。
女子と男子。
ぶっちゃけ言って、 まろと悠佑ちゃんが、
カップルかもと思って、 怖かった。
え?アニキ?
女の子でしょ? 何で、男子みたいな呼び方してんだろ?
少し赤い悠佑ちゃんの頬が、 可愛くて仕方なかった。
呼び捨てで呼ばれること、 悠ちゃんをあだ名で呼べること。
それだけなのに、 嬉しかった。
そして、特別感があった。
家庭的な子なのかな。 可愛いな。
どうせ、めちゃうまいんだろ。 凄いな。
これが、本当に、 お嫁にしたいって感じなんだろーな。
まろ、食べたの?
いいなぁー...
悠ちゃんの髪は、 長くも短くもない感じで、 一つ結び。
俺の好きな悠ちゃんだけど...
まろの好みのタイプでもあるんよな。
まろが狙ってたら、 終わりなんだけど。
まろって、 主人公系王子様キャラだもん。
だから、 すぐに奪えそう。
まぁ、一応友達にはなれた。 満足かな。
俺の中の何かが変わったのは、 この時だった。
...
...は?
周りをよく確認した。 誰もいないかどうか。
え...うそやろ。
いっちばん、最悪なパターンだ。
これだけは、避けたかった。
俺の勝ち目がないから。
堕ちとったんよ。
まろの言い方が、 イケメンそのもので。
俺が負けてしまうのは、 一目瞭然だった。
全身が、震えて、 今にも足から崩れそう。
俺は、全身で、 身の危機を感じた。
心臓が撃ち抜かれるくらい、 体が震えあがって、
焦りを感じた。
卒業式に、 告るからな。
その言葉が、俺を焦らせた。
まろに負けちゃだめだ。
まろに、とられちゃだめだ。
まろと悠ちゃんを話させたらだめだ。
まろの存在に危機感を覚えた。
俺らが、 友達という存在だから 教えてくれたんだろう。
知らずに呑気にいるよりは、 ましだ。
俺らは、ライバルやでな。
耳元で、低音で、 瞬いた。
まるで 「とるな」というように。
まろの本気を感じた。
どうしよう。
どうしたらいいんだろう。
気づくと、 まろは隣から消えていた。
まるで、 俺を置いていくように。
悠ちゃんへの接近レベルを表すかのようで。
俺をさらに追い詰めた。
唯一、嬉しかったのは、
そのあとは、 前とは変わらなかった。
まろと悠ちゃんの関係も。
ただ、悲しいのは、
俺と悠ちゃんの関係も、 変わっていないこと。
まろは、ご存じの通り、 悠ちゃんの手料理を毎週食べさせてもらっている。
ハンバーグ以外にも、 たくさんもらっているだろう。
それは、つまり、 家に行っているってこと。
そこが、 俺が目の前で見た、 一番の差。
絶対に、惚れさせる。
口先では、何度も言うが、
ライバルが強豪であることもあって、 難関でしかなかった。
悠ちゃんとまろが唯一離れ、 俺との時間が取れるのは、
お昼休憩。
絶対に、惚れさせたいんだ。
まろに勝つんだ。
ちょっと、寂しいけどね、
俺たちは、兄弟だから。
continue...
コメント
2件
悠ちゃん可愛い…