あいして

俺は日向翔陽。

生まれた頃から愛されたことは無い。

学校も通わせてくれなかった。

ご飯も、遊びも、してくれなかった。

俺は、なんでこの世界に生まれたんだろう。

15歳の俺は、明日初めて学校に通う。

母さんがこのままじゃ虐待と思われちゃうって思ったんだろうか。

初めての学校、楽しみ。

実際、俺の体は15歳とは思えない程だ。

痩せ細ってて、体も、身長も小さすぎる。

小学低学年と間違われる。

反応してくれないだろう。

でも、ちょっとだけでも反応して欲しかった。

ｶﾞﾁｬｯ

久しぶりの外。

気持ちよくて、暖かい。

凄く明るい。

綺麗だ。

学校はどんな風なんだろうか。

楽しみすぎ。

驚かれるのは当然だ。

みんなと、何倍も身長が違う。

それにしてもこの人、背が高い。

見上げるの精一杯だ。

教室、初めて入った。

この、匂いも初めて。

学校って楽しいんだ！

そして入学式が終わり、体験入部の時間になった。

俺はずっと前からバレーが好きだった。

おじいちゃんとおばあちゃんに教えて貰ってたから。

でも2人とも病気で無くなって、1人だけでバレーの練習をしてた。

でも、これからは仲間が増えるかもしれない。

たくさんバレーが出来るかもしれない。

ｶﾞﾗｶﾞﾗ

その人はしゃがみながら俺に声を掛けてきた。

小学生じゃないんだけどな。

ｶﾞﾗｶﾞﾗ

ﾀﾞｷｯ

こういうのは慣れてない。

抱っこされるなんて、初めてだ。

なんか嫌だ。怖い。

ｶﾞﾗｶﾞﾗ

この身長では高校生の高さのネットには届かないだろう。

なら、大人しくマネージャーをしてた方がいい。

本当はスパイク打ちたいけど我慢だ。

俺は渡されたノートに【あいうえお】と書いた。

それから初めての学校、部活が始まったのだった。

何も起こらないで欲しい。

本当に。