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ガチャッ!
玄関の扉が勢いよく開く。
魅音
ランドセルがまだ大きい、ちいさな小学生が 元気よく帰ってきた。
魅音
下を見ればスニーカー、ブーツ、スニーカー……
普段より明らかに多い、靴の山。
魅音
一ノ瀬 母
一ノ瀬 母
魅音
魅音
一ノ瀬 母
魅音
ランドセルをぽんと床に置くと、 慣れた足取りで階段をとことこと駆け上が……
一ノ瀬 母
一ノ瀬 母
魅音
魅音
ジャーーー(水
魅音
一ノ瀬 母
魅音
一ノ瀬 母
魅音
タッ タッ タッ
手洗いを済ませた魅音は、 今度こそ、軽い足取りで階段を駆け上がる。
2階の一番奥──兄の部屋のドアが半開きだった。
魅音
悠斗
部屋の中から、悠斗の声。
その隣で黎翔も笑いながら手を振る。
黎翔
黎翔
魅音
魅音はぱっと顔を輝かせて、部屋に飛び込む。
床には憂唯とその友達が座っていて、 テレビゲームやお菓子の袋が散乱していた。
憂唯
憂唯がぽんぽんと自分の膝を叩く。
憂唯
魅音
魅音は憂唯の上にちょこんと座ると、 兄の顔を覗きこんだ。
魅音
憂唯
黎翔
黎翔
魅音
魅音
悠斗
悠斗
悠斗
魅音
黎翔
黎翔
悠斗
魅音
魅音が笑うと、なんだかみんなも自然と笑ってしまう。
悠斗
黎翔
憂唯
憂唯はちょっと照れたように頭を掻く。
黎翔
悠斗
悠斗
憂唯
悠斗
悠斗
悠斗
机に置かれたプリンにスプーンを添えて 魅音の前に差し出す。
魅音
魅音
スッ——
魅音
受け取ろうとしたが、悠斗くんは意地悪だった。
悠斗
魅音
悠斗
魅音
悠斗
魅音
ぷくっと頬を膨らませながらも、結局口を開ける。
魅音
悠斗
魅音
その様子を七瀬がスマホで撮っているのに気づいて──
魅音
黎翔
魅音
ふくれっ面の魅音のほっぺを、 憂唯が人差し指でぷに、と押した。
憂唯
魅音
憂唯
憂唯
悠斗
悠斗
憂唯
憂唯
憂唯
魅音
黎翔
憂唯
悠斗
憂唯
悠斗
魅音が来るだけで、場が和む。
誰にとっても、“ちいさくて可愛い存在”。
だけど──憂唯にとってだけは、もっと特別で。
彼はふと、隣でゼリーを食べている弟の頭を、 何も言わずに撫でた。
魅音
憂唯
魅音
憂唯
魅音
憂唯
憂唯
悠斗
悠斗がすかさず口を挟む。
魅音
魅音がぴしゃりと否定して、また膨れっ面。
悠斗
悠斗
魅音
魅音
悠斗
悠斗
魅音
黎翔
七瀬が肩をすくめて笑う。
憂唯
そう言いつつも、憂唯の口元はどこか緩んでいる。
魅音は兄にぴたっとくっついて、ふふん、と得意げ。
悠斗
魅音
悠斗
そんな何気ない会話さえ、愛おしく感じた午後。
守られて、甘やかされて。
魅音はまだ、“知らなくていい世界”の外にいた。
──この部屋に響く声や音も。
全部、ちゃんと、本物だった。
どんな未来が待っていても──
この日、この時間の、あたたかさだけは、永遠に。
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